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小学生代理(4)

「あははー」


「……悪趣味だな、覗くんなら手伝ってくれよ」


「ちび姉のことだし、私が言っても無駄じゃない?」


「美黒はソレ聞くと怒るぞ」


「……大丈夫、勝てる、身長差で勝利」


「……それはさておき、瑞山家で美黒と年が一番近いのがお前だろ」


「精神年齢」


 いつの間にか開いていた階段中段辺りのドアから体を半分出し、頭をとんとんと指で叩きつつ口角を上げているこの少女、二人目の妹である。


「にしても、お前知らないか? お前ならなんか知ってそうだ」


「冗談はよしてよ、知らない。」


 ――――即答。


 本当に似てない、上の妹、瑞山美黒とは似ても似つかない容姿、性格、この場を借りて紹介に預からせてもらうと、下の妹「瑞山萌月(みずやまもゆつき)」 名前の由来はどうも一月とか睦月とか暦が云々らしいが、実のところ、誕生日は全くの関係ない7月、とんだひっかけだ。そして、目は常時眠たいとでも訴えるかのように、半目状態、一部でいう「ジト目」というらしい(上の妹談)その目は酷く落ち着いた印象があり、それに似合いそうに無い顔の整い方……。会った事は無いが、瑞山家母はきっと相当の美人だったのだろう。 あと、上の妹と一目瞭然で変わって見えるのが、何の手入れもしない下ろされただけの髪と、上の妹には無い、ある程度膨らむ胸の丘2つ分、背丈は162cmと小学6年生とは思えないプロポーションであった。


「何? 人の体じろじろ見て」


「いや、お前、体だけ美黒と入れ替わってるんじゃないかとつくづく思ってな」


 あと、こいつの汚点を言い忘れていた。


「お前、学校は?」


「……今日休日だから休みじゃない」


「平日は?」


「寒いからいかない」


 このザマである。


「風呂は?」


「……一昨日入ったから大丈夫、動いてないから汗もかいてないし」


 女の子としてそれはどういう思考回路しているのか俺には理解し難い、言うだろ? 女の子っていう生き物は、年中無休で風呂だけは欠かさず、しかも、1時間とかわけの分からないタイムを叩き出して出てくる、っと。


「臭うぞ」


「兄貴の口臭に比べればドブとバラよ」


 サイテーだ! 俺はこう見えて歯磨きは3食毎必ずしている、確かに買い食いだとかつまみ食いとかでの歯磨きはしないが、ソレ程度で口がドブの如く臭くなるのであれば、日本人の99%くらいは全員が全員ドブ口臭兵器と化しているはずだ!


「乙女を臭うだなんて、酷いこと言うわ、じゃーね、またご飯時にでも出ていくわ」


「ったっく……」


 下の妹はそのままドアを閉めて物音すら立てなくなってしまった、中は見たこと無いが、きっと乙女の部屋ではないのだ。




 まったく……困り者だな、やはり。上の妹も下の妹も。 


 今度こそリベンジとばかりにその場で深呼吸をした、落ち着いた俺は、そこまでして今聞かなくてもいいんじゃないか? っとまで思ったが、後にすればするほどタイミングが無くなるというもの、思い当たったが吉。


 今度は礼儀正しく、ノックをしてから用件を言おう、それが女の子の部屋に入室する最低限のマナーだ。


 コンコン、木製の扉を手の甲で叩くと、乾いた木の音が響いた。


「何?」


「いや、その、しょうがくせ」


「ごめんなさいでしょ」


 (しょうがくせ再来)


「ごめんなさい」


「……よろしい」


「ところで、小学生に戻りたいとか言ってたがどういうことだ? ちょっと説明不足な気もするんだが」


「うん、そうかも、入って」


「おう」

 

ガチャリと音を立て入室する、妹の部屋とはいえやはり女の子の部屋だな、と感心してしまった。主に匂いとか壁にあるポスターや床にしかれたカーペット、あとは……無駄に配置されたと思われるぬいぐるみの大群。


「……あんまりじろじろ見ないで」


「いや、見る」


「死ぬといいよ、お兄ちゃん」


 冗談はさておき、話を聞く体制を取った、妹がベッドの上に腰掛、俺は言わずもがな、正座だった。ちなみに、真横には使ってくださいといわんばかりにクッションが配置してあるが、これは客用らしく触れることさえ許してもらっていないのだ、女の子ってよく分からん。



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