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幕間 真紅の竜女は運命を探す。

ふと思いついたので閑話です。

今後作品にちょい役として登場予定のサスティナちゃん回。

「ふふふ、これで、これで姉様たちをぎゃふんと言わせられるのじゃ!」


 わらわの名前はサスティナ!偉大なる龍王、オキの玄孫にしてノーブルドラゴンのサスティナである!

 わらわは、少し前まで世界を、否、正確に言えば世界の(おのこ)どもを恨んでおった!

 わらわの美貌に見向きもせず、まるで見せつけるかのように他の雌に種を振りまく者達、まだ男を知らぬわらわはそれはそれはやきもきとした。じゃが、わらわは偉大なる龍王の玄孫。そうおいそれとこの身を差し出す気にはならなんだ。そうして、わらわは(つがい)を作るのに適した年齢になっても、(おのこ)どもと交わることができんでおった。


 それでもそうなって2年ほど前まではまだましであった。わらわの住んでいた場所には100ほど家族同然の仲間がおったが、その中にわらわよりも年上で、まだ(おのこ)と交わったことのない者がおったからじゃ。

 その竜、ヘキサエルヴ……ヘキ姉は、竜には珍しく、おとなしく内向的な性格であった。ホーンラビットにマンドラゴラを与えたり、ケルベロスにお手を仕込んで楽しむような素朴な竜であり、間違っても、泥遊びついでにマッドゴーレムを殲滅したり、海中に潜って白鯨(ザラタン)の幼生をダース単位で狩るなんて考えもしない、おとなしい竜であった。


 ……ところで、疑問なのじゃが、なんで皆マッドゴーレム狩りやザラタン狩りをあまりしないんじゃろうか?結構楽しいんじゃんがなぁ。


 と、話がそれた、そんなおとなしいヘキ姉は、当然出会いも少なかった。じゃが、それでも、彼女は2年前に結婚が決まったのじゃ、しかも、竜王様のお姉さまの実息だというではないか。


 名をオ-ロバスと名乗っておったが、確かにあれは美しい水龍であった。流麗たる流線型の体に、輝く鱗、そして、白銀に輝くその姿……。いかんいかん、ついよだれが……。


 って、そんな話はどうでもいいのじゃ、とにかく、そんなこともあって、わらわは集落の中の仔を成せる体の者で唯一つがいがおらぬ雌となったわけじゃ。


 ……針のむしろじゃった。母の「早く相手つくりなさい」と訴えかけている気がする眼が、「いいとこのお嬢さんなのにまだつがいがいないの?」と儂が通るたび噂をしているような近所のおばちゃんたちの声が、そして、口さがないほぼ同い年の竜たちの「え~まだ相手いないの?まあ、ティナちゃんの性格じゃぁね~。性格的には、ティナっていうより、ティラって感じだしね~」という言葉が。


 わらわは逃げたくなるような羞恥心と、絶対にイイ男を捕まえて母も、近所の人たちも、わらわの精神を蝕んだあの竜たちもぎゃふんと言わせようという克己心のために旅に出たのじゃ!

 

 それから1年と少し、全く成果が無かった旅であったが、まさかオークに教わるとは思わなんだ。イケメン伴侶を自分で育てる!素晴らしい発想じゃった。


「さて、問題は場所じゃが」


 わらわはそこでひとまず考えてみる。


 人里に近いところに行く。これは上策のように見えて下策じゃろう。何故なら、偉大なるノーブルドラゴンの威容は普通の人間からすれば、見ただけで逃走を決意するようなものであるからじゃ。

 というか、実際何度か逃げられているのじゃ。あんまりやりすぎると、竜王様直々にお叱りをうけるので、この案は却下じゃ。


 では、人里から遠いところに行く。……論外じゃな。わらわは別に気が短い方ではないが、ならいつまでたっても良いという事ではない。流石に山奥で一人寂しく棲むとか勘弁なのじゃ。


 では、どうするか、悩んだわらわは、一つ良い案を思い浮かべた。


「よし、他の竜に協力を頼もうではないか」


 竜は、わらわほどではないにしろ、基本的には皆高い知性を持つ生き物じゃ。それ故に、人間の住処の近くに住み、コミュニケーションをとっている竜族も存在する。


 そう言った者に手を借り、あるいは一時的に住処を借り受けることで、ある程度頻繁に人が来るような人里に住みつけるのではないじゃろうか。


「……しかし、わらわの事を知っている者に頼み込むのも少し恥ずかしいのぅ」


 ”見返す、と言って出て行って、結局他の竜のお世話になったの?”みたいに言われるのは、正直我慢できないところなので、頼みに行く竜は絶対にわらわを知らない竜にする。


「下位竜ならわらわの事など知らんだろう!よし!なら、丁度いい下位竜探して巣を譲ってもらうのじゃ!」


 そう言って、わらわは大空を疾駆していったのじゃ。


 そうして見つけたのは、火竜山脈近隣の村であった。目を付けた竜は、どうやら鈍色の鱗を持った地竜のようじゃな。本来であれば知性すらない個体もいるくらいの下位の竜なのじゃが、あの大きさならば意志疎通くらいはできる程度には育っていよう。


 そう思い、わらわはかの地竜の住処の前で、あいさつ代わりに咆哮したのであった。

後半に続く。


なお、作中に出て来たオキ様は竜帝ではなく、火竜山脈の魔王その人だったりする。

オ-ロバスの母親であるトゥーリ様は水底都市の魔王だったりするので、この家系はかなり優秀。

 サスティナさんは魔王の曾々孫という立場な以上、強さだけで言えば普通の竜よりもかなり強い。それでもモテなかったのは、本人がやんちゃしすぎていたからだったり。

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