怪しい・・・うわ、こっちくんな
広い草原のにて、一人の少年騎士が歩いている。
どういうことかというと、見回りである。
「・・・誰だ。姿を見せろ。」
そう少年が言い放つと、一人の・・・いや、人型の魔物が現れた。
「見たこと無いな。新しい魔物か?」
「魔物?そんな人聞きの悪い・・・。」
「ッなぁ!?喋った・・・」
騎士の彼がみたのはゴブリンというには、あまりにも人に酷似している。
だが指が8っ本、目が三つや手の甲に目が付いているなど人ならざる物が付いていた。
「それにしても、レイミィは不幸ですね。」
「な、何を言っている。」
「ですから、惜しい駒を知らぬまま失ってしまう彼らは不幸だと言っているんです。」
「ふざけるな!!貴様こそ運がなかったな。俺は上級騎士に選ばれたエリート騎士だ!そんじょそこらの騎士と比べてもらっては困るんだよ!」
彼が駆けだそうとした時、彼は体が妙に・・・いや、はっきりと動かせないことを感じ取った。
「あ、あれ、体が・・・穴?」
「すみません。失ってしまったの間違いでした。」
「ぅ・・・うわあああああああああ。」
恐怖のまま必死にもがこうとするも、動けるはずもなく少年騎士は動かなくなった。
「ああ、何故・・・こんなにも穢れているのでしょうか。人というものは。」
魔物?は静かに姿を消した。
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朝、起きるといつもの天井があった。
尽は、あの闘技場の事があってから、ここサイメル通称「魔族の大陸」にある村「シャドウ」に
定住している。
なんだろう、安心するな。いつもと変わらないというのは。
宿から出る時に女将さんが挨拶をしてくれた。
「おはようございます」
「おはよう。」
はぁ~平和っていいな。
「あら、今日も依頼を?」
「はい、そうです。」
「精が出るね~。頑張んな。はいこれお弁当。」
「ありがとうございます」
宿屋を出た後、尽は厄介になっている魔法の師匠の家に向かった。
「頼もう!」
「尽、朝から大声で叫ぶな!」
「今日もよろしくお願いする!」
いかにも師匠をやってそうなおじいさんが頭を抱えて肩を落とした。
「全く、いつになったらぬしは言うことを聞いてくれるんじゃ」
「師が師でなくなった時。」
「じゃあ儂、師匠やめる。」
「ちょっ」
「冗談じゃよ」
いつもの調子で、師匠を連れ出す。
やっぱりこの人若いな。この人は、村一番の年長者で一番の魔法使いのレイン先生だ。
本当に村の子供たちに魔法、もちろん基礎知識のどを教えている先生だ。
俺とは師弟関係・・・というより一番弟子と二番弟子みたいな関係がちょうどいい表現か。
まあ、実力は実際俺のほうが上なんだけどさ。
「さて、今日もやるか。」
尽は町の外に出た。
「ウォーター・ブレード!」
からの・・・木に向かって、おりゃ!
水の刃で木を切ろうとするも、木に当たった瞬間、水が弾けてしまった
「おぬし、ちゃんと練習してきたのか?」
「し、したし。ちゃんとしたし。」
おかしいな、昨日はまだできそうな気がしたんだけどなぁ。
「朝はちゃんと食ってきたんか?」
「パンを一枚」
「ぶぁかもん!!朝はちゃんと肉、野菜を食えと言ったじゃろうが!」
「いや~、早く習得したかったからつい・・・な」
(それに、ここまでできないとは思わなかったし)
「まったく、魔法をマスターしたいんじゃなかったのかのぅ?」
「ぐぅぅ・・・」
たしかに、一からマスターしたいとは思ったさ。
が、うぜぇ。教えてくれているとはいえ、なんかかしこまれねえ。
「ふむ・・・そうじゃな、昨日みたいにしてみろ」
尽は刀を装備した。手から魔力を・・・じゃねえ。刀を水で覆うイメージ、、。
「ウォーター・バリア!」
そう言うと、刀を水が覆った。どうやら成功したようだ。
成功したのはいいんだが・・・やっぱり、バリアって、違う気がするな。
「よし、出来たな・・・なんじゃ?まだバリアが不満か?」
「しぇ?!、ああうん、だってバリア、守るんだぜ?」
「イメージしやすいからそう言わせとるだけじゃ。現におぬし、ブレードじゃ、出来んかったではないか」
ぐう、痛い所を突いてくるな。
昨日練習の時初めはブレードと言っていたが、出来なかった。
代わりにバリアと言えとレイン師が言った通りにしたら、この通り出来てしまった。
めっちゃ悔しかった。うん。
「いや、ブレードじゃダメっていうのはわかるんだが、なんかこう、な。」
「・・・まあよいよい。できりゃいいんじゃ。さて、今日はこのまま並行してもう一つ習得してもらう」
「ええ!?維持するのもつらいのに?」
何言ってんだこのじじい、こちとら初心者だぞ。
まあ、魔力は全然初級じゃないけど。
「ぬしの事じゃきっと「こんな練習余裕過ぎぃww」とか、思っとったんじゃろ?んん?」
(思ってねぇェェェェェェよ!!!)
凄くどやっって顔してるけど、全く当たってねえよ!
「こんぐらいの若者はのう、すぐ大技だの小技はつまらんだの言いおるからの。」
ちょい長話で尽はレインが止まらぬことを悟り、素直に話を聞くことにした。
「まあ、おぬしなら余裕じゃろう。」
「いいからさっさと教えてくれ。」
「まあ、焦る出ない。」
うおっほん
「おぬしにはその状態を維持したまま鬼ごっこをしてもらう。終わりの条件は、儂から10分逃げ切ることじゃ。つまりは儂から逃げてもらうというわけじゃな」
あれ、本当に楽ちんじゃね。
これぐらいなら何とかなる。
じじいすまん。疑って悪かった。あんたはいいやつだって信じてたよ。
そんな、尽を裏切らんとばかりに、レインがニヤリと笑った。
「ただし、おぬしは地面の上を歩いてはいかん。」
「お、おう。」
じいさん・・・なんか、すまん。
それ、きっと本来ならつらいんだろうが、スキル・・・持ってるわ。
「どうじゃ、これで少しは退屈せずに済むじゃろ?」
嫌味なんだが、なんかかわいそうになってくるな。
まあ、世の中には知らないほうがいいこともあるよな。
尽はすこし、レインがかわいそうな人に見えた。
一方、かわいそうなおじいさんは、とっても満足そうだ。
(これで少しは、言う事聞いてくれるようになるじゃろ)
このあと、レインの合図で始まった逃走劇は、あっさりと幕を閉じた。
終盤では、ほぼ全力でレインは追いかけていたがそんなのもろともせず、だが同情してか、少しすれすれで回避し続けた。
「ふむ、名残はあるが・・・合格じゃ。」
尽はガッツポーズ。は流石にしなかった
「儂の事を軽々避けおって・・・。儂、傷ついた。」
「きm・・すまん。実は少し心得があってさ、あまり苦じゃなかったんだよ。」
危ない、付い本音が出そうになったぜ。
「して、おぬし刀の方はどうじゃ、だいぶつかめたのではないか?」
「ああ、確かに・・・ってそうか?自分じゃわからんのだが。」
「やってみた方がが早いじゃろ。やってみい。」
言われるがまま、尽はやってみた。
「アクァ・・・、出来た。」
尽が言葉を言い終える前に、はっきりと氷の刀が発生した。
イメージが、言葉より先に固まったことでこうなったらしい。
先ほどよりも、水が透き通っている。というより、凍っているが正しいのか。
「ほお、素晴らしいのう。よもやここまでとは。」
「え、凍ってるけどいいの?個人的には失敗なんですが・・・」
目を丸くして、感心するレインとは対称に尽は不満そうだ。
「なに、心配せんでいいい。できないことを工夫で補うこともまた、魔法の観点では重要なことじゃ。」
レインは本心で言っている。それを知ってか、ますます尽は複雑な気持ちになったのであった。
帰り道、尽は既に日課となった、薬草集めをしていた。
最近あまり見ねえな・・・取りすぎたか?
そういや、畑があったよな~。育てれねえかなあ。
黙々と草をむしる。尽が疲れて、立ち上がったとき。
「なんだあれ。」
不意に空を見渡すと、不穏な影が遠くに一つあった。
んあ、よく見たらこっちに向かってきてる?
うわ、こっちくんな、怪しい奴め!
(薬草も取ったし、レイン師と合流するか)
少し急いで尽はレインの元へ向かった。
「師匠や~、どこだー!」
「ん、もう帰るのか、尽。」
「ああ、向こうの空に怪しい影が見えたもんでな。」
「影かの?」
あれだと、尽が指をさすとさっきより明らかに近くに移動していた。
速い!!本格的にやばくないか?なんか対策しとくか?
とりあえず、武器を袋から出しとこう。そうしよう。
〈尽様、それは杞憂に終わるかと思われます〉
ん、そうか。なんでだ?
ガイドが答える前にレインが先に口を開いた。
「尽、あれはこの辺の魔族の荷車だ。」
「荷車ですか。」
「そうだ。あれで近くの村や都心に農産物を出荷しに行くんじゃよ」
「でも速すぎだろ・・・あれじゃぁなんか落っこちるだろ。」
「大丈夫じゃ、魔法のおかげで新鮮さも保てる優れものじゃし。」
「ふーん」
なんだ、そうだったのか。心配して損した。
じゃあ、帰るか。
そうして尽らが、帰ろうとしたその時。
尽は何かどす黒い気配を感じ取った。
なんだ、この感じ・・・やばい気がする。
〈尽様、そうではありません〉
んんガイドさん?そうではないって、一体どういうことだ。
〈安全なのは尽様のみです〉
それって一体どういうことだ?
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
尽の意識がガイドに向けられているときに、突然、悲鳴がすぐ近くで聞こえてきた。
〈つまり・・・〉
尽は恐る恐る、悲鳴の聞こえた方を見た。
〈ターゲットは、レイン様であるという事です〉
尽の隣では、レインがまるで自然と一体したように動かなくなったレインが眠っていた。




