37
文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。
エメがアレクシに尋ねる。
「彼を王宮に匿うことは可能ですか?」
「もちろんだ。全力で守ろう」
王宮で匿ってもらえれば安心だろう。アドリエンヌは胸を撫で下ろすとブルードラゴンにあらためて尋ねる。
「あなたの名前を訊いてませんでしたわ。よろしければ教えてくださるかしら? その前に、私も名を名乗ってませんでしたわね。私の名はアドリエンヌですわ」
すると次々に自己紹介をした。最後にブルードラゴンが名乗る。
「私の名はシルヴェストル。アドリエンヌ、あなたは名前すらとても美しいのですね」
それを聞いたアドリエンヌは恥ずかしくなり俯いた。
そこでアレクシがアドリエンヌを自身の背後に隠すと言った。
「彼女は私の婚約者だ。あまり公にちょっかいを出さないようにしてほしい」
「そうなのですね、わかりました」
シルヴェストルはそう言って微笑んだ。
シルヴェストルがいることによって、この一連のモンスターによる事件の犯人はいずれわかるだろう。
アドリエンヌたちはそれがブロン子爵だと確信していた。
だが、問い詰めるその前にワーストの居場所を突き止めることが先決だった。それまでは、こちらから動くことは控えることにした。
アレクシたちが会場に戻ると、シャウラが必死にアトラスになにかを訴えているところだった。
「だから、さっきから言ってますでしょう? この会場にいたモンスターを退けたのはこの私ですわ。しかもみんなを救護しましたのに、なんですの? その態度」
それにうんざりしたようにアトラスが答える。
「だが、君がモンスターを退けたという目撃情報はないし、なんなら治療して回ったのはアドリエンヌだという目撃情報まである」
そう言うと、アトラスはこちらに気づいて軽く首を振った。アレクシは頷くと直ぐにアドリエンヌを背後に隠しながら、シャウラに気づかれないようにその場を後にした。
これは後でアトラスから聞いた話なのだが、自分の活躍を認めろと詰め寄るシャウラにあの後も苦労したそうだ。不満があるなら公で申し開きをしろと言ってあしらったとのことだった。
こうして帰還祭は大変な騒ぎとなったが、なんにせよアドリエンヌたちにとっては証人を得ることができ収穫のあるものとなった。
この時点で学園の卒業式まで、残るところ二週間となっていた。
アドリエンヌたちは卒業式までの間も学園に通い、今後どうシャウラたちを捕らえるか応接室で話し合った。
まず、エメが調べたところによるとファニーが一度部下を使って襲撃を企てたせいか、庭にあったという地下への入り口は塞がれていたそうだ。
だが、ワーストをそう簡単に移動することはできないと考え、入り口をどこか別に移しただけでまだワーストは地下にいるに違いないと考えた。
「私思うんですけれど、もし本当にブロン家がモンスター襲撃事件の犯人なのだとしたら、シャウラの評価を上げることが目的だったのかもしれませんわね」
一同は驚いてアドリエンヌの顔を見た。そして、呆れたようにアレクシが言った。
「そんなくだらない理由でそんなことをするはずがない。と、否定したいがあり得るな」
エメは頷く。
「そう考えると辻褄が合いますね。公の場で強いモンスターを倒し救護に当たれば、評価が上がりますから」
それを聞いてアトラスが呟く。
「自作自演か……」
アドリエンヌは恐ろしいことに気がつく。
「今、ブロン子爵を止めないと、シャウラが『フィリウスディ』と世間から認められるまでこんなことが続くということですわよね?」
驚いてルシールが訊く。
「そんなことあるかしら? 流石にあんなことを繰り返すなんて……。あ、でも、シャウラならあり得るかも」
「ですわよね。でも、繰り返しモンスターを使って同じようなことをするとは思えませんけれど」
アトラスは大きくため息をついた。
「とりあえず、なにもしないよう騎士団の方でも見張るよう親父にも伝えておきました。しばらくなにもできないとは思いますが」
「なにかをやるとしたら、やっぱり卒業式ですわよね」
エメがそれを受けて答える。
「なるべく卒業式ではあまりことを荒立てないようにしてほしいものです」
「そうですわね」
アドリエンヌたちは、調べていることをシャウラに気づかれないよう、いつも通りに過ごした。
エメも必死に調べてくれてはいるようだったが、一度ファニーの部下に襲撃されているせいかブロン家の警備が厳重になっていて、なかなかワーストがいるであろう地下への入り口は見つからずに時間だけが過ぎていった。
そうして卒業式が近づくにつれて、アドリエンヌは憂鬱な気持ちになった。
今回は断罪されるようなことは無いとわかってはいたが、なにか予想していないようなことが起きるのではないかと不安になったのだ。
そして学園生活がとても楽しかったこともあり、学園を卒業することをとても寂しく感じた。
そうしていよいよ卒業式前日となり、名残惜しみつつ学園へ行くとアレクシの隣に座る。
「アレクシ殿下、おはようございます。あら? 今日はエメがまだ来ていませんのね。いつも一番早いですのに。それに今日はアトラスも来てませんわ。どうしたのかしら?」
「そうだな」
アレクシはそう答えると、頬杖をついてぼんやり前方を見つめていた。
「元気がありませんわね。まさか、アレクシ殿下も学園生活が終わるのが寂しいとか?」
するとアレクシはアドリエンヌの方を見て微笑む。
「本当はこの前の帰還祭で色々解決して、卒業式はもっと素晴らしいものにしたかった」
「仕方がないですわ。帰還祭はあんなことになってしまいましたし。でもシルヴェストルを仲間にできたことで一歩前進したではありませんか。あとはワーストを見つけるだけですわ」
「そういうことではない、私は……」
「アドリエンヌ、アレクシ殿下!!」
声のする方をみると、エメが息を切らして立っていた。
アドリエンヌは落ち着かせるように言った。
「エメ、そんなに慌てなくてもまだ大丈夫ですわ。ルシールだってまだ来てませんもの」
「違うんです。わかったんです」
その一言でなにをいわんとしているのかすぐにわかったアドリエンヌは、アレクシと顔を見合わせるとちょうどやってきたルシールの手を引っ張って応接室へと向かった。
応接室に着くとエメに質問する。
「地下への行き方がわかったということですのね?!」
「そうです。今まではファニーからの情報で、屋敷内のどこかに入り口があるものとばかり思っていたのですが、屋敷から少し離れた場所に出入口を作っていました」
誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品フィクションであり、架空の世界のお話です。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、階級などの詳細な点について、実際の歴史とは異なることがありますのでご了承下さい。
私の作品を読んでいただいて、本当にありがとうございます。




