オークと食休み
本日2話目です。
俺たちは食料を集めて合流した。
アンネは木の実、俺は山菜らしきもの、そして、ボスは食料採取前に植物中心でと決めたはずなのだが、結局割り切って狩りをしたらしい。肉を持ってきていた。え?襲ってきたからやむなく?ならいい、のか?
なお、リストにはその間に安全地帯で調理の準備をしてもらっている。今回のボスではないが、レベル1のリストが採取中に襲われた場合、逃げること自体は可能でも、その過程で食料を全て置いていく羽目になると言ったことが起こりうるという理由からだ。
持ち寄った食材をリストに渡して暫く待つと、中々おいしそうな匂いが漂ってきた。その間に、俺たちは狩りの間の話をすり合わせる。
「まぁ、なんだ、俺はてっきり、レッドキャップ……いや、ゴブリンなんかが赤い帽子をかぶっているんだと思ってたんだが……」
「そこに、こいつが現れた、ってわけね」
そう言って、アンネは俺に思い切り引き抜かれたせいで伸びているキノコ……アンネによればマイコニドというらしいその存在を見下ろした。
「確かに、スマッシュにお届け物、なんて言うからてっきり動物系の魔物か冒険者だと思ってたわ」
「そうなると、捜索範囲は同じでも、注意する場所は格段に増えますな。しかも、この階層、どうやら木々も赤いものが見えるようですし」
確かに周りを見てみれば、木々は秋の様相を呈していると言っていい、緑と黄色と赤が入り混じった風流な景色だ。
「いや、逆にそれなら木は見なくてもいいかもしれないな」
「どういうことですかな?」
ボスの言葉に、俺は届け物を頼まれたときのことを思い出す。
「この届け物を渡されたとき、”スマッシュは赤い帽子をかぶっている”って言われただろ?逆に言えば、それ以外の条件は伝えられていない。……まあ、エリアさんが抜けているだけっていう可能性は拭えないが、これって赤い帽子をかぶっていたらそいつはスマッシュだってことだ。もっと言えばスマッシュ以外は赤い帽子をかぶっていないってことにならないかと思うんだが、どうだ?」
「つまり、複数本紅葉している、つまり赤い帽子を被っている木々は区別できない、つまり、そもそも依頼者のエリアさんからして意識の外にあった存在ってことね?」
「まあ、ぶっちゃけトレントとかの魔物じゃなくてただの木なんだろうと思うよ。恐らくな」
そう言って、俺は改めて、マイコニドを見下ろした。
「ってなると、一番有り得そうなのは、こいつらなんだが……この森で赤いキノコは見つけてないんだよな」
そう言って頭を悩ませていると、リストが完成した料理を持ってきた。どうやらしっかりと厚底の鍋を持ち歩いているらしく、かなりしっかりとした鍋料理が出て来た。聞くと、調味料を混ぜ合わせた出汁玉というものがあり、それを材料と一緒に煮込んで作ったらしい。
一口食べると、俺たちは一瞬その動きを止めた。そして、一筋の涙が俺の頬を伝う。
「そうだよ……料理って、こういうもんなんだよ。あぁ、美味い。美味いなぁ」
見ると、アンネの目にも涙が浮かんでいた。そして、小さな声で帰ってきたんだぁ、みたいなことも呟いていた。因みにボスは普通にお代わりしていた。まあ、ボスにとってはただただ未知の美味ってだけだからな。
今までも調理のようなことはしていたが、俺もアンネも、ついでに言えばアリシアに関しても、料理に関しては素人だ。調味料が限られていたこともあり、複数の調味料を混ぜ合わせて、出汁の味までする料理は感動ものだった。
俺たちが久々の本格的な料理と言える食事に感涙しつつの食事を済ませると、リストが話しかけて来た。
「それで、スマッシュさんのいる場所の見当はつきましたか?」
「あぁ、何を探すかは決まったが、場所の見当はあまりついていないな」
そうして、リストにも俺たちが考えたことを伝える。
「なるほど、植物系……具体的にはキノコの魔物ですか……」
そして、彼はにっこりと笑った。
「ええ、それなら知っていますよ。案内しましょう」
こうして、俺たちはリストに案内されるまま、3階層を進んで行く。木々の間を抜け、茂みを通り、そして、階段とエリアさんの間を通り抜け……。
「いやいや、ちょっと待てよ、え?まさか、こいつがスマッシュ?」
赤々とした笠を被った巨大なキノコを、俺たちは2階層に続く階段の真後ろに見つけたのだった。
遅ればせながら!
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たくさんの方に見ていただいて、本当にありがたく思っています。物語はまだまだ序盤~中盤くらいですが、引き続き、楽しんで頂ければと思います!!




