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セーラー服と雪女Ⅹ 「雪女の婚前旅行」  作者: サナダムシオ


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6/10

⑥ 彼の釈明

 京子が慌てて窓の外を眺めると、地上ではレオナルド少年が、口をアングリと開けて空を見上げていた。

「えっ、いいの?ホントに?」

 彼女は再度サン・ジェルマンに確認するが、彼は落ち着きはらっている。


「彼の今日の体験が、いずれ飛行機を考えるきっかけになるのです。それが史実なのです。」

 京子は、何だか騙されたような気分だった。


 やがて気を取り直した彼女は、改めて彼に尋ねた。

「ところでサン・ジェルマンさん⋯。」

「何ですか?」

「先程の少年との会話中に、一部聞き捨てならないセリフがあったような⋯。」

「はて、何のことですかな?」


「彼はなぜ、一瞬貴方を、自分の父親と見間違えたのかしら?」

「幼い子どもには、よくあることでは?」

 サン・ジェルマンはしらばっくれる。


「だって、彼はあのレオナルドですよ?観察眼に関しては神がかったものがある人物です。彼に限って、うっかり見間違えるなんてあり得ません。」

「仕方ないですね。少しややこしい話なんですが、説明します。」

 サン・ジェルマンは観念したようだ。


「彼の父親は、私の同位体なのです。」

「えぇ!?」

「別時間軸の私が、コチラの5、6年前にやって来て、レオナルドの母親と仲良くなってしまったのです。」

「そんな⋯。」

「そしてあろうことか、彼女に子どもを産ませてしまったのです。」


「いいんですか!?」

「⋯もちろん、良くないことですよ。」

「⋯。」

「でも、出来てしまったものは仕方が無い。だから時々私も、彼のことを気に掛けてはいるのです。」 


「つまり、彼の父親が貴方の遠い親戚という話も、あながちウソでは無いのね?」

「そういうことです。そして付け加えるならば、私の同位体の血を引いているが故に、彼は万能の天才に成長するわけです。」

 この期に及んで、シレッと自慢をぶっこんでくる彼に、京子はいよいよ呆れてしまったのだった。


「もう一度確認するけど、ヤラカシたのは、貴方じゃないのね?」

「はい。私じゃありません。他の時間軸への介入は、私のポリシーに反しますから。」

 いや、貴方もたいがいだけど。

 京子はそう思ったが黙っていた。


「さて、次の目的地はどこにしましょうかねえ?」

 読心術に長ける彼は、バツが悪そうに話を変えた。

 まあ、目の前の彼を責めても仕方ないか。

 京子はとりあえず、サン・ジェルマンを信じることにしたのだった。


挿絵(By みてみん)

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