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17)指輪2

「僕は預かっただけだ。ルーイ、君は愛されているよ。僕とエドワルドのお小遣いからも少々協力したけれど。これは竜騎士達から君へだ」

指輪を差し出したベルンハルトは笑っていた。ベルンハルトとエドワルドと部下達が金を出し合って用意してくれたのは嬉しかった。どうしてもアリエルに渡せなくて、ずっと持っていた。

 

 夜、寝ているアリエルの指に指輪をはめて愛を誓った。気づかずに眠り続けるアリエルに安堵しながらも虚しかった。散々迷って結局外した指輪が、またアリエルの指にあるというのが嬉しい。


「愛している。ずっとだ。いいじゃないか」

「いつからか知りたいだけです」

「秘密は秘密だ」

「ルーイ」

「皆がお前にと贈ってくれたんだ。指輪をしていれば他の貴族も牽制できる。お前と本当に結婚したい。子供も欲しいな。エドワルドのいるベルンハルトが羨ましい」


 アリエルは微笑んだ。

「竜騎士達の発案だそうだ。ベルンハルトとエドワルドも一緒だ」

竜騎士達と聞いて、アリエルは心当たりを思い出した。言いたくないルートヴィッヒへの追求は止めた。


 アリエルは、めずらしく素直に希望を口にするルートヴィッヒに付き合うことにした。

「何人くらい欲しいですか」

「さぁ。男と女、両方がいいな。息子なら竜騎士に育てたい。娘ならどうしようか。お前のように賢ければ、女宰相もいい。嫁にやることになるのだろうが、誰にやるかは、よく考える必要があるな」

「言い寄る相手に片端から手合わせしろと言いそうですね。ルーイは」

「手加減はする」

「するつもりないでしょうに」

「さぁな。相手次第だ」

アリエルが笑った。


「そういえば、東のカールさんとの手合わせは、手加減なしだったそうですね」

「当たり前だ」 


 カールが東に帰る前、二人は手合わせをした。危ないという理由で、鍛錬場から全員が締め出された。一応はルートヴィッヒの勝利だったらしいが、二人とも数か所打撲を負っていた。 


 ルートヴィッヒは指輪をはめているアリエルの手を撫で、口づけた。

「愛している。お前と結婚したい、だが、今のままではお前の命を奪おうとする者から、お前を守り切れるかわからない。だから、何とかしよう」

ルートヴィッヒは、大切な人を失うのが怖かった。何度も奪われてきたのだ。


 アリエルの立場をあえて明確にしてこなかった。貴族が、付け入る隙があると思い、娘をと差し出してきている。このままでは、邪魔になるアリエルを排除しようとする誰かがいずれ現れる。


「仕掛ける側になろう」

ルートヴィッヒは、アリエルの耳元で囁いた。いつかのアリエルの言葉と同じだ。

「はい」


 翌日、執務室にやってきたエドワルドの前に、ルートヴィッヒは跪いた。

「殿下」

言葉を続けようとしたルートヴィッヒの首に、エドワルドが抱きついた。

「伯父上、指輪だ」

目敏(めざと)いエドワルドの言葉に、ルートヴィッヒが苦笑した。

「殿下に背を押していただきましたから、まずは報告をと思ったのですが」

「父上の次に名付け親になるのは私だからな」

ルートヴィッヒは、エドワルドを抱きしめた。


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