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異変の始まった日

「いってきまーすっと。」


 尽は宿を出て、ギルドに着く。


「おはようございます、エマさん。」

「あ、尽さん。おはようございます。」


 尽が挨拶をしたのは、レンズが普通より大きい丸眼鏡が特徴的なギルドの受付のエマである。


「さてと、探しますか。」


 尽は幾千とある依頼を前にそう言った。尽は目の前にある、依頼のうち、討伐のコーナーの物を見ていく。


「これは・・違うこっちは・・・違うけどいいな、一応受けよう。」


 探していくうちに、尽は数枚の依頼を掲示板から剥がす。


「このへん探したっけな」

 〈すでに3回探しています〉

「おう・・・マジかってことはこっちか?」

 〈そっちは5回目・・・〉

「うそやん」


 そして、おおよそ4分の1を確認したころ。尽の手元には30枚の依頼があった。尽は受付へと向かう。


「これ、全部頼む。」


 依頼をすべて渡すと、再び依頼を探し始めた。


「・・・尽さん、本当に見つける気ですか?」

「うん。」

「まさかの即答?!尽さん!言っちゃ悪いですけど、絶対ないですって。」

「えー、あるか聞いて、あるって言ったのエマさんじゃないですか。」

「ぐ・・・そりゃ、そうですけどぉ・・・」


 遠くから、しまったぁという声が尽に聞こえる。その声に脇目もふらずに、尽は探し続ける。そして、時はなんやかんやで過ぎていき・・・


「エマさん・・・これもお願いします。」

「はい、わかりました。確認しておきます。」

「それと、先に渡された31枚の依頼書です。期限は守ってしっかり消化してくださいね♪」


 丁度お昼時。ギルドが人でにぎわうころ、尽は依頼を探し終えた。結果はもちろん敗北。お目当ての依頼は一枚もなく、手元には適当に取った依頼が沢山あった。


「ああ、あとこの依頼はですね、期限が明日の朝までなので優先してやってくださいね」

「わかりました」

「尽さんいつも期限気にしないでこっちも迷惑なので、絶対に優先してくださいね。」


 エマがニッコリとほほ笑む。その表情からは、尽への不満や怒りが感じ取られる。


「あはは・・・気遣いありがとうございます。」


 これには尽も苦笑いである。


「さぁまあ気を取り直して、取り合えずいつものあれ、しに行きますかな。」


 というわけで、いつもの修行ばしょへ行く。ついでに、手元の依頼の束を確認する。すると、あることに気づく。


「あれ、エマさんギルド印付けて無くね?」


 しかも全部がそうだった。これじゃあ、受けたことにならない。・・まあ、報告するときでいいか。前にも何回かこういうことあったし。







 修行場所に着いたら、いつも道理にレインが椅子に座って待っていた。


「来たか。始めるぞい尽。」

「で、今日は何するんだ?」


 何気なく尽がそう聞き返すとレインはため息をついた。


「昨日言ったじゃろ?覚えてないのか?」


 その言葉で俺は「う~ん」と考えるものの、なにも思い浮かばず。結局「え?なんか言ってたっけ?」とまあ、思い出せなかった。すると師匠は、さっきより深くため息をついた。


「まったく、魔法よりも記憶力を鍛えたほうがよいのう?」


 ぅるっせ!余計なお世話だよ。そんなことより今日の修行を!!修行メニューをくれ!!


「わかった。わかった。そう睨むな尽。儂とて、笑いたい時だってあるぞい?」

「ああ、うんそうだけどね?ほんと、教えて?早く。早急にね?」


 いや、ほんと依頼があって、時間カッツカツなんで。もうお昼なんで。


「まあよい。じゃが、明日も同じじゃから、覚えて置け。そして肝心の修行メニューじゃが・・・」


 というわけで、魔法で師匠の使い魔300人組手しろというお達しがあったとさ。長々と依頼10個くらい解決できる時間説明聞いてこれだよ。途中で、昨日やったこと思い出して、100人が300人に増えたって気づいたよ!!けど、指定場所は村とか町以外全域!!昨日は並みの道場くらいの範囲だったのにね。そんなことできるって何もんだよ。そこだけ師匠すげぇ!修行中何しててもいいらしいから、依頼がこなせるってもんだ。そこは、嬉しい誤算だったぜ。うん。


「ハァ!!」


 尽が力を込める。すると、真っ直ぐにした腕の先。拳から10㎝離れたところに水の球体が現れる。それと同時に、レインの「始め!!」の合図で組手が始まる。


「さーてと、まずは、あの依頼からやろうかな。」


 俺は、もう忘れないぞ。これ以上信頼が落ちたら、きっと、もっとギルドが怖くなるだろうしな。期限が明日までのヤツは・・・あった。これだな。えっと・・・ん"?


 ─────────────●─────────────

 依頼内容 護衛

 場所  マクナル港からシャドウ村まで

 契約金

 報酬金

 期限 依頼日から14日間

 追記 マクナルから南に進んだ、

 小屋で待っています

 ───────────────────────────


 えっと、護衛?まじ?となると・・・さっさと組手終わらせないとな。まずは、追ってきてる奴らからだな。


 後ろを振り返ると、小さな軍が尽を追いかけているのが見える。


 スキル・・・【クイックダッシュ】!


 スキルの発動により、180度真逆へ、全速力で軍へ突っ込みにいく。レインの召喚した魔物やら、人やらを模した使い魔も引くことなく尽に襲い掛かる。


(今だ!!)


 尽の「せーの!!」という言葉とともに、水の球体を握り閉めて腕を振る。使い魔の軍と尽と球体が、真っ直ぐに並んだその時。刹那、球から刃が伸びる。その刃は、使い魔をあっという間に切り伏せた。かと思うと、球体はすぐにただの球体へと戻っていった。


 ふう・・・こんなもんか。なんていうか・・組手って感じじゃないよな。まあ、WAVE1だからこんなもんかな。「昨日のパターンが当てはまるなら」だが。始めと同時に追ってきたのはガイド情報によれば20体。それも、ただただ突進してくる奴らばっかり。昨日の召喚パターンが当てはまるなら、次は5分後に奇襲してくるはずだな。


 ん・・・待てよ。もしそうだとしたら、WAVE2と3の間に2時間の休憩があるはず・・・。昨日はそれで神経すり減らした忌々しい時間だが、今日は有効に使えるかもしれないぞ・・!よし。今のうちに場所確認しとくか。ってうおい?!


 尽が確認しようとすると突然火の玉が尽に飛んでいった。突然のことであったものの、火の玉を難なく回避する。


 探知できないの忘れてたよ!!


【探知】

 アイテム、魔物、人などの気配を感じ取れる。


 師匠とのマジ鬼ごっこ以来、便利だからって乱用した結果がこれだよ。しかも、昨日も同じ手に引っかかったから、同じ失敗しちゃったよ畜生!!あれ、同じパターンってことは、また・・・ やっぱり、無数の火の玉が飛んで来たよ!!


 尽が構えるとき、火の玉が飛んできていることに気づく。飛んでいく火の玉に対して、尽は回避しようとしない。それどころか全く動かない。あっと言う間に尽に火の玉が「ジュウ・・・」という音を立てて全弾命中する。そして辺りが、白い霧で包まれた。


 ふぅ・・・やっぱり、怖いな。火の玉が向かってくるのは。でも大丈夫。そう、防御壁を張ってたらな。ちなみに、今は俺が球体の中に入ったかのような感じになっている。何も、攻撃だけが魔法じゃあない。昨日は、追尾式の火の玉と知らず、回避しようとして当たったからね!全くひどい目に遭った。ああ、思い出したら腹立ってきたなぁ。えっと、ソードボウを出してっと。


尽の眼がギラりと光る。 


こっからが反撃の時間だぜ?


 ソードボウを構えて力を込め、矢を放った!使い魔たちが、霧の方をむいて警戒している。だが、その警戒は無意味であった。霧の中から何本もの赤色の矢が飛んで行ったからだ。その矢は、反撃を許さず、一矢も外れることなく使い魔たちを射貫く。霧が晴れるころには、使い魔たちは全滅していた。


 おっし!WAVE2終了!我ながら完璧な戦いだったな。にしても、直接俺の近くに召喚するって流石だわ。一瞬でも気を抜いたらこれだからな。師匠はすることが違うな。さあ、さっさと護衛しに行きますか!!







おひさしぶりの投稿でごぜぇます。

ああ、そうそう近いうちに一章を書き直そうかと思ってます。

書き直したらまあ、活動報告に乗せときます。

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