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デブスの没落貴族に転生したら、やっぱり成金ブサメンと政略結婚する流れになった  作者: o槻i
邂逅編

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84/90

84.ペット

※※※※※お詫び①※※※※※


投稿ミスをしてしまい、本来83話で投稿するエピソードを82話で投稿してしまいました。

そのため昨日(3/14)、それまでの82話を83話に繰り下げて

82話を新たに追加しました。


ストーリーの繋がりもありますので、82話を改めて読んでいただけますと幸いです。


手違いを起こしてしまい、誠に申し訳ありませんでしたm(_ _)m


 



「……お前、太っただろ?」

 馬場へ顔を出すなり、ユベールに頭の天辺から爪先まで舐め回すように見つめられた後、開口一番そう言われた。

「えっ……で、でも。一キロくらいですよ?」

「あほかー!」

 ほわた、と空手チョップ旋毛に喰らう。

「分かって言ってんのか、ソレ。デブがリバウンドした時に言い訳するセリフだぞ、デブの!」

 やたらデブを強調する言い方に、耳が痛い。そしてめっちゃ顔も痛い。

 ラシェルが抗議の声を上げる暇すら与えず、ユベールが鬼の形相でアイアンクローかまされなかっただけマシと思えと、片手でラシェルの顎下から両頬を掴み上げてきたのだ。

 ずびばぜん……と、全然可愛くないアヒル口に強制的にさせられながら、ラシェルは許しを乞う他なかった。

「いいか、危機管理意識のユルいお前にとっては一キロなんざ大した数字ではないかもしれんが、馬にとっては、それはそれは多大なる負担なんだぞ!」

 出た。やっぱり出た。ユベールの専売特許、安定の馬バカ発言。

 てゆーか、馬馬鹿(バカ)て。

 何かもう、日本語よく分からん。

「でぼ、ぜんぱいだっで基礎トレと基本ステップばっかりで、ぢっども先に進んでくれないじゃないですがー」

「馬鹿を言え」

 そこで漸くユベールは締め上げていた手を放し、今度は腕組みしてラシェルに諭す。

「お前みたいに、この年齢(とし)から馬術を始める馬鹿なんてまずいないということを自覚しろ。殆どの連中は、小さい頃からこういう基礎練習を長年積んできているんだ。ホラ、昔からよく言うだろ。飯炊き三年、握り八年。そういう事だ」

 いやそれ完全に寿司職人の修行ですけどと内心ツッコむも、ゲホゲホと咽てしまい言葉にならない。

 てか、何で寿司? この国に寿司文化ないよね?

「まぁ、それはともかく……」

 ともかくなんだ……と、まだ痛むほっぺたを擦り擦り、目を細めてうろんにユベールを見返す。

「まずはアレを何とかしろ」

 目障りでならん、と、馬場の端にできた黒山の人だかりを指して不機嫌度MAXな剣幕で詰め寄られた。

 アレって何だと思いつつユベールを両手で制していたら、その人だかりの中心から声がかかる。

「おーい、ラシェルちゃーん!」

「あっ、アンリ様……?!」

 振り向いたラシェルと目が合い、彼の人が満面の笑みを浮かべて大きく手を振る。

 瞬間、ずしりとラシェルは頭の上に大岩が乗ったような頭痛に見舞われた。

 徐にユベールの方を向くと、顎で行けと指示される。追い返せ、と。

 馬場を荒らす奴は何人たりとも許さんといった表情で、先輩は相当お怒りのご様子である。

 ユベールの尤もな怒りに観念して、ラシェルは重い足取りながらもアンリの傍まで行くと、彼は丁重に周りの女子たちを人払いしてくださった。

「やっほー。部活、楽しそうだね」

「お陰様で。ところで、私に何か御用ですか?」

 視線を彷徨わせたまま用件だけ聞こうとするラシェルに、今日も可愛いねと相変わらずのノリでアンリが微笑む。

 レイラの誘いを断った理由でもある「家の用事」とやらで、そのまま双子は揃って一週間ほど学院を休んでいたため、アンリとは遊びでプロポーズをされてブチ切れた一件以来、顔を合わせるのはこれが初めてだった。

 再びクロードが登校して来るようになってからも、アンリは遅刻と早退を繰り返していたようで、生徒会室でも会うことはなく、わざとか偶然か、すれ違いが続いていた。

 まぁ、あんな喧嘩別れをしたのだから、当然と言えば当然とも思う。()く言うラシェル自身も、今だにこうして面と向かっていることすら、何だか気まずい。

「冗談は結構ですので、御用件を」

「それ、馬術部のユニフォームなんだ。胸元のシャツのボタン、今にもはち切れそうな感じがエロくていいね」

「は?」

 慌てて胸元に目線を落とす。

「レイプするみたいにそのシャツ、力任せにボタン吹っ飛ばしながらひん剥いて、ラシェルちゃんのおっぱいぷるんって出るところ拝みたいなー」

「おととい帰って下さい」

 何言ってるのかちょっとよく分からないけど、要するにコイツも太ったということを言いたいのかと、ラシェルは心の中で憤怒する。ユニフォームのシャツは、確かに最近ちょっとバスト周りがキツくなったと思っていたところだったので恥ずかしさ倍増、つい顔が赤らむ。

 このところ、日課にしていたジョギングが疎かになっていた。平日は時間を取るのが難しいけれど、今度の週末から、また走り込みを始めようと心に誓う。

 そこで思いがけずアンリがガラリと表情を真面目なものに変えて、ラシェルの手をそっと握ってきた。

「な、何ですか……?」

 アンリの突然の変化に驚き、振り払おうと咄嗟に手を引っ込める。が、逆に強い力で引き止められ、真摯な眼差しを向けられた。

「やっと俺の方、向いてくれた」

 前にも聞いたことあるような台詞を吐き、アンリが嬉しそうに「あのね」と目をすがめる。

「あのね、俺、本気になっちゃった。ラシェルちゃんのこと」

「えっ……?」

 どういう意味だろう、という思いと、先のセクハラ発言はラシェルを自分の方へ向かせるためのものだったと知って、戸惑いの目でアンリを窺う。

 遠目では気付かなかったけれど、差し伸べられた手や彼の攻略キャラ然とした綺麗な顔にはコンシーラーとファンデーションが塗られていた。その下には無数の傷跡と痣が薄っすらと透けて見える。

「だから他の女の子、全部切ってきた」

「へっ……?」

 ちょーっと数が多かったから、時間かかったけどとアンリは破顔して後ろ頭を掻く。

 待て待て待て。

 何この少女漫画でイケメンチャラ男が、主人公に一途になる告白直前みたいなテンプレ台詞は。

 プロポーズごっこの次、今度は何の冗談かとラシェルは頭が痛くなる。あの手この手と次から次へ、非モテ女子を玩ぶのはそんなに楽しいかと、半ば呆れる思いがした。

 段々と気持ちが沈んでいくラシェルとは対照的に、アンリは自己陶酔真っ只中といった様子で真っ直ぐにラシェルを見つめてくる。

「俺、今まで女の子のことはみんな好きだから、みんな平等に愛せると思ってたんだ」

 そうでしょうなと、目の前の八方美人キャラをラシェルは胡乱な色で見返した。

「でも、それは本当の好きじゃないって気がついたんだ。こないだラシェルちゃんに本気で怒られて、目が覚めた。俺が本当に好きなのは君だけだって。こんな風にまともに向き合ってくれたの、君が初めてだったから。だから……」

 びくんっ、とラシェルの肩が跳ね上がる。

 マジモンの少女漫画バリバリなラブ展開を匂わせる盛大な振りに、ラシェルは身構えた。

 そんなに、身分が下の者を窮地に追い込むのがお好きかと忌々しく睨み上げるも、それでもアンリは何処までも優しい微笑みを携えて見つめてくる。

 そして恭しく片膝を付くと、もう一度ラシェルの手を取り、その甲に軽く口付けして彼は言った。

「俺のこと、君のペットにして下さい」

「…………………………………………はぃ?」

 想定外の言葉を耳にして、聞き間違いかと聞き返す。

「だって俺、侯爵家の息子ったって、次男だし。自由に使えるお金なんて実際のところ殆どないもん」

 てっきり、愛の告白劇場でもぶちかますのかと思いきや、まさかの専属隷従(ペット)契約とは……!?

 やるせない表情で肩を竦めるアンリを、ラシェルは思わず穴が開くほど見詰めてしまった。

 確かに、彼は彼で、色々と考えたのだろう。

 ない袖は振れない。

 こんな時だけ妙に現実的な提案を寄越す彼に、ラシェルは呆れた。

「だから俺、ラシェルちゃんの犬になろうと思って。ダメ?」

 一生尽くすから、お願いと拝むように両手を顔の前に持ってきて、頼み込まれた。

 いやいやいや。

 それにしたって、どういう理屈だとラシェルはたじろぐ。

 相手に惚れ込んだからと言って、金がないからと言って、自分から犬になるなんてほざく侯爵令息、初めて見た。

 けど、とラシェルは思う。

「なんかもう……つかれた」

「えっ?」

「すきにしてください」

「いいの?」

「良いも悪いも、今までの流れからして多分、私に拒否権ってないですよね……」

 はぁ、と溜め息を吐く。

 要するに、侯爵令息のお戯れ……ペットプレイに彼が飽きるまで付き合えと、そういう事なんだろうなとラシェルは理解した。

「けど私、手加減とか器用なことできないので、容赦なく貴方を犬扱いしますよ。本当に良いんですか?」

「望むところ、大歓迎だよ。まぁ、見てて。そんじょそこらの駄犬とは違う、忠犬だってことを証明してあげるから!」

 ドン、と利き手の拳で叩いた胸を張る。

 ヒトである己と犬とを比較してドヤる人間なんて、これまた初めて見た。

「何か問題が起きたら、全部貴方が対処してくださいね」

「大丈夫。責任は全て、俺がとるから」

 言質は取ったぞと、気を取り直してコホンと一つ咳払いし、それではとラシェルはアンリを見据えて声を張った。

「それでは僭越ながら、早速、犬の貴方に命令して差し上げます」

「うん? なになに?」

 嬉しそうに、まるで耳と尻尾が生えたような素振りのアンリが擦り寄る。本当に、単なる気の迷いという訳でもなさそうだ。……それはそれで怖いけど。

「回れ右でハウス! 取り巻きの令嬢たち連れて、とっとと馬場(ココ)から出てけぇッ!!!」




※※※※※お詫び➁※※※※※


先週末、胃腸炎にかかってしまい、高熱で頭も回らず3日間まったく動けませんでした。

その後も家族にうつしてしまい身動きがとれず、

更新が遅れてしまいましたこと、重ね重ね本当に申し訳ありませんでしたm(_ _)m


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