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メイド ナーシャの日常  作者: うぃん
第一章 黒い髪のメイド
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黒髪のメイドと毒を超えた微笑み(1)

私の名前はナーシャ。


年齢は……秘密です。でも、よく「二十歳くらい?」って言われます。実際は、もう少しだけ上。鏡を見るたびに「まだまだイケる」と思ってしまうのは、乙女心ってやつですね。


アルピン家に仕えて、もう五年以上になります。


アルピン家はダルリア王国の小都市エルクを治める名家。現当主のケネス様は、かつて騎士団長として先の大戦を勝利に導いた英雄。王国中にその名を知らぬ者はいません。


そんな家に仕えることができたのは、私の美貌……ではなく、育ての親とケネス様が旧知の仲だったから。紹介していただいたご縁に、今でも感謝しています。


とはいえ、容姿も悪く言われたことはありません。自慢の黒髪はよく褒められますし、もう少し背が低ければ「可愛い系」で通ったかも……なんて、贅沢な悩みですね。


最初は失敗ばかりで、皿を割ったり、紅茶をこぼしたり。でもアルピン家の皆様は、誰一人として嫌な顔をせず、優しく仕事を教えてくださいました。


今では、毎日笑顔で働けることが何よりの幸せです。


現在は、アルピン家の長男・マルカム様のお世話係を務めています。


今年で八歳になられたマルカム様は、天使のように可愛らしい男の子。先日も「大きくなったらナーシャを僕のお姫様にする!」なんて言って、周囲を困らせていました。


将来は父であるケネス様のように騎士団に入り、勇敢な騎士になるのが夢だそうです。きっと、父を超える英雄になることでしょう。


さて、夕食の準備の時間が近づいてきました。


とはいえ、料理は専属のシェフが担当してくださるので、私の手料理が出ることはありません。でも、王国内の創作料理を毎日楽しめるのは、メイド冥利に尽きます。


今日はマルカム様お一人だけがお館におられます。せっかくの食事を一人で召し上がるのは、少し寂しいですね。


ケネス様は騎士団長を引退されたとはいえ、軍事顧問として王国内を飛び回っておられますし、マルカム様のお姉様・カリン様は王立魔術学園に通われていて、寮生活中です。


本来なら、ケネス様の奥様がマルカム様のそばにいてくださるのが一番だったのでしょう。でも、それはもう叶いません。マルカム様が生まれてすぐ、不治の病で亡くなられたのです。


だからこそ、私はメイドとして、マルカム様の笑顔を守るために、日々がんばらなければならないのです。


今日のメニューは、冬野菜のサラダ、ロワイヤルスープ、山の幸のパスタ、デヴィルバッファローのロトィ。そしてデザートは山桃のコンポート。どれもとても美味しそう。


魔物の食材は騎士の能力を高めると話題で、さすがはアルピン家のシェフ。新しいレシピの研究に余念がありません。


たまに私たちのまかないにも、見たことのない食材が使われていて、驚かされます。


さて、ここからはメイドとしての仕事。お坊ちゃまのお口に合うかどうか、まず味見をして差し上げなければ。


今日のコンポート、ちょっと甘すぎるかも。生活魔術で味を調整してみましょう。私、少しだけ魔術の心得がありますから。


得意ではないけれど、この程度なら問題ありません。


マルカム様の笑顔のために、今日もがんばります。



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