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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて都市伝説は現れる
23/55

耀夜は誤認した

 耀(かぐ)()は、頭を()(むし)りたい気分だった。もしくはいっそ、馬鹿になったみたいに(さけ)びたかった。

 (さき)(ほど)から、続々とトラブルの報告ばかりが寄せられてくる。しかも、(つう)(しん)までもどこかからジャミングされている関係で、どれもこれも雑音が混じりすぎ、正確な内容が伝わってこない。

 (せい)()から出された、ショッピングビル()(かい)事件の最終報告書を読んでいただけのはずだったのに、今や、全くそれどころではなかった。やはり、(はっ)()()()めてしまったのが悪かったのか。(つう)(しん)電波ですらも(しょう)(あく)できるほどに、(かの)(じょ)(ゆう)(しゅう)なハッカーだったのか。

 元々、最終報告書の内容が内容だったために、()(けん)に寄っていた(しわ)が、ますます深まっていく一方である。

 本職の(せい)()ほどではないが、耀(かぐ)()自身も多少は機械に強い自負があった。(つう)(しん)()(めい)(りょう)な時点で一通りエラーの原因となりそうな心当たりを調べてみたのだが、(わか)ったことは、()(しき)のセキュリティシステム、特に上空に対するそれが、こちらの(せい)(ぎょ)を完全に(はな)れていることくらいだった。

 そう、幸か不幸か、事が起こってからセキュリティシステムを(かく)(にん)した耀(かぐ)()は、()(のが)した。事が起こる前の、(はっ)()からのメッセージ。

『月の(しょう)(ちゅう)(たま)から(のろ)われた子が()ちた天使に(むか)えを()う』

 (はっ)()(むか)えを()うていた。その事実を、耀(かぐ)()(いま)だ知らない。(かの)(じょ)の手元にあるのは(だん)(ぺん)(てき)な情報のみで、具体的には数点にまとめられた。

 ()ず一つは、報告書の内容。()(かい)事件の犯人について、(いま)()()かりすらつかめないことから、(かん)()を疑われる都市伝説の名前。

 二つ目は、その事件を事前に察知できるという、(はっ)()の言葉。そんな(かの)(じょ)の持つハッキング能力の高さ。

 そして三つ目は、ノイズ混じりの報告をつなぎ合わせて判明した、上空から飛来している(なぞ)(かげ)。そして、上空に対するセキュリティシステムが乗っ取られているという事実。

 耀(かぐ)()は、(いく)つか誤解していた。昼間の事件について、(はっ)()の部屋の(とびら)(せい)(ぎょ)(せい)()が取り返したと思っていたし、アンジェのハンドルネームを持つ人物と、都市伝説の関係についても()(にん)していた。

 だから、(だん)(ぺん)(てき)な情報から推測した内容に真っ青になって、(あわ)てて(はっ)()の部屋へと走り出したのだった。

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