ひと時の休息2
(よし、出来た。)
あとは・・こいつだな。
そうして、尽が取り出したのはトロピカルフルーツ×1だ。
それを、凝視する尽。
前食べた時に思ったんだよね。マンゴーだって。
間違いない。マンゴーだ。間違いない。
だから、マンゴーを使ったレシピでマンゴーの代わりにトロピカルフルーツ使えばいいんじゃないか。ってね。
しばらくしてアイデアが浮かんだのか、一つの、物を用意した。
スキル【次元倉庫】から料理本を取りだす。
てれれってれ~料理本(フルーツ編)
さあ、なんか作れそうなのはないかな。
本をめくり、一つの品が目に入る。
「プリン・・・か。いいね。これにしよう。」
簡単だろうし。いや、関係ないか。
「なになに、材料は、水、粉ゼラチン、マンゴー・・・」
口で材料を言いながら、次元倉庫で、無いものをどんどん取り出していく。
一通りの材料を台に置いたら、調理が開始された。
「さて、まずはこの、全自動料理機マーブル2号を取り出します。」
どんっと床に地震が起こるが気にしない。
ふたを開けて、材料を次々に入れていく尽。
材料を入れ終わり、ふたを閉める。
「材料を入れたら、あとはボタンを一回押すだけで・・・」
ね、簡単でしょ?
料理はできなくもないが、今日は楽したい。
ごたごたのあと、料理なんて、ハードすぎますわ。
「まテ!」
ボタンを押そうとした瞬間にフィンがやってきた。
あ、こけた。
起き上がった。
(・・・誰も見ていないな。よし!)じゃねぇ!
俺が見てるでしょうが!
尽の一人乗り突っ込みがあったが、それを構わずに、フィンが尽に言った。
「ふぃんが、それ、おス!」
「え、いやそれだけ?」
尽が、拍子抜けしたが、フィンは構わずに続ける。
「それだけダ!」
「まあ、わかった。ほら、こっち来い。」
さっきまで、ギラりとしていたフィンの顔が、ぱぁぁっと明るくなった。
なんでそこまで、必死になるんだ?
「兄い」
気持ちは分からんでもない気もしなくもないが。
「兄い?」
でも、ボタン一つで?
「兄い!」
「あいぃ?!」
やっと気づいた尽。フィルもとても怒っている。
「なんだ?」
「届かないゾ!」
尽はフィルと全自動以下略を見比べる。
「ああ、なるほど。すまん。」
「ムー」ムスー
「そんな怒んなよ。」
そういって、尽はフィルを持ち上げる。
「ほれ、早く押せ。」
「おー、ありがとうだナ!」
「ああどういたしまして。」
Pi!
スイッチをフィルがおしたら、音が鳴った。
それをスタート地点として、部屋が静まり返った。
フィルはどうやら、わくわくしているようだ。
一方尽は、急に静かになった。
「さて。」
尽がそう声を漏らすと、尽は、フィルをおろした。
そして、ふたを開けた。
「・・・」
それから無言のまま、尽はスプーンを取り出し、中身をすくう。
フィルは、心配そうに、尽の様子を観察する。
尽が、口へ運んだ!
と同時に、フィルがびくっと体を震わせるわせる。
「兄い?」
「う、うぅ・・・」
「大丈夫カ?」
フィルが、尽に恐る恐るよる。と、その瞬間。
「美味い!!」
思ってたより、滑らかな舌触り。
甘いが、砂糖みたいにだるい甘さではない。
少し酸味があって、さっぱりしていて、でも、食べた後でも、良い感じの後味。
もう、なんていうか、トロピカルフルーツ最高!!!
「!!」
尽は、腹の底から、叫ぶように言い放った。
そして、次にこういった。
「フィル、飯にするぞ!師匠呼んできてくれ。」
「お、おウ」
晩飯は、ステーキにした。レアを目指したが、生の肉と調理した肉の間がわからなくなって、
ミディアムぐらいになった。
あと、サイドメニューにサラダを少々。
美味かったが、肉の塩味が強い。まだまだ改善の余地ありってところだな。
そして、全員が食い終わったところで。
「ほい。どうぞ。」
「なんじゃ、これは。」
「えとナ、とろぴこるふるーつってやつだゾ。」
「な、なんと。」
レインは驚いたような、嬉しそうな。そんな顔をしていた。
そう、このリアクションが見たかった。
これだけでも、嬉しい。買ったかいがあったものだ。
だが、これだけは、引っかかる。
おれが、一言目に、言いたかった。
あと、
「フィル、とろぴこるじゃねえ。トロピカルフルーツだ!」
食いもんの名前は間違えてはいけない。
「じゃあ、どうぞ。」
「うみゃぁうみゃァ。」
「って早!」
スプーンを使い、プリンをすくう。
ぷるんと斬り離され、スプーンの上でプリンが踊る。
(うまそう・・・!)
そのまま一気に口に運ぶ。
パクッ
「美味い!!」
「これは美味じゃな。」
「ごちそうさまダ。」
「「早い!」」
(やっぱり飯の時間が、一番いいな。幸せになれる。)
幸せなひと時を過ごした尽たちであった。
さて、ここで、問題になるのが、片付けだ。
幸せのまま終わらせてくれるほど、現実甘くはない。
それを、俺はこの中の誰よりも知っている。
前世では、一人暮らしだったとき、洗い物が超めんどくさかった。
ホントに、悲しくなるほどだった。
皿とか割ったときは本当に・・・これ以上はやめておこう。
「尽、やはり儂がやろうか?」
「いや、いい。少し感動が残っていただけだ。」
気を取り直して。
要するに、洗い物が、めんどくさい。
だがしかし。今の俺には、そう、思考現実化がある!
そうして、考えたスキルがこちらになります。
【クリーン】
どんな物質も綺麗にする。
原理はたぶん、物質を再構成するとか、そんな感じ。
まあ、それはいいんだよ。大事なのは、このスキルのおかげで、洗い物が一瞬で終わるってことだ。
すげー!
〈誰でも使える生活スキルです。そこまですごくはありません。〉
黙るがいいガイド=さん。
〈ガイド=さんではありません〉
そんな、ガイドの主張も尽には届かない。
まあいい。誰でも使えるとか、別に、いいんだよ。
ただ、前世の気苦労がないと思うと、テンションが上がるんだよ。
というわけで。おらっ!
尽が、食器に向かって【クリーン】
すると、どうだろうか。
食器についていた、汚れが次々と消えていった。
「はい。終わりっと。」
あとは、食器を棚に・・・って、ここ食器棚無かったわ。
師匠曰く、
「食器棚?尽、ここにお客様が来ることなんてそうないんじゃぞ?」
だったよ。初めて来たときも、客は客だが、招かれざる客って感じの扱いだったしな。
~ぷち回想~
「ここであってんのか?」
まだ、師匠の家だと知らない俺は、
「お邪魔しm・」
ドアを開いた瞬間。
「何者じゃ?」
~~~~~~
いきなり、結界に閉じ込められたんだよな。
あの時は、本当に焦った。
焦って時止めちゃったよ。
しかも、結界こわしたら、さらにヒートアップしちゃったし。
あー、でも楽しかったな。なんだかんだで。
って、食器片づけないと。
そういって、どんどん食器をしまっていく。
【次元倉庫】に収納してっと。
一通り家事は終わったかな。
「さて、銭湯行くか。師匠も来るか?」
「今日はいい。儂は疲れたから、一足先に寝る。」
んじゃあ、フィンは・・・あ、寝てる。
(しゃーない。一人で行ってくるか。)
尽は一人で外に出た。
少し寂しさが、見えている。
「にしても、珍しいこともあるもんだな。」
師匠は、どれだけ面倒があったとしても銭湯に行くのに。
まあ、今日は色々あったしな。
そうだ、色々あったと言えば師匠のステータス。
なんであんな風な表示だったんだろうか。
MPだけは見えたけど、でたらめな数字だったし。
何だよ、5千万って。バケモンじゃねぇか。
〈5千万ではありません。49812370です。〉
(え、いや、知ってるし細かいわ!)
まあ、正確差はどうでもいいし重要なことじゃあない。
問題は、ステータスの異常差加減だ。
少なくとも、敵に回していいようなステータスじゃない。
いったい、どんな経歴だったらそこまで強くなれるんだ?
「ちょっと尽さん。お金払ってください。」
「え、ああ悪い。」
銭湯の入口で、尽は呼び止められた。
尽自信も、ようやくその声で銭湯に着いたのだと自覚したようだ。
「はい、大銀貨1枚。」
尽は、お金を渡して入場しようとする。
「ちょっと、尽さんお金!」
「え、今払いましたけど?」
(おかしいなぁ、銀貨渡しちゃったのか?)
そう思って、尽が振り返る。
そして、その瞬間代金について、すべて理解した。
「フィン?フィンか。って、フィン!?」
「ふぃんだゾ!!」
尽の眼には、元気いっぱいのフィンの姿が映った。
なんでだ?それに、どうやって?いや、それよりも寝てたのでは?
〈尽様が出かけてからすぐに、彼は起きました。尽様の場所はフィン様のスキル【逆探知】によるものです。〉
はぁ!?スキル?前に見た時には、そんなの見当たらなかったぞ?
〈スキルが尽様によって、1つ抜かれたのでその穴埋めに習得したのでしょう〉
あれ、スキルってそんな感じなの?
〈そんな感じです。〉
はあ、【逆探知】か。
察するに、「探知されてたら探知できる。」みたいな効果だろうな。
そんなことを考えつつ、尽はフィンの分の代金を払い奥へ進む。
そしていつも通り、服を脱ぐ。
そして、その時尽は、初めてあることに気づく。
(フィルの服、どうなってんだ。)
フィンの服を見る。
フィルがまだ若返る前の物のままのはずだった。
にもかかわらず、フィルの服のサイズは、今のフィルにピッタリなのである。
なぜだ。
サイズもだし、羽がどう出てるのかも気になる。
よし、ガイドsいや待て!
気になるからってなんでも聞いてたら頭が持たないぞ・・・。
いやでも、服は気になる。もし、自動でサイズが変化するなら欲しい!!
一人で悶える尽。
「兄い、はいろウ!」
「・・ああ、あ、おう。入ろう。」
・・・そうだな。今日はもう、考えるのをやめよう。
さっきまで、苦しく見えた尽だったが、
フィルの声で、我に返った尽はなぜかスッキリした様子だった。
「あ"-、いい湯だなぁ~」
「いいゆだナ~」
湯船に浸かる尽とフィル。
どちらも、歳に合わないリラックスっぷりである。
「今日は、本当に疲れたな。」
「れたナー。」
本当に色々あった。
師匠の件、天使軍の出現&殲滅。
そして、ムールもといフィルの加入。
あと、トロピカルフルーツ=ほぼマンゴー。フィルの服。
思い出すだけで頭が痛い。
まあ、無事乗り越えたし。
明日もがんば・・・明日か・・・
一気に気分が落ち込む尽。
フィルが大丈夫かと、心配する。
はぁ。
だめだな、こんなんじゃ。
俺には、チートがあるんだ。
いざとなったら、いやならなくても。何もかも片づけることができる。
楽になろう。そして、明日もやりたいことやろう。
毎日がこんな日じゃないさ。
となれば・・・
尽は、湯船の中で自分に誓うようにこう言った。
「明日もチートするか。」
楽になろう。
なに、毎日小説を書くわけじゃないさ。
週一は書くべきだけどね・・・。
【次元倉庫】については、後々説明を入れますんで、
効果自体は、〈なんでも〉取り出せる。しまえる。といったところです。




