グォークとオークキング
大ボス登場!
俺がアンネと別れ、帰路についていると、不穏な空気が漂ってきた。何やら木々が不自然に揺れ、グォークは何かに押さえつけられたかのような感覚を前方から感じた。
そして、その直感を信じて覗き込んだ先にいたのは、他のオークと比較しても巨漢と言って差しさわりの無いほどの巨体を持ったオークだった。そして、そのオークの巨体は強固な鎧をまとうことで、更に存在感を主張していた。
まさか、もうすでに?と考えていると、そのオークは何かを感じたかのように振り返った。俺はまずい、と思い、思わず衣服を引き裂いた。
なぜ?と自分の行動に疑問を抱きつつ、成り行きを見守る。
「オークか」
人類語を話した巨大なオークに、俺は内心驚きつつも口から声をこぼした。
「ぐぉぉぉ?」
ここに至って、やっと俺は思わず服を破り捨てた意味を理解する。そう、野良オークは服を着ない。なら、このオークがオークキングに関係するオークであるなら、知的なオークがこの森にいることを察知されるべきではない。現状愚かなオークのふりをするのが最適解……ということを無意識に判断したのだろう。
俺は数秒前の自分に感謝しつつ、普段見ている集落のオークになり切る。しかし、そのオークは俺をしばらく見た後、にやりと笑いかけて来た。
「グハハハハ。下手な演技は止めることだ。お前が言葉を話せるかは知らんが、この状況を理解できんほどに愚かなオークではないだろう?グォークィア?(バカモノ?)」
俺は内心舌打ちをした。この巨漢オークが発した言葉は、俺の名前の由来であるグォークよりも上位の罵倒表現だ。具体手に言えば、狩りとかを失敗した時に「やーいやーいノーコンオーク!俺はきっちり狩り成功させたぜ!ぷぷぷ!ダッセ―」みたいな感じで使われるものだ。当たり前だが、普通に挑発であり、ただのオークなら何を置いてもいきり立って襲い掛かってくるだろう。しかし、目の前のオークに俺が勝てる可能性が高くない以上、俺は動くことができない。
「やはり、動かないか。愚かを装った賢きオークよ。このオークキングに見えたこと光栄に思うがいい」
ばれてしまった。俺が普通のオークではないことを。しかも、最悪なことに、尤も知られてはいけないオークキングにだ。俺はどうすればいいのかに頭をフルに働かせる。
「俺は賢いオークは好きだ。俺にしたg……」
「承知した。俺はあなたの剣となり、盾となろう」
先んじて告げられたその言葉に、オークキングは目を見開き、そしてにやりと口元を緩ませる。どうやら、オークキングの予想以上に知能の高い個体だったようだ。
そして、オークの王は、グォークを引き連れ、今はボスと呼ばれているオークの居る場所に向かって歩き出した。
side オークキング
俺は賢い。俺は強い。少なくとも今俺に従っているオークよりも強くて賢いのは確実だ。俺はこいつを自由にできる。こいつは俺を裏切れない。
しかし、こいつはかなり賢いだろう。多分コノエと同じか、それ以上に賢いだろう。そして、それはつまりコノエと同じくらい使えるということだ。こいつとコノエが居れば、どんな敵であろうと簡単にエサにしてしまえるに違いない。
人間の住処を襲う日も近い。そんな中でこいつを手に入れることができたのは幸いだった。
さあ、蹂躙を始めよう。
主人公が誘拐される話があるらしい。
……いや、よくあるか。




