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オークの襲来

冒険者「あ!グォークの旦那!」

グォーク(えぇ……声かけちゃう?)

「へえ、旦那の連れに恋人がねぇ」


 俺はなぜか、再び男冒険者~名前をアベルというらしい~と話していた。彼らがオークの森に出入りしていることは知っていたし、何度かすれ違ったりしているのだが、俺たちはあえて声をかけずに避けていた。魔物と人間、話しあえれば確かに有益な情報があるかもしれないが、それには相応のリスクがあるとも考えられたからだ。彼の連れである、アリシアの反応からして、最悪アベルが反逆者として処罰される可能性すらあり得る。

 が、そんな風に考えていた俺に、アベルは気にすることなく話しかけてきたのだ。

 この状況で答えないというのも、下手すると敵対されたと思われかねないため、応答せざるを得なかった。


「まあ、そんなこともあったんだ。それで、お前はなんで俺を引き留めたんだ?分かっているとは思うが、俺とお前が話し合ってるところを他の冒険者に見られたら、お前の連れのアリシアみたいな反応をされて厄介なことになると思うぞ?」


「用がなければ話せないってことっすか?俺とグォークの旦那の仲でそれは水臭いっすよ……まあ、確かに話すことはありやすがね」


 なお、彼の連れであるアリシアはと言えば、今日は来ていないようだ。アベル本人は「別行動だ」なんて言っているが、最悪パーティ解散されたんじゃないか、こいつ。


 それは兎も角、案の定要件があるようだ。俺が話を促すと、アベルは頷いて話し始めた。


「実は、オークの大繁殖の理由が、上の方から発表されまして」


「本当か?」


 俺たちには直接かかわりのないことだが、同じオーク族だ。大繁殖の理由を知れるなら、知っておきたい。


「上、詰まるところギルドからの発表によれば、平原の奥から来たオークの群れの中に、オークキングが確認されたって話でさぁ。オークキングって言やぁ、オークの知能を上げて統率するって言われてやすからね。恐らくオークキングの能力で旦那の言ってた、死に難い条件ってやつが揃ったんじゃないかって噂でさぁ」


 それを聞いて俺は頷いた。オークを統率する、という能力で思い浮かぶのはボスの命令権だ。仮にオークキングの統率能力がボスの上位互換であり、さらに言えばオークキング自身がボス並みでも知能が高いのであれば、危険な場所を避けるなどしてオークが増殖できるような環境が整えられたとしてもおかしくない。


 と、考え事をしていると、アベルは手を合わせて声をかけて来た。


「それで、グォークの旦那に二つほど、お願いしたいことが……」


「ふむ、なんだ?」


「まず一つは、オークキング討伐の許可っすね。旦那の同族ではありますが、流石に普段の数十倍、数百倍に膨れ上がったオークの軍勢はみのがせやせん」


 俺は大きく頷いた。それに関しては、俺が関与することでもない。正直な話をしてしまえば、黒き茂みの森の集落にいるオークでさえボスや雌オークなどの印象深いオークでなければ、弱肉強食の掟に従い刈り取られてしまっても仕方ないと考えている。まあ、勿論、目の前で殺されかけているオークの姿を見つけたら、反射的に助けてしまうかもしれないが。


 俺が頷くと、アベルはにこりと笑って続きを話した。


「もう一つは、旦那にこの森から出ないでほしいんす。前話した時の反応で、多分大丈夫だとは思ってるんっすけど、もし仮に旦那がオークキングに加勢なんかした日には目に見えるくらいこっちの被害が広がりそうでやすし、仮にオークキング側でないにしても、旦那を見分けることもできないくらいの乱戦になると思うっすから」


 これに関しても全く問題ない。……いや、まあ、このアベルという冒険者がオークの集落を大量の冒険者で囲んで包囲網を構築して殲滅、なんてことを考えている可能性もゼロではない。

 だが、そこまでするならもっと楽な方法がある気がするし、それに森から出ない、という条件にすると、森を全て覆う作戦だと仮定すれば端から端まで最低一か月かかる森を全て囲まなければ作戦が実行できなくなってしまう。流石にそれはないだろう。


 とりあえず、俺はもう一度アベルに頷き、返答する。


「まあ、この森のオークでないなら、とりあえずは問題ない。森の外に出る予定も今のところないから、そっちも大丈夫だ。それくらいなら協力しよう」


 俺の横では、アベルに貰った妖精用の服を着て、喜んでいたアンネが、何故か今度は偉そうに頷いていた。何してるんだ、こいつ。まあ、ずっと頷いているアンネは無視して、俺たちは握手を交わし合って別れたのだった。


 なお、その後確認したところ、アンネが頷いていたのは、久々の新しい服にはしゃぎすぎて、俺の肩で船をこいでいただけだった。なんだややこしい。と俺は苦笑するのだった。

アベル「ってことで、オークの旦那と話してきたんでさぁ!」

冒険者A「ガハハハ!アベルが冗談とか珍しいな!」

冒険者B「そう言う冗談、良くないと思うわよ。不愉快だわ」

冒険者C「興味深いですね。創作でなければ」

アベル「(本当なんっすけどね)もし本当にそんなことがあったらどう思いやす?」

冒険者ABC「「「いや、まあ、さっきの話が本当で、話が通じるならいいんじゃないか?」」」

アリシア「(# ゜Д゜)」


 この世界、純粋な人間種以外にもいろいろといるせいで、モンスターでも意外とおおらかに対応されるという。アリシアさんは若干潔癖寄り。

 まあ、目の前でされるのとは威力が違うっていうのもあるけど。

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