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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて歯車は集う
35/55

応急修理

 ()(おん)の持ってきた部品でひとまずの応急修理を(ほどこ)され、()(のん)が意識を()(もど)す。

「お前、本当は()(のん)というのか」

 開口一番、名前のことから切り出す耀(かぐ)()に、()(のん)(こん)(わく)して、目を(まばた)かせた。

「その名前は、大切な、いただきもので」

「そうか。()(おん)がお前のことを、()(のん)と呼んでいたからな」

 ()(おん)の名前に反応して、バネ()()けの(にん)(ぎょう)のように(しん)(だい)に起き上がる()(のん)

()(おん)兄さんはっ!」

「無事だから落ち着け、()(のん)

 ()(おん)の声で多少落ち着いたものの、室内を()(わた)して(ふう)()の姿を認めると、()(のん)()(けん)(しわ)が刻まれる。その容姿や職業から、最も()(おん)には(せっ)(しょく)させたくなかった少女に、出会わせてしまった。

 (くちびる)()()める()(のん)(かた)に、耀(かぐ)()がそっと上着を羽織らせる。その時になって()(のん)は、(おのれ)の姿が気絶前よりも(うす)()になっていると気付いた。(さら)に言えば包帯が全て(ほど)かれ、損傷の激しかった部位に至っては(じん)(こう)()()までも()がされて、新しい部品が見えている。その意味するところは明白だ。

 機械の(からだ)を持つことが、ばれた。というか、強制シャットダウン前の暴走した(おのれ)の行動を(かんが)みるに、自らばらしてしまった。事実を(さと)って、()(のん)の顔が一気に真っ青になる。

「無事じゃないのは、()(のん)の方だ。結局、持ってきた部品だけでは足らなかった」

 ()(おん)にたしなめられ、ますますしょんぼりと縮こまる()(のん)。その様子は、耀(かぐ)()が拾った当初と比べると、本当に感情豊かだ。身内が来て、多少なりとも安心したのだろうと、耀(かぐ)()(ほほ)()ましく見守る。

「どうする。(いっ)(たん)帰って、しっかり直してから改めてお礼に来るか? でなけりゃ、(あま)()にぃもこっちに呼んでくることになるが」

 ()(だん)()(のん)であれば、二重の意味で(そく)(とう)するであろう、問いかけ。けれど、迷う()()りの()(のん)に、()(おん)()みを()かべた。

()(のん)の好きにして良いぞ。我々の事情だって、無理に(かく)すほどのことでもない。言っただろう? たまにはワガママを言ってもらわないと困ると」

「で、でも、()(すが)(あま)()兄さんを呼ぶのは、ちょっと、その、問題ありすぎると、思うのです」

「そうか? (えん)(かく)で見張るよりは良い案だろう」

 頭を(かか)えてしまった()(のん)をそのままに、()(おん)耀(かぐ)()(あお)いだ。

()(のん)がとても良くしてもらったようで、本当に感謝する」

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