71.その神出鬼没は影を渡りし隠者
かつては神秘界の騎士Justiceに支配され緊張感漂う空気を醸し出していた金曜都市ミスリルウォール。都市の住民たちは一様に暗い表情で下を向いていてばかりだった。
だが今はJusticeを従えていた金曜創造神が倒れJusticeも改心し、支配から解放された住民たちは皆晴れやかな表情で生き生きとしていた。
そんな活気を取り戻しつつある金曜都市に2人の男女が訪れていた。
「ふぅ、やっと都市部に辿り着きましたね。思ったよりも時間が掛かりましたし」
「寧ろ早い方だと思うわ。何の装備も無く徒歩での砂漠の横断。無茶もいいところね」
「それは仕方がないですよ。まさかいきなり砂漠に飛ばされるとは思わないですから。幸い俺の『正体不明の使徒』の力でどうにか出来たから良かったものの」
「そこは感謝しているわ。どうせなら時空魔法のテレポートで一気に来れたらよかったけど」
「残念ながらテレポートは行ったところじゃないと飛べないですからね」
男はそればかりはどうしようもないと肩を竦め女へ納得してもらう。
女の方もそれほど文句があるわけでもなく、ただの出来たらいいな程度の愚痴でしかなかった。
男女はThe Towerの夢現の塔からはぐれて行方不明になっていたソロとフレンダだった。
2人は夢現の塔が崩壊した後、金曜都市の南西に広がるアンテンパランス砂漠に飛ばされ数日かけてやっとの思いで砂漠を越えて来たのだ。
アンテンパランス砂漠にはオアシスなどの水源は一切無く、旅慣れたものでも渡ろうとする者が居ない程の過酷な砂漠として有名だった。
流石に砂漠越えをする為の準備や装備が無い中での砂漠越えだったが持てる能力を使い、2人は何とかここまでたどり着く事が出来た。
「・・・なんか思っていたよりも活気にあふれていますね。金曜創造神に支配されていると聞いてたが、意外と善政を敷いている?」
「そんなはずはない。金曜創造神も暴君だって聞いているわ。住人は皆窮屈な思いをしているって潜伏している仲間からの報告が合ったはず」
「となれば、誰かが金曜創造神を倒したってところでしょうか? だとしたらかなり俺達は出遅れたみたいですね」
「この都市に潜伏している仲間と連絡を取るわ」
「・・・いえ、それには及ばないみたいですよ」
フレンダが金曜都市の状況を確認する為、潜入している『AliveOut』の仲間と連絡を取ろうとしたが、その前におそらく警備の点から都市内を巡回していると思われる冒険者たちに目を付けられた。
「あんたら最近じゃ見ない冒険者だな。どっから来た? 所属は『AliveOut』か? まさか他の都市の神軍の残党じゃねぇだろうな」
声を掛けて来たのは戦士風の男2人と小さな男の子だった。
どうやら2人はここ数日で都市内で見かけたことが無い冒険者だと言う事で確認の為に声を掛けられたらしい。
しかも話の内容から他の都市でも八天創造神の支配からの解放が進んでおり、幾つかの神軍が解体していることが伺えた。
ソロとフレンダは本当にかなり出遅れたと苦い顔をする。
特にソロは妹のデュオがどうなったのか、また、自分とは別に神秘界に来たと思われるトリニティの行方も気になっていたからだ。
「私は『AliveOut』精鋭部隊所属、フレンダ。
神秘界の騎士・The Empress攻略の帰途でThe Towerの能力でアンテンパランス砂漠に飛ばされてしまったの。ようやく砂漠を越えてここに辿り着いたところ。
出来れば最近の状況を詳しく教えて欲しい」
「精鋭部隊か! それなら直ぐにでも木曜都市に向かった方がいい。今『AliveOut』の本拠地である木曜都市がヤバいらしい」
フレンダが神秘界の騎士攻略の精鋭部隊と分かると男は僥倖だとばかりに一刻も早く木曜都市に向かえと言う。
「何があったんだ?」
「分かんねぇ。分かんねぇけど、どうやら木原城が攻撃を受けているらしい」
ソロは男に詳しい事を訊ねるが、どうやら男も詳細までは分からないらしい。
だが男に代わって傍に控えていた男の子が答える。
「恐らくだけど、攻撃を仕掛けて来たのは日曜創造神の配下の神秘界の騎士・The Hermit。
The Hermitは影を使うと言われているんだ。
そして今、木原城は影の球体に覆われて侵入者を飲み込んでいるって話だよ。当然中に居た木曜創造神との連絡は付かず、木原城に居たクランマスターとサブマスターとの連絡も途絶えたって」
「それ本当?」
まさかの八天創造神への襲撃にフレンダは疑いの眼差しを男の子に向け、最初に話しかけてきた男に確認する。
「少なくとも木原城が影の球体に覆われているってのは本当だ。本拠地のメンバーと連絡を取って確認した」
「この男の子の言うThe Hermitは何処まで信憑性があるの?」
「そこもまず間違いないかと。こいつも神秘界の騎士の1人だからな。
正義の書で金曜都市を支配していたJustice」
「今は正義の書を失い神秘界の騎士の力も無いただのジャクスだよ」
男の子の正体にソロとフレンダの2人は驚いたものの、エレナーデの前例もあるので納得した。
おそらくだが金曜創造神を倒したことでJusticeを味方にしたのだろうと。
そして木原城を覆っている黒い影の球体の正体がThe Hermitによるものだと信憑性があることも。
「俺達は未だ金曜都市の後始末に追われて本拠地には行けねぇ。あんたら精鋭部隊が来たってのは心強いぜ。
頼む、一刻も早く木曜都市に向かってクラマス達を助けてやってくれ」
男の頼みに2人は頷いて、走竜を借り受けて木曜都市へと向かった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
鬱蒼と木々が生い茂るハミントの森の中を2匹の走竜と2匹の魔物――青水晶のクォーツタスクのブルックと下半身が蜘蛛のアラクネのアラキネが駆け抜ける。
余程無理を強いたのか走竜とブルックはかなり息が上がっており、走る速度もかなり落ちてきていた。
特にブルックの背に乗ったアルベルトが焦ったように魔物を急かしていたのだ。
「早く、早く・・・!! こうしている間にもルーナ様は・・・!」
「アルベルト、落ち着け。焦る気持ちは分かるが、ブルックたちに無理をさせ過ぎだ。一旦休憩するぞ」
「そんな! こんなところで休んでなんかいられないだ!」
「馬鹿野郎! お前は仲間を使い潰すつもりか? そんなんで助けられたルーナが喜ぶと思うのかよ。
それに今の状態のお前だとルーナを助けるどころか返り討ちに会うのが目に見えるぞ」
ウィルにそう諭されアルベルトは周りが見えていなかった自分に気が付いた。
よく見ればブルックの損耗は激しく、流れ出る汗は滝の様だった。
「・・・あぅ、ごめん、ブルック。オラ、ルーナ様の事で頭がいっぱいでブルックの事をちゃんと見てなかっただ」
「ブルルッ」
ブルックは気にするなと言わんばかりに体を震わせるが、それでも損耗した体力はかなりのもので、漸く訪れた休憩にアルベルトが背から降りると木にもたれかかってぐったりとしていた。
「漸く休憩? 流石に私でもここまでノンストップだと疲れるわ~」
そう言いながらもそれ程疲れが見えないアラキネはブルックに水と飼葉を与えながら脚を休ませていた。
「出来れば森の中での休憩は避けたかったんだけどね」
「まぁな。だがまだ距離がある内だとアルベルトの心情がヤバいからな。出来るだけ都市に近い方が気持ち的にも違うだろうよ。
ま、これはアルベルトだけじゃなく、俺もだしな。俺だってルーナの事が心配だ。出来る限り早く救助に向かいたいさ」
「それはあたしも同じよ。でもこの後のリスクを考えると森の手前で休憩を取りたかったわ。森での警戒にどれだけ休めるのやら・・・」
デュオ達はハングドマン断裂の魔法陣設置ポイントでルーナが攫われた後、救助に向かうために魔法陣を刻む作業を速攻で終わらせた。
それこそデュオは宣言通り30分で魔法陣を描き上げた。
魔法陣を描き上げた後も息をつく暇も無くルーナが連れ去られたと思われる日曜都市を目指して走竜とブルックを走らせた。
無論そのまま何の情報も無しに日曜都市を目指すのは無謀なので、途中で水曜都市を経由して水曜創造神を攻略していると思われるフェンリルや鈴鹿達と合流して情報収集兼戦力の補充をする狙いだ。
それに謎のジジイ達も向かっているはずなので合流は必須とも言えた。
だがアルベルトの焦りは尋常じゃなく、走竜やブルックに無理をさせてまで走らせ僅か1日にも満たない時間で水曜都市付近のハミントの森まで来ることが出来た。
「1時間ほど休憩したら水曜都市に向かうわよ」
「1時間!? もっと短くならないだか?」
「馬鹿を言わないで。本当ならもっと休憩時間を取りたいところなのよ。1時間の休憩でどれだけ疲労を回復できるか・・・ここでブルックたちが倒れればそれこそルーナを助けに行く時間が延びるわよ?」
アルベルトは1時間でも長いと抗議の声を上げるが、デュオにそう諭され苦渋の表情ながらも引き下がった。
アルベルトとてこれ以上ルーナを助けるのに遅れるのは困るし、ルーナを助ける代わりにブルックが倒れるのはそれこそ問題外だからだ。
「ウィル、貴方は周囲を警戒。アラキネは糸の結界をお願い」
「了解」
「糸ならもう既に張っているわよ」
ウィルはまだ体力がある為に周囲の警戒を頼み、アラキネには糸による結界(警戒網)を頼む。
その間にデュオは卵の十冠に魔法をチャージしつつ、気休めながらもブルックたちに治癒魔法を掛けて体力を回復させる。
まだ完全に疲労が取れたとは言えないが、予定通り1時間の休息が終わる。
再び水曜都市に向けて出発しようとした時にそれは起こった。
アラキネが行く手を阻むかのようにデュオの前に立ち塞がった。
そして間髪入れず蜘蛛の糸を飛ばす。
「ちっ!」
声はデュオのすぐ後ろから聞こえた。
アラキネの放った蜘蛛の糸はデュオの後ろを狙ったものだった。
デュオは慌てて振り返り杖を構え警戒する。
ウィル達もアラキネの行動に驚きながらも直ぐに敵襲と分かりそれぞれの武器を構えた。
「ふんむー、よく分かったね。隠密は得意な方だけどまさか直ぐにばれちゃうとは思わなかったよ♪」
そこに居たのはいつもの露出の高い黒装束ではなく、迷彩柄に身を包んだThe Hermitだった。
何故口調はレンヒットの陽気なものになっていたが。
「別に隠れているのに気が付いたわけじゃないわよ? だっていきなり現れたんだもの。私だって襲って来る直前まで気が付かなかったわ」
実際、張ってあった糸の結界には侵入した形跡が無かったのだ。
突如として結界の中に反応が現れたのだ。
アラキネはそれに反応して半ば反射的に迎撃に移ったと言う訳だ。
「・・・影ね。貴女の神秘界の騎士としての能力は影に纏わるもね。
影法師に影真似、影に潜む。おそらく突然現れたり消えたりするカラクリも影にあるのでしょう。影から影に移動するような」
「ご名答♪ 忍術戦技にも似たようなのがあるけどこっちは便利さピカイチよ。その名もまんま影渡り。長距離移動は多少のロスがあるけど自在に何処にでも移動できる便利な能力よ♪」
デュオは神秘界の騎士の規格外な能力に半ば呆れていた。
ただでさえ瞬間移動などの空間系魔法を使用できるのは七王神でも時空神しか居ない。
例外として兄ソロの七王神の力を使える『正体不明の使徒』などがあるが。
それをThe TowerといいThe Hermitと言い、こうも容易く瞬間移動を使っているのだ。
これまでの概念を簡単に覆すにも程がある。これが呆れずにいられようか。
「ルーナ様! ルーナ様はどうしただ!?」
The Hermitの姿を見たアルベルトは今にも襲い掛からんとばかりに噛み付く。
攫われたはずのルーナの姿が無いのだ。おそらくだが既に日曜創造神に届けられた後なのだろう。
それが分かっていながらもアルベルトは聞かずにいられなかった。
「さぁ? ルーナちゃんは何処に行ったのでしょうねぇ~?」
「ふざけるなだ!」
流石に堪忍袋の緒が切れたアルベルトはハルバードを手に一気に間合いを詰めて突き刺す。
The Hermitは至近距離でハルバードを突きつけられたにもかかわらず慌てずに蛇腹剣を抜き取り穂先に当てて軌道をずらして最小限の動きでアルベルトの攻撃を躱した。
そしてそのまま至近距離で膝蹴りをかまし悶えるアルベルトからハルバードを奪い取って距離を取る。
「伝説級のハルバードゲット~♪」
「そりゃ甘い」
ハルバードを奪い取って上機嫌に掲げているThe Hermit。
と喜んでいたのも束の間、ハルバードが宙を舞いアルベルトの手に収まる。
アラキネが蜘蛛の糸を使い死角から絡め取って奪い返したのだ。
「グランドプレス・デスロック」
デュオのオリジナル魔法がThe Hermitの四肢を縛る。
小型の空間一点型圧縮魔法であるグランドプレスによりThe Hermitの手足を押し潰そうと土や岩が圧縮して動きを封じていた。
デュオの魔法を放つのと同時にウィルが剣戦技を放つ。
「バスターブレイカー!」
ウィルは出し惜しみなしに一気に剣戦技最上位であるバスターブレーカーを放つ。
が、その一撃は何も無い空間を素通りし地面を抉り取るだけに終わった。
「危ない危ない♪ もうちょっと遅かったら当たってたよ」
「それが影渡りね。思ったよりも厄介ね」
ウィルの攻撃が当たる直前に自らの影がThe Hermitを包み込み飲み込むようにしてそのまま影に沈んで躱したのだ。
そして何より特筆すべきは魔法を解除したと点だろう。
少し離れたところに現れたThe Hermitの手足からはグランドプレス・デスロックから解除されていたのだ。
つまり影渡りは単なる移動手段だけでなく、戦闘でも攻撃を躱す上にデバフ効果がある厄介極まりない能力だ。
「思ったよりも厄介なのはこっちもだよん♪
デュオだけでもキッツイのにウィルまでも揃ったんじゃ攻略レベルが撥ね上がってるよ! おまけに予想外の伏兵も居る事だし。
うん、ここは奇襲が失敗した時点で引くべきだね♪」
「逃がすと思っているのか?」
そうはさせまいとウィルが剣を突きつけるがThe Hermitはそれを気にした様子は無い。
それどころか悠長に己の目的まで語り始めた。
「んー、残念! 戦闘に関してはそっちに長があるけど、逃げや隠密に関してはこっちが上を行ってるからね! 多分捉えるのは無理だと思うよ。
それなのに何で奇襲を仕掛けたかと言えば、ぶっちゃけ狙いはデュオだったりするんだよね~」
「・・・どういう事?」
「主からデュオの抹殺指令を受けていたりするのだぁ! 奇襲は出来れば儲けものと思ってね。
で、ここからが本題。罠を張って待ってるからあたしの今の拠点に歓迎しするよん♪
あ、拒否は認めませーん。だってあたしの拠点は木原城だよ~。あ、木曜創造神とクラマス、サブマスの3人は人質ね」
「なっ!?」
The Hermitの言葉にデュオ達は驚愕する。
だが考えてみればこれは予想できたことだ。
The Hermitはついこの間までレンヒットとして『AliveOut』に潜んでいたのだ。
『AliveOut』に関する情報は全てThe Hermitに知られていると思って言っていい。
おまけに影渡りで奇襲が掛けられるので内部情報が筒抜けなThe Hermitには丸裸も同然だ。
既に言う通りに木原城はThe Hermitの手に落ちたと思っていいだろう。
デュオ達もルーナが攫われたことでそちらに意識が行っていてその事が頭から抜け落ちていた。
尤もルーベット達に連絡手段を持たないからスパイが入り込んでいた事を伝えることが出来なかったが。
「ま、来なかったらそれでもいいんだけど? その時は人質がどうなるかは・・・と言う訳です♪
そう言う訳で、あたしは木原城で待ってマース。あでゅー♪」
そう言い残してThe Hermitは影に包まれ地面へと沈み込みこの場から消え失せた。
勿論逃がさないように、ウィルが気を引き付けている間にアラキネが糸を飛ばし縛っていたが、影渡りによりそれらは無効化されまんまと逃げられてしまった。
「くそっ!」
「ちょっとアレ反則臭くない?」
悪態を付くウィルにチートすぎる能力に苦情を言うアラキネ。
そんな2人を余所にアルベルトは変わらずにルーナの心配をしていた。
デュオは人質に取られた3人の安否を気遣いながらもルーナの行方を考えると今後の展開に頭を悩ませる。
そしてそれを決定づけるかのように余計な一言を言いに再びThe Hermitが影から姿を現す。
「あ、そうそう、健気なアルベルト君に免じて朗報を教えてあげる。
ルーナちゃんは既に主の元に届けたけど、主は今別の被験体に夢中でルーナちゃんに構ってる暇は無いみたいよ? ルーナちゃんはあくまで保険みたいなものだから数日は大丈夫だと思うよ~」
「ほ、本当だべか!?」
「信じるか信じないかはアルベルト君の自由~♪ それじゃ今度こそあでゅー♪」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「やられたわ・・・」
デュオ達の当初の目的はルーナの救出だったが、ここに来てThe Hermitの挑戦状が叩きつけられた事によって状況が変わってしまった。
すなわちルーナを助けに行くかルーベット達を助けに行くかの2択に。
そして当然ルーナの救助を主張するのはアルベルトだ。
「早くしないとルーナ様が危ないだ! 早く早く!」
「落ち着け。焦れば焦るほど敵の思うつぼだぞ。
とは言え、どうする? デュオ」
「ルーベットさん達の方は『AliveOut』で対応していると思うけど、相手は神秘界の騎士。精鋭部隊がどれくらい木曜都市に常駐しているのかによって救出の成否が大きく変わるわね・・・」
「いっそのこと2手に分れる?」
「これ以上の戦力の分散は出来れば避けたいわね」
どうやってもアルベルトは日曜都市に行く意思を変えないだろうと、アラキネは2手に分れることを提案する。
4人しか居ないこの現状ではそれは悪手でしかない。
「えっと、ほら、水曜都市に行けば謎のジジイや七王神達が居るんでしょ? そこで協力を募って改めて2手に分れるってのはどう?」
「そっか、水曜都市に行けばお爺ちゃん達が居るんだった。戦力としては十分じゃない」
どうやら余程焦っていたのかデュオは強力な戦力が水曜都市に集まっていることを失念していた。
現在攻略中と思われる水曜都市には鈴鹿達やフェンリル達七王神が集まっているのだ。
そして謎のジジイもそこに向かっているはず。
後は木曜都市で何が起こったのか情報収集する意味でも水曜都市に向かうのはベストな選択だった。
「取り敢えずどちらかに救出に向かうかは水曜都市でお爺ちゃん達と合流してからね。アルベルトもそれでいいわね?」
「分かっただ」
アルベルトとて何も無謀な特攻をかましたい訳ではない。ルーナの救出率が上がるのであれば謎のジジイ達との合流に反対する理由は無い。
尤も謎のジジイ達の協力が得られなければ最終的には1人でも特攻するつもりではいたが。
デュオ達は再びThe Hermitの奇襲を警戒しつつ、水曜都市を目指す。
The Hermitは木曜都市で罠を張って待っていると宣戦布告をしたが、実はそう思わせておいて道中での奇襲もあり得たからだ。
果たして宣戦布告は正しかったのか、水曜都市に着くまでの間はThe Hermitの奇襲は無かった。
だが、水曜都市で待っていたのは待望の戦力の補充ではなく、過酷な現実だけであった。
次回更新は2/28になります。




