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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて歯車は集う
36/55

メンテナンス

 感謝をされた方の耀(かぐ)()は、(ほが)らかに笑った。

「助けになれたなら、それが私にとっても救いだ。修理に設備が必要なら、()(のん)は帰るべきだな?」

 頭を(かか)えていた()(のん)が、(さら)(しょう)(げき)を受けた様子で耀(かぐ)()を見上げる。()(おん)もまた、(かんが)()むような()()りを見せた。

義躯(からだ)の方の修理は、正直、(あま)()にぃがいて部品があれば、何とかなる気がする。でもこの際、()(のん)にもシステムチェックが必要かもしれないと思っている。我々のシステムメンテナンスは()(のん)の役割だけれど、()(のん)のメンテナンスは、(あま)()にぃが(ばん)(ぜん)の状態でやっと行えるかどうか」

(あま)()にぃってさっきから言ってるの、もしかして(こう)(ざき)(あま)()博士のこと?」

 (こう)()(しん)(おさ)えきれずに()()(ふう)()()(のん)が再度(にら)()け、()(おん)(にが)(わら)いした。言葉にせずとも、それが答えを物語っている。

(こう)(ざき)博士は、組織から(しゅく)(せい)されて、研究所ごと(つぶ)された。()(のん)が、(あま)()にぃの(ゆい)(いつ)の例外なのは、色々と、やむを得ない事情が重なってしまってのことだから、もう(から)(くり)()が増えることはないだろう」

「えーと、()(おん)兄さん、個人的にはもう一人、候補いますけど」

 ()(のん)()(てき)に、()(おん)は表情を(くも)らせた。

「そうだな。候補、ではあるか」

「もうちょっと(くわ)しい居場所と、もうちょっとの戦力が()しいんですけどね」

「それは我々の問題だから、(いっ)(たん)置いておくか。()(のん)、ここの技術士は、()(のん)から見て、どうだった?」

 ()(おん)(ごう)(いん)に話を(もど)し、()(のん)は表情を(ゆる)めて視線を(せい)()に移す。そのまま()(のん)が動かなくなったので、耀(かぐ)()()(おん)()()けた。

「当方の技術士、が何か?」

()(のん)さえ良ければ、メンテナンスを手伝ってもらってはどうかと思ったのだが、その技術力は()()ほどかと」

 (すご)い話が目の前で()(ひろ)げられているなぁと、半ば(げん)(じつ)(とう)()気味に(ぼう)(かん)していたのに、一気に話題の中心に()えられたと(さと)った(せい)()が、(ひど)(ろう)(ばい)している。そして、みっともないとばかりに、()()()から(げん)(こつ)を下されている。

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