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ハウさんの訓練をさらに数日受け、これなら大丈夫だろうという保証を得て二人は旅立っていった。あ、眠っているとはいえ緑龍様も一緒だから二人と一頭か。


僕はついていかない。理由はいたって単純でものすごく目立つからだ。

天狐が純白の毛皮を持つことはニンゲンの御伽噺に出るほど有名で、僕は尻尾以外真っ白な毛並みをしている。そして僕以外の天狐はあのニンゲンドモに殺されている。稀少性がうなぎ上りでやっていられない状況だ。


勿論人化してしまえば紛れることも出来ただろう、実際人の中で暮らすことを選んだ妖狐もいるしね。しかしだ、僕は人化できなかった。単純にニンゲンなんかになりたくないって気持ちもあるけどそれ以上に切実な問題があった。


「まさか人に化けようとすると周囲が凍るとかないわー」


僕は周囲の惨事を見てつぶやいた。現在僕は人化・・・・・・ではなく幻術の訓練の真っ最中である。黒龍様の属性の訓練にもなるから一石二鳥かもしれないけどさぁ。


前から感情の高ぶりによって周囲が凍ることはあった、あったがここまでひどくはなかった。

要するにマナの乱れが僕にも思いっきり影響していたのだ。扱える魔力量が大きければ大きいほど今回の黄龍様消失の影響は大きい。

幼弧のままならここまで影響は無かっただろうし、ゆっくりと大弧に成長していたらそれなりにコントロールもできていたはずだ。実際ハウさんは多少の乱れ程度で今はきっちりコントロールできているらしいし。まあ天狼族の長を何年も務めているベテランと並び立とうというのもおこがましいんだけど。


「ウルイ殿、調子は・・・・・・どうやらうまくいっていないようだな」

「こんにちは、庭をめちゃくちゃにしてしまってごめんなさい」

「いやそれはかまわないが・・・・・・そうだな、どうせならこちらも訓練するか」

「?」

「庭も元通りにすること。植物属性の訓練だ。必要だろう?」


僕の属性は現在水と風、それから新たに火。

潜在能力としてはすべての属性があることは判明しているから器が大きくなった今、訓練すれば問題なく会得できる・・・・・・かもしれない。


マナの根源である神龍様が眠りについている以上、新たに属性を会得するのは潜在能力があっても難しい。会得するのに必要な、吸収できるマナがそもそも少ないからだ。そう考えると風属性をすでに持っているのは幸いとしか言いようがない。ほかの属性は眠った神龍様のもとに行けば済むわけだからね。


今手元にある神龍様の本体は青龍様と黒龍様、ハウさんが管理している白竜様。緑龍様はイツキの所だから訓練してもここで会得はできない。でも次に合流したときに会得できなかった場合・・・・・・。


僕は頭に浮かんだとてもきれいな笑みを浮かべた、全く笑っていない緑龍様の姿を慌てて振り払った。


「頑張らせていただきます!」

「昼を食べたらエルフが定期連絡に来る。コツを教えてもらうといい・・・・・・凍らせないようにな?」


それは保証いたしかねます。


お昼を食べ終わるとハウさんの言うとおりエルフが姿を現した。イツキが現在地や情報をその辺の植物に伝えると、宿っているマナからエルフに伝わり、エルフはこちらに伝えに来るという非常に長い伝言ゲームだ。・・・・・・コゴミたちとよく遊んだなぁ。「今日のご飯はきのこだよ」がなぜか最後には「きのこの山に突進しろ」に変わって怒られたけど、おもにシオデが。


「植物系のコツっすか?」

「うん。僕の今後の快適生活が懸かってるんだ」

「ああ、緑龍様っすか。そうっすねぇ・・・・・・自分、最初から植物なんでコツも何もないっす」

「なんて身もふたもない答え」


でも僕も初めから使えた系統は説明しろって言われても無理かも。それこそ息を吸うように自然とつかえてたし。


「そうなんだよね、何も考えなくても使えちゃってたんだよね。なんでだっけ?」

「それこそが属性を持つってことっすからねぇ。こっちの無意識をマナの精霊がくみ取っていくんす」


無意識か、僕は無意識に植物を欲していない?イツキや緑龍様がいたからそれほど必要に感じていなかった?でも・・・・・・緑龍様の顔が頭に浮かぶ限り切実に必要だと思うんだけど。


「ほんとに、切実に、今後がかかっているんだ『回復(ドリアート)』」


僕の必死の願いは精霊に届いたらしい。目の前でしおれていた植物が元気を取り戻し始め、


「元気すぎるからぁぁぁぁ」

「ウルイさーん、大丈夫っすかぁ?」

「なんだこれは!?」


蔦に巻き取られて宙ぶらりんになった僕が駆けつけた天狼族に助け出されたのはお日様がだいぶ傾いてからだった。


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