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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第41話 だから可愛いは今はいいんだよ。そしてパンはみんなに平等

「ふわわ、かわい!!」


『ね、可愛いでしょう!』


『僕が1番可愛いけど、その次に可愛いよね』


『僕? 私たち全員可愛いわよ。特に私が』


『違うよ、俺だよ』


『おいらが1番なんだじょ』


『僕、ちびちび可愛い子パーティーの仲間になれる。だから僕もとっても可愛い』


 ……って、だから可愛いは今はいいんだって。それに、全員が可愛いで良いじゃないのよ。


「かわいいはあちょ。しゃきにぱんをたべて、げんきになる!」


『あ、そうそう、パンだった』


『早く治して、早くゆっくりして、それで早くいっぱい遊ぼうよ!!』


『うん!!』


『ヒトミ、パンは?』


「いまだしゅよ。えちょ、しょのまえに、どこがわるいの?」


『あのね、蹴られたところが痛いんだ。それからなんか気持ち悪いの』


「ぐるるにみしぇちゃ? グルルもなおしぇるけど」


 私はグルルを見る。


『ああ、見せてもらったぞ。蹴られたところが変色していて、他にも数ヶ所傷があった。それと尾に、深い噛み傷がある。それから、気持ち悪さという感じだな。これならば俺の魔法でも、治すことはできるだろう。だが、ヒトミのパンの方が、しっかりと治せると思ってな』


「とってもわるい?」


『いや、俺たちのところでは、洞窟ではよくあるくらいの怪我だ。心配することはないだろう。シエラがいれば、さらにしっかり調べてもらえたが……。まぁ、こっちにも調べることができる奴はいるだろうから、後で確認のために診て貰えばいい」


「しょか! じゃあしゅぐに、ぱんだしゅね!!」


 詳しくは診てもらっていないけど、でも今まで自然で生きてきたグルルが、心配ないって言うんだから大丈夫かな。それにグルルが言った通り、後で診てもらえば良いしね。今は緊急だもん。よし、すぐにパンを食べさせてあげなくちゃ!


 気持ち悪いとか痛いとかで、食べ物を食べるのが大変かなと思い、私はマジックバッグから、なるべく柔らかいパンを出すことにしたよ。


「えちょねぇ、あまいものがしゅき? からいものがしゅき?」


『あまいもの? あまいわかる。からいものはなぁに?』


 あ、そうか。自然界で生きている子に、からいものって聞いてもね。


『僕ね。甘いもの大好き! でも、いつもいじめてくる魔獣が、全部持っていっちゃうんだ』


 なるほど。じゃあ、どうしようかな。ふっくらパンに、果物を乗せてあげようかな? そうすれば初めてのパンでも食べやすいだろうし、具合が悪いなら好きなものを、だよね。


「じゃあ、このぱんに……。グルル、これ。このくだもの、たべやしゅいよに、きっちぇ」


『分かった』


 すぐにグルルが、マンゴーみたいなママゴという果物を切ってくれて、それをパンに乗せる私。するとすぐに、妖精たちが騒ぎ出した。


『えー、何それ!!』


『私たち食べてない!!』


『僕たち、パンだけ!!』


『何でそれ乗せるの? 美味しいの!?』


『それ食べたい!!』


 もう、みんなはパンを食べたんだから。それにこれは特別、食べやすいように、だよ。


 妖精たちは気に入らないことがあると、街が大変なことになると聞いたけど。でもちゃんと、ダメなものはダメと伝えないといけないと思って、ちゃんと説明したよ。


 これからは、みんなが遊びにくる時はパンを用意する。約束したでしょう? でも、その時その時によって、食べるパンは違う。


 それに、食べる子によって、食べるパンを変えないといけないこともある。もしかすると、食べられないパンがあるかもしれない。そういう子にはやっぱり、みんなとは違うパンをあげる。とか、まぁ、いろいろね。


 あとは、自分たちばかり、食べたいはダメ。みんな仲良く食べないと、パンを作ってあげない。それは妖精さんたちだけじゃなく、他の魔獣たちや虫たちも同じ。私はみんなで楽しく、パンを食べたい。みんなも、楽しく食べたいでしょう? ともね。


「きょ、みんなはとくべつに、ぱんたべたでちょ。そう、とくべちゅ。まじゅさんも、むししゃんも、たべてない。がまんちてかえってくれちゃ。だから、きょはもうなち。しょれにいまは、このこをげんきにしゅる」


『そっかぁ、僕たちでけ食べたもんね』


『みんな我慢』


『楽しい、俺たちばっかりダメだもんな』


『それに、今はこの子を元気にするパンだもんね』


『ねぇねぇ、今度来た時、果物乗せてくれる?』


「うん!!」


『じゃあ、今日は我慢。ね、みんな』


『『『うん!!』』』


 ふぅ、良かった。みんな納得してくれたよ。もしかしたら、ちゃんと話をすれば、分かってくれるんじゃないの? 暴れるなんてことしないでさ。


 あ、でも、グルルたちも気をつけているくらいだから、たまたま話を聞いてくれただけ? 私、危ないことしちゃったかなぁ。今は上手くいったけど、後でもう少し詳しく話を聞いておいた方が良いかも。


 そう思いながら、パンをお皿に乗せて、スノウタイガの前に置く。


「しゃしゃ、どじょ! たべちぇ」


『これがパン?』


『そうだよ! とっても美味しいんだよ!』


『ペロッと食べられちゃう!!』


『早く食べて!』


『本当に美味しいんだから』


『う、うん』


 ちょっと緊張した感じで、パンの匂いを嗅ぐスノウタイガ。


『……良い匂い。今までで、1番良い匂い』


 うん、匂いは大丈夫みたい。


『う~、パクッ!!』


 それからスノウタイガは、思い切りぱんにかぶりついたよ。もぎゅもぎゅ、もぎゅもぎゅ。どう? 美味しい? 具合が良くなるのは、すぐだったり、遅くても数時間で治ると思うんだけど。


 って、みんな何してるのさ。隣を見たら、モルーと妖精さんたちが、パンを食べてもいないのに、スノウタイガをガン見しながら、口をもごもごして、食べている風にしていたよ。そんなにパンが食べたいか。


『もぎゅもぎゅ』


 スノウタイガは気にせずに食べてるから良いけど、みんな、邪魔しないようにね。と、まぁ、ふた口で、スノウタイガはパンを食べ終わっちゃったけど。


 私はスノウタイガが、しっかりパンを飲み込んだのを確認してから、声をかけたよ。


「ど? おいちかった?」

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