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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて都市伝説は現れる
21/55

狼煙は上がった

 その夜も(せい)()は、耀(かぐ)()(たの)まれたとおり、(りち)()()(しき)のセキュリティシステムを(かん)()していた。

 だから一番最初に異変を察知したが、一番最初に頭を(かか)えることになった。

『月の(しょう)(ちゅう)(たま)から(のろ)われた子が()ちた天使に(むか)えを()う』

 いきなりブラックアウトした(かん)()画面に現れた(もん)(ごん)が、これだ。そして、さほど間を置かず、今度は()(しき)全体のセキュリティシステムが、見覚えしかない不思議なエラーを出し始めた。つまりは他でもない、(はっ)()にハッキングされたということで。

「クソッ、なんてこった!」

 システムのパスワードが、秒単位でランダムに(へん)(こう)され、()(どう)(じょう)(きょう)()(あく)すら困難だ。一方で、どれだけ(かい)(にゅう)しようとしても、(いっ)(さい)警告音が鳴ることさえなく、本当に静かな部屋の中で、(せい)()(はっ)()(しゅ)(わん)()(ぶる)いした。

 こうなっては、いくら(かん)()カメラの映像が、不気味なほどいつも通りでも、全く信用ならない。(せい)()耀(かぐ)()()()()(れん)(らく)を取ろうとしたのだが。

「マジかよ!?」

 (つう)(しん)電波が相当にジャミングされていることに、目を()くこととなった。

「いやいやいや、ありえねーっしょ!? 電波ありますよね? 見た目はちゃんと、表示されてんのに(つう)(しん)死んでるとか、え、もしかしてここの電波全部乗っ取られた、とか」

 (せい)()の顔から、完全に血の気が引いた。セキュリティシステムだけならともかく、(つう)(しん)電波までクラッキングする、それも表示に出さないなど、どこの(かみ)(わざ)だ。

「え、ええー。マジっすか。(おれ)と、あと、(ふう)()ちゃんくらいじゃないすかね、これ(わか)るの。うわぁ、どうしたもんか、これ」

 もはや(てい)(かん)の境地で(すわ)っていた()()に改めて背を投げ出し、ふてくされたようにぼやく(せい)()

 ふと、自分のその言葉に何かが引っかかり、再度ガバッと身を起こした。

「そう言えば(おれ)(ふう)()ちゃんにも情報収集(たの)んでたな。んで、あっちは、(おも)(しろ)そうだからこっち来るとか、言ってたような」

 (びん)(わん)ハッカーで、その(うで)()かして情報屋を営んでいる少女が、(おう)(えん)に来るかもしれない。一筋の希望に、(せい)()の目が光を()(もど)す。

「しっかしまあ、代々情報屋でチビの(ころ)からこっちの道だった(ふう)()ちゃんとも張り合えるレベルとか、(はっ)()のお(じょう)ちゃん、本当に一体何者なんっすかね」

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