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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第21話 いざ、緊張の挨拶!! ……にならないのが私たち

 数時間後、ついにグルルたちと関係を持っている人たちが、洞窟の前までやってきたよ。そして、その光景を見た私の感想は……やっぱりおかしくない? だった。


 ほら、魔獣たちが護衛をしてくれて、グルルが迎えに行ったって言ったでしょう? どんなふうに来るのかなって思いながら待っていたら、姿が見えたって、森を見張っていた魔獣が伝えに来てくれてね。私とモルーとシエラは、また洞窟の天辺に登って確かめたんだ。


 そうしたら、森へ来た人たちは約30人くらいで、その先頭にグルルが立ち、その人たちを囲むように、魔獣たちが歩いてきたの。本当に護衛しているって感じにね。


 いや、護衛って言ってたんだから、それで間違いないんだけど。こう、ほら、王様とか貴族の人たちを、ガチガチに護衛する感じでさ。

 だからね、自然に生きている魔獣たちが、あんなふうにガチガチの護衛? って、やっぱり違和感が凄かったよ。


 と、そんな何とも言えない護衛を見ているうちに、みんなが洞窟の前に到着。私は急いで、私が待機する空間へ移動。それからまた待つこと数10分後、いろいろな会話が聞こえてきて、私の緊張は一気に高かまり、そして……。


『ヒトミ、こっちへ来てくれ!』


 きた!! ついにきたよ。この世界へ来て、初めての人との接触。大丈夫かな? 大丈夫かな? 緊張はもう最高潮だった。


 なのに、私の頭の上では、


『しっかりお願いだじょ! それで認めてもらって、その後はヤッホーのパン食べるじょ!!』


 なんて、騒いでいるモルー。ちょっと、モルーはもう少し緊張感を持った方がいいんじゃないの?


『ほら、ヒトミ、行くんだじょ!! それでチャチャとお話し終わらせるんだじょ!!』


「……わかった」


『ほら、モルー! 静かにしなさい!!』


 そうだよ、これから入るんだから静かにして! もう、初対面で緊張しているのに、どうしてこんな騒がしい中、みんなが待っている空間へ入らないといけないのか。


 私は入る前に一旦立ち止まり、深呼吸をする。それから、フンッ! と気合を入れて……。


『行くんだじょ!!』


 頭に乗っていたモルーが勢いをつけて飛んで、その勢いのまま私の背中にバシッと当たり、私はそのまま前のめりで、グルルたちのいる空見へ入ることに。


 そうしてそのまま……転けましたとも。ドテッ!! とね。


『何をしているんだ!!』


『じょ……』


『ヒトミ、大丈夫!?』


「い、いちゃ……」


『ヒトミ、急いだから転んだじょ?』


『いや、お前のせいだろう!』


 いや、モルーのせいでしょう!! と私の心の声と、グルルも声が重なった。


 と、まぁ、モルーのせいで挨拶どころじゃなくなり、話し合いは、まずは私の怪我の治療から始まることになっちゃったんだ。


 この時の、ここへきた人たちの表情。なんかいろいろな感情が入り混じった、何とも言えない表情をしていたよ。


 ただ1人だけ、他の人たちとは違う洋服を着ている女の人が近づいてきて、私のことをとっても心配してくれたんだ。


「大丈夫!?」


「……あい」


 我慢しながら立ち上がろうとする私。


「すぐに薬を……」


『大丈夫だ、俺がすぐに治す』


「そういえば、あなたは治癒魔法を使えたのよね。お願いね。さぁ、私が立たせてあげるわ」


 そう言って、そっと私を起こしてくれた女の人。起き上がってからよく見てみると、とっても綺麗な人で、冒険者の格好をしているんだけど、どこか洗練された雰囲気があったよ。


「おこちてくれちぇ、あ、ありがちょ、ごじゃましゅ」


 とりあえず、起こしてもらったことにお礼を言った私。


「いいのよ。さぁ、怪我を治してもらいましょうね」


 そうしてすぐに、グルルが怪我を治してもらい、シエラにも確認してもらったんだけど。その時点で、もうどれだけ時間が経っていたのか。やっと挨拶をする頃には、緊張なんてどこかへ飛んで行っちゃってたよ。


 と、こんな流れで始まった、挨拶と自己紹介。


 まず、洞窟へ来た人たちを率いている、1番偉い人……なのかな? その人がジェイコブさん。それから、私を助け起こしてくれた人が、ジェイコブさんの奥さんで、オリヴィアさん。あとは、騎士団長さんのルーシャンさんに、他にも何人か紹介してもらったよ。


 そして、向こうの紹介が終わったあとは、次は私の番。まず最初に私が挨拶をして、そのあとはグルルが、なぜ私がここにいるのかを話してくれることになっていたんだ。だから、そこはグルルにお任せ。

 

 おかげで問題なく? 挨拶と自己紹介を終わらせることができたよ。挨拶前にいろいろあり過ぎたけど……。


「なるほど、話は分かった」


「まさか、こんな大変なことが起こっていたなんて」


「まったくだ。こんなことなら、もっと早くここへ来るべきだったな。だが、何はともあれ、まずは我々人間側が迷惑をかけて悪かった。そして保護をしてくれて助かった、感謝する」


 グルルたち魔獣の代表と、ここへやってきた人たちが集まる中、ジェイコブさんがグルルたちに頭を下げた。それに続いて、オリヴィアさんや、他の人たちも次々と頭を下げる。


 いやいやいや、ジェイコブさんたちのせいじゃないから! 全部バカ神のせいだから!! あぁ、もう! バカ神のせいでジェイコブさんたちが頭を下げることに。バカ神のことを言うこともできないし、まったくやんなっちゃう!


『いや、お前たちのせいではないからな。それに関して責めるつもりもない。それに小さき者を守るのは、当たり前のことだ』


『そうよ。それに、そんなふうに頭を下げられるよりも、これからの話をしないといけないわ』


 そうそう、グルル、シエラ、そうだよね!!


『そうだじょ!! おいらにも、大切な話があるじょ!!』


 ……モルーは、ここで一旦静かにしようか。あ、ほら、シエラに怒られた。


「そうか、そう言ってもらえると助かる」


「確かに、あなたたちの言う通りね。まずは、これからの話をしないといけないわ」


「よし、それじゃあ今後の話をしよう。ただし、その前に、もう少し詳しい話を聞く必要がある。子供たちには難しい内容になるだろうから、子どもたちは話が終わるまで、自由にしていてくれて構わない」


『それもそうだな。ヒトミ、モルー、婆さんと一緒に、隣の部屋で待っていろ』


『おいらの話しだじょ!!』


『分かっている。それは後で別に話しをするから安心しろ。先に面倒な話しを終わらせてしまう』


 えー、私も話を聞きたいんだけど。そう思ったけど、今の私はちびっ子だから、大人の話に混ざるのも変だしね……。


 というわけで、話が終わるまで、私はモルーとマーゴおばあちゃんと一緒に、隣の空間で待つことになったんだ。

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