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謁見の間には、すでに数人の人々が到着していた。

私が王都に来て間もないというのに、先に来ているところを見ると、身分の高い貴族なのだろう。

誰かが小さく囁いた「勇者が本当に女だったなんて」という言葉が、はっきりと聞こえてきた。


心配しないでください。

あなたたちが思っているように、私は勇者ではありませんから。

ところで、私をここまで呼んだ国王はここにいないのだろうか。

壁に掛かっていた肖像画に似た人物は見当たらなかった。


「こんにちは。リエンです」

「お会いできて光栄です。私は……」


適当に自己紹介を済ませ、空いている席に座った。

私をチラチラと伺う視線が感じられた。

たっぷり見ればいいという意味で、背筋をピンと伸ばした。

私を見ることができるのも、今だけだろうから。


そうしてしばらく座っていると、尋常ではない気配が近づいてくるのが感じられた。

そして扉の外から、国王のお出ましを告げる叫び声が聞こえてきた。

国王を護衛する魔法使いなのだろうか。


王都にこれほど人が溢れているのに、不思議と魔法使いを一人も見かけなかったが、ここにいたのだ。

感じられる気配からして、かなりの手練れの魔法使いだろう。

私が勇者ではないことを証明するのがさらに簡単になったと思い、気分が良くなった。


席から立ち上がる貴族たち。

その姿を見て、私も席を立った。

扉が開き、人々が中に入ってくる。

そして私は、国王を見た瞬間、その場で凍りついた。


「はは、座りなさい」


しかし、国王が先に座るまでは、誰も席に着かなかった。

国王が中央の空いた椅子に座ると、ようやく貴族たちが一人、また一人と座り始めた。


「私がいない間、勇者と話は弾んでいたかな?」


国王と貴族たちが談笑していたが、彼らが何を言っているのか、私の耳には全く入ってこなかった。

今の私の頭の中は、なぜ国王が魔法使いなのかという考えだけで混乱していた。


国王が魔法使いだなんて話は聞いたことがない。

身を守るアイテムが強力すぎて、私が国王を魔法使いだと勘違いしているのだろうか?

貴族たちの反応を見る限り、上座に座っている男が国王であることは間違いなかった。

その上、国王が魔法使いなら、私を見て平然と勇者だと呼ぶのが理解できなかった。

そうして国王と貴族たちが和やかに話を交わす間、私の頭の中はますます複雑になっていった。


「……では、私はこれから勇者と話をしたいので、卿らは下がってもよい」


国王の言葉に、貴族たちは引き潮のように去っていった。

国王と私、たった二人だけが残された空間。

こうして国王と対峙していると、彼がいかに優れた魔法使いであるかがより鮮明に伝わってきた。

これほどのレベルなら、私より魔法の腕が上で、師匠よりは一段下といったところだろうか?

一国の王であることはさておき、これほど高レベルな魔法使いを目の前にすると、自然と緊張が走った。

先に口を開いたのは国王だった。


「すまないね。貴族たちのせいで落ち着かなかっただろう? 本来は君と私だけで静かに話すつもりだったのだが、どこで聞きつけたのか、勇者である君が到着したのを知って、一目見たいと押しかけてきてね。はは、男というのは年をとっても子供のままだ。そうしたくなる気持ちも分かるがね。長らく空席だったところへ、女神様が地上に遣わしてくださった勇者なのだから」


貴族たちがいた時に見せていた権威的な口調とは違い、近所のおじさんのような話し方だった。


なぜ?

同じ魔法使いだからか?

しかし、相手は一国の国王だ。

アイテムによる誤解かもしれないが、彼が本当に魔法使いである可能性もあるため、意図するままに流されない方が良さそうだった。


「いえ、私だって勇者を名乗る者が現れたら、気になったはずですから」


それが私だというのが問題なのだが。


「そう言ってもらえると助かるよ。ここまで来るのは大変ではなかったか?」

「一人だったら王都に来るまでもっと時間がかかったでしょうが、クラドを寄越してくださったおかげで、楽に来ることができました」


私の言葉に、国王は何かを思い出すように顎をさすりながら言った。


「そんな命令を出したこともあったな。君の元へ行ったのが誰かは知らなかったが、それがクラド騎士だったのか。あの男は竹のように真っ直ぐな性格だから、同行するのは容易ではなかっただろう」


国王の言葉を聞いてみると、確かにそんな気もした。

それでもクラドがいなければ、ここまで来るのにもっと時間がかかっただろうし、金を惜しみなく使って余裕を持って来ることもできなかっただろう。


だから、良いことだけを言っておいた。

昇進したら私のおかげだと思ってね、クラド。

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