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道具師転生

白い部屋だ…


いや、正確には部屋とはわからないくらいの白さが視界に入る。

そして、目の前には一つのタブレットが浮いている。

白いタブレットの液晶の黒さだけがやたらと目立つのだ。

恐る恐るタブレットに近づくと液晶画面が反応し文字を写しだした。


:城高 紅葉 様、アナタは不慮の事故で亡くなりました: 


「ああ…そうだ、思い出した…」


俺は城高 紅葉

女の子のような名前だが30歳の男性だ。

職業は貿易関係の商社マン、黒とは言わないが灰色な会社環境。

その日も急いで次の取引先に向かおうとして、建設中の高いビルの前を走っていた時…

「そこから記憶がねえな…でも少し思い出したぞ…」

グシャっと音がした…と思う。

「上から鉄骨でも降ってきたのかな~…」

ヤバい少し震えるな…ここは天国なのか…?

そんなことを考えていると、タブレットの表示がかわる。


:城高 紅葉 様には何も落ち度は無く、こちらの事務処理上の手違いでお亡くなりになりました。このたびは申し訳ありません:


「何と言うか…もうタブレットで謝ってくる事が事務処理的というか、本当に謝る気ないだろコレ」

天国はこんなにも事務処理世界なのかと呆れていると、タブレットの表示がまた変わる。


:城高 紅葉 様には他の世界…異世界に転生してもらいます。その為のご準備に300ポイントの転生ポイントを差し上げます:


「転生ポイントって、なんかのキャンペーンが始まったのかよ…」

こっちのツッコミを無視して、タブレット表示がさらに変わる。


:転生先をお選びください

>鉄と火薬の世界アイアンディーン 20ポイント

>宇宙と光の世界スペースルド   20ポイント 

>魔法と武器の世界マーディス   20ポイント


「おいっ!コレ転生先選ぶのにポイントかかるじゃないか!実質もらえるポイントは280ポイントだろ!」

そんな俺の訴えなど意味ないかのごとくタブレットは転生先を表示し続ける。

「はぁ…もういいや、転生先か…」

俺は争い事が嫌いだ。

争わずにすむならそれに越したことはない…

「鉄と火薬の世界はいかにも世紀末感だよな、宇宙と光の世界はSFっぽくて惹かれるけど宇宙戦争とかありそうだし、魔法と武器の世界はもう武器って言ってるしな…」

全部治安が悪そうな気がするぞ…

こういった時は無難が一番と決めている。

「魔法と武器の世界かな…正直、魔法使ってみたいしな」

タッチパネルであろうタブレットの魔法と武器の世界マーディスをタッチ…すると表示が変わる。

:次に種族を選んでください

>エデン種 絶滅した種族、この種は○○である。

>エルフ種 長命、魔法との相性が高い。

>獣人種  身体能力が高い、魔法との相性は低い。

>人種   身体能力、魔法能力は普通。 

>ゴブリン種 身体能力は普通、手足が短い。 

>オーク種 力が高いが脚が遅く、その肉は食用。

>カオス種 身体能力、魔法能力が高い。繁殖能力がとても低い。この種は○○である。

「少なくともこれくらいの種族はいるわけだ…しかしなんだこの○○って、気になるな」

魔法が使いたいならエルフだよな…でも定番で閉鎖的って可能性もあるし、ここは平均的な人種が一番だよな。

そう決断しタッチするが…

「あれ?反応しない?じゃあエルフ…あれ?こっちも反応しないぞ!?」

いくら人種やエルフ種の項目をタッチしても反応しない…妥協して獣人種をタッチしてみても反応無し。

「なんだコレ?あー…こうなったらエデン種はどうだ?」

エデン種をタッチしてみると表示が変わる。

:外見年齢と職業を決めてください:

「なんか作為的なものを感じるな…もとからエデン種を選ばせるつもりだったんじゃないか?」

とはいえここには俺とタブレットしかいない、アレコレ言ってもしかたなし…なので進む事にする。

「外見年齢は20くらいがいいか…職業…職業ね…そういえば…」

いくつもの職業項目を見ながら俺は子供の頃を思い出す。

子供の頃からゲームが好きだ。

しかし、興味を引かれたのは勇者や戦士ではなく…商人であった。

特に薬や役立つ道具を売る商人。

この人たちはどうやって道具を手に入れているのか?作っているのか、もしくは仕入れているのかと子供心で考えていたのを覚えている。

「商人…いや、この道具師っていいな、コレにしよう」

:道具師 様々な道具を作ることができる万能職業

20 ポイント:

をタッチ、残り260ポイントだ。

: スキルをお選びください

>オススメスキルセット

   >薬学[極]\魔導学[極]\工作[極]\植物魔法 

   >毒魔法

今ならコレに[アイテムボックス]がついてきて200ポイント:

「…なんか通信販売の抱き合わせ商法みたいなのがきたぞ」

しかし、お得かもしれない… 俺はこのオススメスキルセットを選ぶ。

残り60ポイント。

「このままだと身体能力に不安があるから、身体能力系のスキルを取るか」

少し考え[スタミナ]と[古武術]のスキルを取得。

残り20ポイント。

:最後に装備を選んでください

>駆け出し天剣士セット  20ポイント

>旅の天商人セット    20ポイント

これはもう商人の方しかないだろ。

[旅の天商人セット]をポチッとすると…

周りが光だした。


:高城 紅葉 様、このたびは誠に申し訳ありませんでした。あなたに幸多からんことを祈ります:


事務的ではあるが本当に謝っている気がする文字がタブレットに表示される。

「別に怒ってないんだけどな…」

そんな呟きと共に俺は光に飲み込まれた。

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