突撃、オークの晩御飯(調味料調達的な意味で)
すみません。出す順番まちがえました。
テイストレント討伐に向かう俺たちの装備は、ありあわせだが少し変更してあった。
まず、俺とボスは斧装備。この世界に種族特攻、みたいな武器があるのかは知らないが、少なくとも木を切るなら斧だろう。ほぼ選択の余地はない。それに、最低限なめしたり水にさらしたりして、匂いと感触を良くした皮をマスクにし、石も大量に用意した。最後の催涙効果のある木の実攻撃の対応は、アンネに任せる。
そして、アンネは新調した荷物袋にすっぽり入り込んでいる。自分の足で逃げ回るより、俺に運搬されていた方が安全という判断だ。
先ほどの場所に行くと、トレントは赤い目を光らせ、せわしなく目線を動かしていた。どうやら俺たちを探しているらしいが、その場から動く気はないようだ。
「ボス、頼む」
「ワカッタ」
ボスが頷いてトレントに襲い掛かる。トレントは赤い光をボスに集中させ、ボスを倒さんと攻撃を始めた。
そして、ボスの目にはアンネの用意した水の膜が張り付いている。
「”水操作”でこんなことができるとはね」
そう、俺は眼鏡などの代わりに、水の膜で目つぶしを封じたわけだ。これだけでも大分楽になった。だが、それだけでは終わらない。ボスが攻撃を始めて数分、俺は、満を持して石を投擲する。
ただ、それはテイストレントにではない。
俺の投げた石は、非活性化していた別のトレントにぶつかり、活性化したそのトレントは、その場で一番暴れ回っている相手、即ち、テイストレントに向かって反射的に攻撃を加えたのだ。
それは驚愕と言っていいのだろう。突如攻撃されたテイストレントは、その攻撃の主が自分と同じトレントであることを知り、全ての目をそのトレントの方へと移動させたのだから。
そして、それは、俺もボスも遮られる物がないという事。俺たちは十分に力を込めて、斧を振りかぶり、そして打ち付けた。
「ギギギギギギギギギギ!?ギギ、ギ……ギ……」
二体のオークに体の両側から切り裂かれ、幹の半ばまで引き裂かれたトレントは驚愕の声と共に次第にその動きを緩慢にさせていく。俺たちはその声を無視して、もう一度斧をトレントに叩き付け、そして、へし折った。
「よし!ボス、逃げるぞ!」
朽ち木とはいえ、丸太をそのまま武器にするオークの怪力、それが二人合わされば、トレントに攻撃されながらトレントの倒木を引きずって戦線を離脱するのも不可能ではない。そして、俺たちはトレントの倒木を引きずりながら、トレント達の勢力下から逃げ出したのだった。
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「こっちは……からっ!めっちゃ辛いわよ」
「こいつは胡椒。こいつは……塩だな。それに……あまっ!こいつ、香辛料だけかと思ったら、砂糖……いや粒じゃないから……なんだ?とにかく甘い実も付けるのかよ!こっちとしてはうれしい誤算だが」
「ウマイ ト カライ ト シヲ ノアジ? ドレ ノミ ガ ドノアジ?」
無茶な運搬で多くの実が駄目になったのは残念なところだが、それでも3人で分けるなら一年や二年余裕で持つほどの調味料が手に入った。ボスは色々な味がありすぎて、混乱しているようだ。
結局、殆ど俺とアンネが仕分けた結果、以下の調味料が手に入った。
胡椒、塩、唐辛子パウダー、コンソメ、砂糖、シナモン、用途不明の匂いのきついその他
何となく、匂いのきついその他諸々の中にターメリックとかカルダモンとか名前しか効いたことのないそこら辺の香辛料に該当するものがあるんじゃないかと睨んでいる。場合によってはカレーとかも作れる気がするが、そう言った研究はまた今度だ。
今回は俺の独断で、塩と胡椒、それに少しだけ唐辛子パウダーを混ぜてまぶしたピリ辛ステーキを作って食べることにした。
厚切りにしたステーキを焼き、そこに塩と胡椒、そして唐辛子パウダーを加える。もう匂いからして食欲をそそる香りが漂っている。
「マダカ!?マダ タベル ダメカ?」
「ちょっと、グォーク、これ、めっちゃ美味しそうなんだけど。私、よだれ止まんないんだけど!」
安心しろ。俺もだ。
そうこうしているうちに焼き上がった肉に向かって、俺たちは我先にと手を伸ばした。結果は……言わずとも分かるだろう。
こうして、俺たちは調味料を手に入れ、豊かな食生活を手に入れたのであった。
なお、調味料の匂いを嗅ぎつけて雌オークが俺を追いかける時の精度が上昇したのは、また別の話である。
今日は3話投稿します。




