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ダンジョン前にて

「ありあしたー」

店員の気怠そうな挨拶を背に店を出る。

コンビニ袋を手に持ちやたらと広かったはずの駐車場の隅に固まっている仲間のいる所に歩き始める。


広いと言っても様々な車両で埋め尽くされ狭くは感じる。

警察車両や自衛隊車両、報道陣の車両が所狭しと駐車している。


警察官や自衛官が車で休憩しているのだが相当お疲れのようだ、疲労が溜まっているのが一目で分かる。

マスコミ関係者はニュースでも流しているのだろうかキャスターがカメラの前で嬉々として喋っている。



2カ月前、サージェリーの船が墜落したあの日より世界が変わった。

地球上のありとあらゆる場所にモンスターが溢れるようになり地球上のありとあらゆる場所には安全と呼ばれる場所は無くなった。


モンスターの出現により10億程の人が犠牲になったと言われている、正確な数は分からない。


人類もただやられているだけでは無くモンスターが発生している場所を即座に特定しの危険区域に指定し駆除を開始するが銃火器が暴発し使えず敗退。

ミサイル、自爆ドローン等も爆発の規模が遙かに大きくなり使えず被害は増えるばかり、後にダンジョンから発生するメジルンと言う物質が被害を拡大させているのが分かった。

試行錯誤しながら確実な対抗手段はドロ臭い肉弾戦しかなかった。


その頃からかモンスターに対抗するように超能力に目覚めた『覚醒者』が現れだした。

モンスターに対抗出来るようにラストフロンティアの運営は『アバター』の地表での活動を解禁した。


いつしか危険区域はアバターと覚醒者の独壇場となる。


ま、モンスターと同時に覚醒者が現れ出すなんてそんな偶然なんて無い、サージェリーが不時着するまでの間に覚醒剤と言う字面のヤバイ薬を空中散布したからなのだがね。

サージェリーは公式には発表していないがね。



そんな危険区域から10キロ程離れた非常警戒区域で前線からの最最寄りのコンビニだ。

ここまでは一般人でも入れるが障害が多い。



「「こんにちはー」」

警察官らしき服装の2人の男達に声を掛けられる。

その障害の一つが声を掛けてきた。


「はい?」


「こんな所で何してるのかなー?ここが危ない場所って知ってるかなー?」

猫なで声がイラつく。


「職質ッスか?」

イラついてるせいか答えるも言葉にどこか刺がある。


「アバターっぽい服装してるけどアバターじゃないよね?生身の一般人だよね?」

こちらの質問は無視し一方的に話しをしてくる、猫なで声からドスが利いた話し方にかわりだす。


アバター、ゲーム、ラストフロンティアで使用されている人口生命体、機械生命体の事を指すのだが、現在の日本の治安を守っていると言っても過言では無い存在。


服装がおかしかったみたいだ。

半透明の軍用カッパにアーミー靴、カッパが半透明だからか中身が透けて見える。

カッパの下はスケスケの黒のブラジャーとショーツに黒いガーターベルト。

竜巻の故郷の民族衣装らしいが完全に痴女の服装である。


「生身ですが?それがなにか?」

ぶっきらぼうに答えると警察官が顔を見合わせてため息を一つ。


「身分証明書って未成年か、学生証かなにか有る?」


そんなもんあるわけない。


「無いっす」


「無いの?じゃぁ許可の無い一般人はここには入れないんだよ」

怒気をはらんだ言葉に変わる


無言でカッパをまくり上げ下腹部を指差すと警官がギョッとした顔になる。

指差す先には幾何学模様が描かれている。


何で下腹部に書くかなー?淫紋みたいじゃん。


「覚醒者かよ」「覚醒者のマーク」

明らかに侮蔑の表情を浮かべる。


覚醒者、現在の治安を守っている一翼なのだが

アバターと同じく現在の日本を守っている存在なのだがアバターと違い嫌われている。


アバターはラストフロンティアの延長だから制御も出来るし犯罪に走れば運営のメルソレア星人に通報すれば即座にアカウントをBAN出来る。

BANした後に情報開示請求をすれば身元も確認し逮捕出来るが覚醒者はその制御が無い。


暴れ出したら警察も自衛隊も押さえるのは難しい、何故ならそいつにどんな超能力があるか分からないからね。

覚醒者が暴れ出した時点で即射殺ってのが最近の暗黙の対処法になってるぐらいだ。


アバターは救世主、覚醒者は一般市民に紛れた殺人鬼、現在の覚醒者はそんな扱いだ。


覚醒者は何故暴れるのか?なんてテレビでやってたが、何故かはわらないが、まぁ正直に言えばぶっ飛んでる奴が多い。


俺の服装もぶっ飛んでる行為なんだろうな。

アバターは人の眼は気にならないのか露出度高めの人が多い。


「もういいッスか?」


「あぁ、行け行け」

追い払うように手を振る。


「覚醒者は覚醒者マークを見えるようにしておけよ」

悪態をつきながら警察官が去って行く。


『覚醒者マーク』日本政府が覚醒者に対して管理の名目で体の一部に覚醒者と分かる幾何学模様を刻む事を義務づけたのだが昔の犯罪者が刻む入れ墨に似ていることから差別の対象にもなってる。

だが俺に入っているこの幾何学模様は実はサージェリー太陽系守護艦隊のシンボルだったりもする。

サージェリーはもちろん公式には発表していないがな。




何とも言えない気持ちになりながら仲間たちが集まっている場所へ歩く。


駐車場の端や道路脇にはアバター達が腰を下ろして談笑している。

これから危険区域に向かう者、危険区域から帰ってきた者と様々だが異様な光景だ。

ひと言で言い表すなら鎧のコスプレ会場だね。

西洋の鎧、東洋の鎧、ゲーム由来の鎧、オリジナルの鎧。

全身を鎧で覆い尽くしている重装備の者も居れば、急所、重要個所のみに着用している者もいる。


そんな集団の中に一際異質な雰囲気を放つ集団が居る。

全員がスケスケのブラジャーにショーツ、ガーターベルト、カーデガンに長手袋と鎧のコスプレ会場に似つかわしくない集団だ。


それはそのはず彼女達は全員が覚醒者だから。

頬、首、肩、胸、腕それぞれ場所は違うが見える箇所に覚醒者たる幾何学模様が刻まれている。


覚醒者全員がそんな格好をしなければならない訳ではないがこんな服装の方が効率がいい。

超能力を使うには自分の周囲にある魔力を取り込まなければ為らないのだが服とかは吸収の邪魔になる事が多い、そうなれば服は必要最低限と言う選択肢になる。




「もう1度言ってみろ!」「あぁー!何回でも言ってやるぜ!」


そんな浮いている集団の辺りから怒号が飛んでくる。


声の主は仲間の竜巻だった。

長い耳に綺麗な褐色の肌、スラリとした高身長にわがままボディ、俺と同じ服装なのに出ている色香が違う。

女性が格好いいと思える理想像が怒鳴り声を上げている。


竜巻、ラストフロンティアの中で一緒に遊んでいた奴だ。

先日まで一緒に行動していたのだが俺のスキルを鑑定したところ、事故が起き病院送りになっていたのだがやっと今日、復帰したのだが。


その竜巻が甲冑を着込んだ奴等と怒鳴り合ってる。


「何揉めてんの?」


遠巻きに傍観していたギャラリーの1人に聞いてみた。


「『世迷い言騎士団』の奴等が覚醒者の新顔にちょっかい出してたみたいだぜ、って桜井花の道やんけ」


俺のことを知ってるみたいだ、この界隈では少し有名になりつつあるみたいだ。


クラン世迷い言騎士団、ラストフロンティアで白兵戦やダンジョン攻略を専門にやっていたクランだった。

そして現在は俺達覚醒者の前衛を務めている。


「ハァ」

ため息を一つ着きき下腹部に力を入れながらスイッチを入れるイメージで能力を解放する。


「なに揉めてんの」

能力を使いながら揉めている2人に近づき声を掛ける。


新たな乱入者に美女2人が一斉に振り向く。

「花の道~」「花ちゃん」


竜巻は美女の部類になるのたが言い争っている世迷い言騎士団のモニメントさんも美女の部類に入る。


「ちょっと花ちゃん、あんたの所の新人どうなってんの?」

モニメントさんって中身おっさんなのに俺が能力使うと女言葉になるの何で?


「どうなってんのとは?」

何の文句を言いたいのかが予想が付いてるがワザと惚けてみる。


「この子はアバターよね?、つまり前衛よね?なのにあの装備は何?花ちゃんが連れてきた子ぐらいちゃんと教育してよ、そんなんじゃあなたたちを守れない」


前衛、敵の攻撃を受け止め味方を守る役目の人達、いわゆるタンクだ。

致死率、負傷率が高く死んでも復活出来るというアバターの特性が無ければ務まらない。


今のモンスターとの戦い方は前衛が攻撃を受け止めている間に後方の覚醒者、アタッカーが攻撃、殲滅するのが一般的な戦い方になってきてる。


「アバターなのかな?」

明後日の方向を向きながら答える。


「まさかアバターじゃ無いとか言わないよね?あんな耳の尖った人間なんかいないわよ」

確かに人間じゃないよね。


宇宙人の存在が明らかになっても宇宙人なんて見かける事は無い。

竜巻が人型の宇宙人だって言っても信じないだろうねー。


「まぁ、今日はメジルンの採取だけの予定だったでしょ、この子には初日だし雰囲気だけ味わってもらうつもりなの」


「まぁ花ちゃんがそう言うならいいけど」


俺が能力を使うと大概の人は了承してしまう、スキル強制発情を出力弱めて使うとこんな効果が有ると分かった。


「じゃ時間も勿体ないから行こうか」

その言葉に反応するようにアバター、覚醒者が危険区域に向かって歩き始める。



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