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楽園のポストアポカリプス  作者: 平之和移
第2部の1 連邦同盟間戦争編
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第19話 崖っぷちの亀裂

ちょっと視点の移動が激しいです。ご容赦ください


アライランスライン。現在攻める敵影なし。あくまでも想定している前方からは、だが。後方、同盟側から迫る影。クローム社の部隊だ。自走砲を並べ、射撃体勢。


まんぷくテロリストは自走砲の後ろで待機。攻撃のあと突撃、防衛線の崩壊を急ぐ。戦車部隊も配置済み。


自走砲の火が吹いた。空中に砲弾が舞う。


着弾。コンクリートの壁を崩していく。塹壕に穴が空く。狙いを変えさらに撃つ。固定砲塔を破壊。塹壕内のベッドルームを埋めた。被害は多そうだが、まだ先端を削ったに過ぎない。


「戦車部隊、移動開始」司令官が無線で告げる。


自走砲はなおも攻撃。戦車が塹壕を踏み潰す。BBはバイクに乗っていない。理由がない。なので、クローム社にバイクを預け、まんぷくテロリストのバンに乗っていた。


「結局、三号機は見つかりませんでしたね」


車内、レモンが言う。基地を襲撃された際、クローム社は敵を追った。しかし、追跡隊はあえなく撃墜された。方向としては東、ポストアポカリプスの中央へ向かっていた。どうせ道中で進路を変えるのだからアテにはならない。


「あのレインコート、同盟の企業なのかな」BBが相手する。


「それ以外なさそうですけども。まさか連邦なワケないですし」


「プレイヤーズとかリベルタリアのスパイとか?」


「二つ共戦争してるのにそんな暇ありますかね」


「ないだろうね。クロームの兵士に聞いたけど、レインコートの部隊なんて聞いた事ない、らしいよ。あんな手際いいなら有名になっていいってさ」


「同盟内のゴタゴタに関わるのは私達のやることではないですし。あんまり気にしないでもいいかもですね」


「だね」


オサムは顔を俯かせた。影が差す。彼の交友が広まった。彼に話しかけようという発想さえなかった。


目を強く瞑る。自分達の目的は、塹壕の制圧及びその地下にある要塞の制圧。コミュニケーションではない。


アライランスラインは地下に要塞を造ることで、地上が制圧されても戦うことができる。ベッドルームの本命はそこにあるだろう。物資も備蓄されている。


戦車が暴れている。同盟軍の恐怖を煽る。待機していた車両群も発進。兵士を前線に届ける。


まんぷくテロリストも行った。塹壕内に着く。抵抗はなかった。プロペインも降りる。バンはクロームに回収された。他の兵士と共に浸入。BB、オサム、草食が前に立つ。


「目的は地下への入口を見つけることだ。弾は温存しておけ」


プロペインの言葉を聞きつつ、BBはライフルを敵に向け撃つ。キル。前線は崩壊している。探索するのが主になるだろう。塹壕内を駆け巡る。本来は後方の塹壕ということもあり、地面を掘り抜いて部屋が造られている。手榴弾を中に投げ、爆発後突入。キル。逃げる敵はクローム社の戦車に踏み潰された。


地下への道はなかった。外へ。塹壕は分断され、同盟軍は包囲されていた。この長く大きい溝達の先、最前線では、何が起きているか知るよしもないだろう。


コンクリート製の建物に浸入。機関銃が待つ。撃たれる前に制圧した。地下へ続きそうなハッチを発見。プロペインは無線を取る。レモンが警戒のため入口に銃口を向けた。


「こちらまんぷくテロリスト。地下への入口を確認。これより突入する」


「了解。援軍として第八小隊を送らせる。通信終わり」


BBがハッチを開ける。梯子がある。下は、飛び降りてもノーダメージで済みそうだ。BBは飛び降り着地。誰も待ち伏せしていない。オサムに手を振った。彼女は梯子で降り、仲間を来て、最後にレモンが来た。ハッチは開けたままだ。第八小隊に銃後を任せた。


地下は、壁はコンクリート製。白く磨かれている。電球が並ぶ。光は充分だ。


その光に赤が混ざる。警報灯が光った。警報音もやかましい。浸入に気付かれたようだ。


構わず進む。別れ道。BBが右を、オサムが左を見た。いない。二人はプロペインに目を向けた。彼は壁に一発撃った。


「迷いそうだからな。目印だ。ないよりはマシだろ。右に行こう。構造が解らないからどこ行っても同じだ」


右へ。扉が複数あった。中へ手榴弾。爆発。BBが突入し、ベッドを確認。部屋は小さく、誰もいない。肝心のベッドは破壊済み。


他の部屋から人が出てきた。草食が早撃ち。六人キル。オサムが残りを片付けた。どうやらベッドルームが立ち並んでいるらしい。即応のリスポーン地点か。五人は別れ、一人ずつ部屋を制圧した。


もちろんこれで終わりではない。アライランスラインは川のように長い。その全てに地下要塞があるのだから、長丁場になる。


さらに進む。ようやく同盟軍が防衛に動く。遮蔽物のない廊下で応戦。しかし草食の早撃ちで全てやられる。BBとオサムの刃のせいで何もできない。


大きな扉を見つけた。開ける。広間だ。おそらく食堂か。テーブルを倒し、盾として銃撃してくる。五人は退き、オサムが手榴弾投擲。BBもフラッシュバンを投げた。クロームのお陰で物資は潤沢だ。二つの爆音。再度突入。キルしていく。


BB達もテーブルを盾にした。身を乗り出し撃つ。プロペインが掃射、倒れていく。敵が機関銃で撃ってきた。抜刀したBBとオサムがあらゆる弾丸を斬り伏せ、機関銃手をキル。食堂制圧。


食堂を抜けて廊下へ。一気に撃たれる。食堂へ戻る。BBは頭上の監視カメラを認めた。


「監視カメラがあります。オレ達の居場所は向こうに筒抜けみたいです」


「じゃあ監視室でも見つけるか」


プロペインの言葉に頷く。包囲されている現状を如何に突破するか。BBとオサムが出る。攻撃を二人に集中させ、草食が撃つ。プロペインが手榴弾を投げる。レモンが援護。包囲を崩した。無線機から声。


「こちら第八小隊。現着。状況報告を頼む」


「現在一つの食堂を制圧」包囲の残党をキルしていく。レモンが通信に答える。「入って左へは行ってません。また、恐ろしく広いので追加の部隊をお願いします」


「了解。すでに他部隊が地下への入口を発見、戦っている。こちらも応援要請した。引き続き戦闘せよ」


「了解です」


包囲を完全突破。さらに追撃する。


その後一時間以上は戦った。広い、広すぎる。同じような景色しかない。鉛筆の束のほうがバラエティーがある。目にした敵は全員やった。無線で他の味方が来たと聞くが、一向に出会わず、地下を制圧できない。


何十個目かのベッドルームを制圧。もう残弾が厳しい。弾薬庫を探すことに。BBとオサムは消耗を防ぐためブレードや刀で戦っている。


さらに一時間後。弾薬庫を発見し、漁った。弾を入手しリロード。レモンはリピーターばかり使っているので、ボルトアクションの弾が余り始めた。


「いつになったら終わるの、これ」


草食は思わず愚痴をこぼす。どこもかしこも敵しかいない。減る様子はない。


「ベッドルームを小分けして、リスを分散している。管理は面倒だが、それだけ防衛には向く」


「プロペインは何か策とかある?」


「ないな。とにかく潰すしかない。他の部隊も中にいる。あとは時間が解決するだろうさ」


走る音。弾薬庫の扉が開かれた。草食がすかさず撃つ。キル。


「ここも見つかってるか。監視室ほんとどこよ」


「それ以前に、俺達は今どこにいるんだろうな」


「さっき見た看板にはCブロックって書かれていたけど」


「Cねぇ。Zまであるのかね」


「Aの2とかあるんじゃない?」


「かもな。行くか」


五人は弾薬庫から出て、進む。また包囲されたが、易々と切り抜け移動した。




地上。クローム社の部隊が制圧を完了している。とはいえアライランスラインの一部だけだが。他のラインから敵が援軍に駆け付けている。それを守り、地下の侵攻を急がせる。同盟の防衛ラインを、連邦が使っていた。


簡易な指揮塔を建てた。無線から次々情報が入る。送る。地下との二正面だ。地上のリスポーンを封じているのが幸いと言える。


偵察ヘリが何かを捉えた。連邦方面。車両複数。ヘリは五機、いや六機。一機は偵察ヘリだ。


「こちら連邦軍、ピースサイダー社、解放旅団。クローム社聞こえてますか」


「こちらクローム社アライランスライン指揮所。君達が一番乗りとはな。現在まんぷくテロリストは地下で戦闘中。無線には応じられない」


「了解。地上の援護は?」


「頼む。すぐにでも」


「待ってて」


解放旅団団長、雫との通信を終える。指揮官はほくそ笑んだ。勝利は近い。


雫は仲間へ呼びかける。


「皆、聞こえていたかしら? 旅団は、これよりアライランスライン地上を攻め上げる。拳察隊は地下をお願い!」


「了解した。室内戦は任せろ」


ダーティハリーはそう返す。彼の乗る車の横に、一台のバイクが走る。オーウェルだ。


「自分に感謝してくださいよ! 情報戦で勝てたのも、我々、トゥルー通信社のおかげなんですからね!」


「君にはよく助けられたよ」窓から体を出す。「しかし、どうしてクローム社の反乱を知った?」


「それを教えてほしいなら、法外なお金を要求しますよ。企業秘密ですから」


「判った。詳しくは聞かない。だが戦闘に参加していいのか? 君は記者だろう?」


「これでも戦えますよ。見ててください」


「解放旅団、到着!」


雫の声で二人の顔つきが変わる。戦火に飛び込む。


拳察隊はオーウェルやクローム社兵士と共に地下へ。こんな時でも、オーウェルは記者服のまま。アサルトライフルを持ってようやく兵士だと解る。


「こちらハリーだ。飯テロ、聞こえるか? ピースサイダーが到着した。答えてくれ」


しかし応答がない。遠いようだ。地下へ。




……そのアライランスライン襲撃の報を受け、ある組織は緊急会議を開いた。オールドスランガーズだ。本拠地で、ねこ総隊長を抜きに始められた。


「結局」副隊長は背をもたれる。「裏切ったのはクロームか。ゼルフかと思ったのに」


それに、メガネが返す。


「えぇ。我々の諜報部はゼルフが裏切ると判断しました。マンティス社に買収されかかってましたから。クロームより酷いハズだったんですが」


「そのゼルフは特に抵抗なく買収されたと。クローム反乱のワケは?」


「アライランスライン、資本主義等決戦兵器の敗北が一番の原因かと。お偉方に広告は打ってましたからね。あのまんぷくテロリストをも打ち破れると」


「それを飯テロじゃない奴にやられた。そりゃまぁ、反乱も考えるか。で、レインコートの連中は?」


「全く判りません。どの社の部隊か調べあげていますが……大企業共も覚えがないと」


「あいつらのことは信頼できない。聞いたところで、ね。その後、情報は?」


「いえ、ありません。ポストアポカリプス中央に向かったのは確認されていますが、プレイヤーズの領地に入りました。調査は難航するでしょう」


「プレイヤーズ。あのゲン太郎ならやりかねないか。関わってるの?」


「不明です。今のプレイヤーズなら、我々から奪わなくても開発できるでしょうし。薄いでしょうね」


「帝国主義は何機パクられた?」


「全てです。アライランスラインを突破された時の保険としておいた機、全てです。これでは作戦も何もありません」


「帝国主義を隠していたことはどこにも漏らしていない。いくら私達がいつもふざけているとはいえ、あれは口外厳禁のハズ」


「これも調べています。しかし、内部からの漏洩は確認できません」


「裏切り者がいない?」


「帝国主義の総数は四天王含む幹部しか知りません。しかし、隠し場所を見つけられた報告がいくつか。あれは、隠すべきではなかったかもしれませんね」


「まんぷくテロリストに見つかったら詰み。だから隠したんじゃん。クロームみたいなのがいるかもしれないし。とにかく、場所がバレていた可能性か。今の所それが一番ありえそうだ。でも全部とはね」


「想定外です。領外に逃げられたとなれば、追うのは至難でしょう」


「決戦兵器なしで連邦、飯テロと戦わないといけないのか。メロンはどうなってる?」


「現在ねこ総隊長が話に行ってます。あの人しか話せませんし。ですが、この頃ウォーターメロン社と我々の関係は悪化しています。防衛線の敗北で」


「金は貰えそう?」


「解りません。ハインドの頃はよくして貰ったのですが。メロンになってから渋ってます」


「隊長しか詳しくは知らないからなぁ。トップでも変わったのかな。で、アライランスラインは?」


「地下に飯テロがまんぷくテロリストが浸入。現在交戦中です。クロームは同盟軍相手に防戦中。突破されれば、企業の多くは離散するでしょう」


二人は大きなため息を吐いた。会議室には四天王が勢揃いしている。しかし、口出しはしない。


メガネが話を続ける。


「喫緊の情報だと、ピースサイダーまで来ています。どこで反乱を嗅ぎつけたのか」


「まだ昨日の今日じゃん。早すぎ」


「四天王を向かわせましょう。混乱の収集はまだですが」


「ハチ公相手するんだから無理でしょ。総隊長ならやれるかも」


「じゃあ総隊長待ちですね」


「皆もそれでいい?」


飯テロに対抗する術のない今、ふざけられる者はいなかった。




ねこ総隊長は同盟の首都にいた。冴えないビルの一室。ラジオだけが置かれている。光はない。ねこは椅子に座り、ラジオから流れる蛍の光を聞く。雑音が混じり、音楽が止まる。声が発せられた。女性の声。


「我々ウォーターメロンはお前達に失望した。お前らは我々の支援に応えられず、撤退を繰り返した。支援は打ち切りだ。今後、関わることはない。だが飯テロはやれ。これまでの恩義は忘れるな」


「しげみこわいでしょう」彼は平常運転だ。


「もし飯テロをやれたら支援を再開してやる。知りたい情報も伝えよう」


「どうでもいいわ」


「ならば話は終わりだ。最初から、こうすればよかったよ」


ラジオから言葉が流れなくなった。再び蛍の光が流れる。ねこは立ち、出てった。


「隊長」


仮面の少年がいた。ねこの護衛だ。


「支援、打ち切りですか」


「仕方ないね」


「……結局、ウォーターメロンって何者だったんでしょうか」


「牛だ。モーモー」


「モーモー」


少年はねこに助けられた。義理の固さのため、ねこといる。そこにあったのは確かな依存だった。香しいまでの盲従があった。

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