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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて機械屋の本領発揮
49/55

最終確認

「ボク、ふっかーつ!!」

 再起動されて開口一番に(さけ)んだ(あま)()に向けられた視線は、半分が生温かいものであったが、残り半分は(きん)(ちょう)(はら)んでいた。最終動作(かく)(にん)の最中とあって、対象と同じようには盛り上がれない。

「あー、()(のん)ちゃん、どうっすか」

「今のところ、エラー無く動いてます」

 (せい)()()(のん)が言葉を()わし、(うなず)き合う。

「終わりっすー!」

 その宣言を皮切りに、やっと室内の空気が()(かん)した。長かっただの、予定よりも()かっただの、口々に好き勝手盛り上がり出す。

 パンパンと耀(かぐ)()が手を(たた)き、注目を集めた。

「では、今から三十分間、(きゅう)(けい)だ。終わったら、社員は(いっ)(たん)、通常業務に(もど)れ。次の会議は、二時間後にこの部屋で開始予定だからな」

 とは言うものの、本業の(けい)()業務については現在、社長宅に要人が長期(たい)(ざい)しているという(てい)(さい)を取って、人員を確保している。社員ではない(から)(くり)()の三人、(およ)び情報屋の(ふう)()が、その(けい)()対象である。

 ただこの四人、集団で耀(かぐ)()社長からあまり(はな)れずに行動しているため、()(だん)から社長を護衛している人員に、一人二人加えるだけで、事足りてしまう。そのため、確保された人員が通常業務として行うのは、それまでに()まっていたちょっとした書類の整理だったり、訓練だったりと、あまり大きな仕事ではなかった。

 例外があるとすれば、研究職の面々だろうか。(あま)()()()んだ、未知の理論や素材の研究に、(うれ)しい悲鳴を上げている。(こう)(ざき)(あま)()博士は、その研究内容が内容であったため、せっかく新発見をしてもその大半を特許に(しん)(せい)することも論文にすることもなく秘してきた。天才研究者の(かく)された遺産を不意に入手し、しかも好きに研究しても良いと許可を得たときの(かれ)()(きょう)()(らん)()ぶりは、社長たる耀(かぐ)()ですら、思わず一歩(きょ)()を取ったほどであったという。

()(おん)は見付かったのかな?」

 電源を落としていた間の出来事は分からないため、()(おん)(たず)ねる(あま)()

「ああ。居場所も特定できたし、次の会議も救出のための作戦会議だ」

「それは良かった。やっと、()わせてあげられるね」

 しみじみと言う(あま)()を、()(おん)は軽く()()いた。

()(おん)(さら)われたのは(あま)()にぃの()()ではないのだから、そんな顔をするな」

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