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オークとオークキング対策

本日2話目です。

 さて、オークの大量発生がオークキングらしいということが分かったわけだが、じゃあなんだ、という話ではある。確かに襲われる人間に関してはご愁傷さま、としか言いようがないが、オークというのは(基本的には)同族のオークを積極的には襲わないわけで、極論俺たちには関係ないし、そもそも人類側も俺たちの参戦を望んでいるわけではないだろう。

 アベルによれば、彼らもオークキング対策に乗り出しているようだし、せいぜいとばっちりで倒されないように引きこもっているのが正解だろう。

 そもそも、仮に手助けしようとしても良くて戦況を混乱させ、悪ければオークキングと共に討伐されるのが関の山だ。


 と、そんな話をアンネにしたのだが、アンネは俺のそんな考えをバッサリと切り捨てた。


「グォーク。暢気にそんなこと言ってる場合じゃないわよ。こっちも対策しないと」


「ん?オークキングは遠からず人間たちに討伐されるだろうし、前聞いた時のランクは俺の二つ上……シーサーペント級、だったか?並みの冒険者なら返り討ちに会うが、このあたりで一番近い国には100人単位でいるって言ったのはアンネじゃなかったか?」


 そう聞くと、アンネはゆっくりと口を開いた。


「……確かに、グォークの言ってることは正しいわ。シーサーペント級はかなり強力な魔物だし、ベテランの冒険者でも返り討ちにあう強さを持っている。とはいえ、国として見れば余裕を持って対処可能と言った強さの魔物よ。しかも、繁殖力が高く冒険者だけでなく旅人なんかも襲うから、国としても最優先で対処するでしょう。

 だから、いずれ討伐される、というのは間違いないと思う。だけど、それが私達、というか、私たちの居る集落に悪影響を及ぼす可能性は低くないと思うのよ」


「……それはつまり、討伐隊がオーク軍を殲滅できずに、こっちに退却してきたりして、主戦場がこっちに移動するってことか?」


「そうなったらまだましね」


 アンネは苦々しく笑った後、別の言葉を続ける。


「でも、それなら簡単よ。敗走してきたなら、待ち伏せたうえで相手に気付かれる前に闇討ちすればいい。オークキングはオークよりも強いけど、弱点はオークと同じだし、他のシーサーペント級に比べれば弱い部類に入るわ。こういういい方はあまりよくないけど、ボスの恋人を通じてゴブリンを斥侯にでも利用できれば、暗殺もたやすいはずよ。

 ……ただし、そもそもそれ以前に、オークキングの能力はオークにしては高い知性と、オークを従えるという能力よ?」


 それを聞いて、俺もようやくアンネの危惧していることが分かり始める。


「つまり、オークキングが人間たちとの開戦前に、黒き茂みの森のオーク達もかき集める可能性があるってことか?」


「そう言う事よ。戦場での役目とか全く知らなくても、群れを統率した経験と、ある程度の知能さえあれば、複数体で戦う方が単体で戦うよりも有利だなんてことは当然知ってるでしょ?そしてオークキングがその勢力を拡大させるなら、群れの規模は大きい方がいい。それに、オークキングの伝承やボスの能力を参考にすれば、オークキングの能力は十中八九オーク達に命令をできるタイプの能力を持っているということが考えられるわ。

 それもボスの強制力を持った言葉よりも効果の高いものの可能性が高いわね」


 それを聞いて、俺は改めて背筋が寒くなるように感じた。ボスの強制力はそれほど強力ではない。せいぜいが戦え!逃げろ!食べろ!有効な命令はせいぜいがこの3種類。しかも、達成されないことも多いものだ。

 だが、その強制力は実際に存在する。

 今現在俺が知っている命令の強制力は確かに、命令されたオーク自身が拒否感を覚えれば抵抗できる。が、進化して発揮される能力が抵抗できるものかどうかは分からない。

 ……というか、大集団を形成している時点で強制力はボスのそれよりもかなり強いものであるに違いない。俺やボスに関しては明確に拒否感を持てるため、もしかしたら抵抗できるかもしれないが、他のオークに関してはその軍勢の一部になってしまう可能性がかなり高いだろう。


「と、なると、俺たちはオークキングがいる場所へ向かって、相手の行動よりも先に、こっちにオークキングが来ないように細工するか、オークキングを倒すかしないといけないという事か」

 

 かなりの数のオークがオークキングの影響下にあると考えた場合、オークキングの命令の強制力がかなりの広範囲に及ぶ可能性もある。そうなれば、森にキングが入ってくるだけでも俺たちの集落へのリスクとなってしまう。

 となれば、オークキングが行動を起こす前、つまり、もうこの後すぐにでも行動を起こすべきだろう。オークキングがこの森に注目しているようなそぶりがあるとは聞いていないが、オークキングに人間たちの討伐隊を察知されたりした場合は、軍隊を求めてこちらに来ることも予想出来る。


「まあ、確実にオークキングが来ると決まったわけでもないし、集落の周辺に警戒用の罠でも用意しておきましょ。私の新しい魔法も結構役に立つと思うわよ」


 とりあえず、新しい罠を作ることを決め、罠を作るための材料を準備することになったのだった。

 なおボスはゴブリナのところに行っている模様。


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