65.その秘密を握りし者は謎のS級冒険者
ハングドマン断裂。
それは七曜都市の南東に位置する北東のホイルフォー山から南のエンパレス山に横断する大渓谷を指す。
その幅は広いところでは50kmもあり、深さも3kmと異世界でも類を見ないほどの大渓谷だ。
そしてそのハングドマン断裂の底には大量の魔物が蔓延っており、落ちたら二度と地上へ出られないとさえ言われている。
そんなハグドマン断裂の最深部には4人の男女が渓谷を登ろうと試行錯誤していた。
「なぁウィル。やっぱこれ無理だと思うべ」
「おいおい、やる前から諦めるなよ」
「だって幾らなんでも蜘蛛の巣を伝って上まで登るってオラには難易度が高すぎるだ。
それにルーナ様に危ない目には遭わせられないだ」
「あら、アルベルトさん。これ意外と楽しいですわよ?」
「ああ、ルーナ様! 無茶はしないで欲しいだ!」
「カフゥ・・・ブルルッ」
「おーい、楽しんでいるところ悪いが、またワイバーン共が来たから対処頼むよ~」
「よっしゃ! 任せておけ! よし、行くぞ、アルベルト!」
「あわわわ・・・! 何で細い糸の上で自由に動けるだ!? オラにはやっぱり無理だ―――!!」
ハングドマン断裂の底に居たのはThe Towerでデュオとはぐれてしまったウィル達だった。
ウィルは渓谷の幅が一番狭い部分で蜘蛛の糸を張り巡らせそれを足場に地上まで登ろうとしていた。
ウィルは持ち前の運動神経で器用に蜘蛛の糸を伝い登りながら、時折襲い来るワイバーンを蹴散らしていた。
そんなウィルに付き合わされていたアルベルトは腰が引けて怯えながらも比較的足場がしっかりしている蜘蛛の巣を踏みしめながら段々と離れていく地上を眺めては弱音を吐いていた。
戦闘能力が無く足手まといと思われがちなルーナだったが、意外と運動神経は良いらしく、ウィルと引けを取らない綱渡りで蜘蛛の糸を登っていく。
そして護衛の様にルーナに付き添う青水晶のクォーツタスクも器用に蜘蛛の糸を踏みしめ跳ね飛んで登る。
そして3人と1匹が足場にしている蜘蛛の巣や蜘蛛の糸だが、それを張っているのはなんと魔物だった。
そう、上半身が女性の体で下半身が蜘蛛のアラクネと言う魔物だ。
だがこのアラクネ、名をアラキネと言い、人間の言葉を理解し争いを好まない魔物だった。
ハングドマン断裂の奥底にひっそりと隠れ住んでいたアラキネの前にウィル達が姿を現し、突然の人間の出現にアラキネは警戒したものの最終的には友好を結び地上へ戻る手伝いをすることになったのだ。
因みに、アルベルトがまるで魔物のような猪人だったのが友好を結ぶ切っ掛けになっていた。
アラキネの協力を得られることになったウィルが取った作戦が、渓谷の左右を蜘蛛の糸で結び足場にして登っていくと言うとんでもないものだった。
アラキネは常に渓谷の左右を行き来しながら地上まで蜘蛛の糸を張り続けると言う重労働な役割を押し付けられたのだが、文句を言うどころか進んで糸を張り出していた。
「アラキネ~、何でそんなにやる気になっているだ? 幾ら幅が狭いと言っても有に1kmを越えてるだべ。蜘蛛の糸を張るには広すぎるだよ」
「そこは腕の見せ所ってね。確かに幅は広いけど、上手くいけばここは完全にあたしの縄張りになるんだよ。決して誰にも手が出せない蜘蛛の巣・・・俄然やる気にもなるさ。
普通だったら糸を張っている最中に邪魔が入るけど、今なら頼りになる護衛がいるからね!」
「オラ達は縄張り争いの手伝いをさせられていただか・・・」
アルベルトは仲を深めたウィル達を利用してちゃっかりと縄張り争いに巻き込んだアラキネを見ては溜め息を付きながら襲い掛かってくるワイバーンを手にしたハルバードで薙ぎ払う。
「文句を言いながらもやるじゃねぇか、アルベルト! 流石は爺さんの弟子だな!」
どんどんと登って行っているウィルは上の方からアルベルトがワイバーンを屠るのを見ては自分も負けじと剣を振るう。
「おお~、流石は猪の獣人。強さはハンパないねぇ~。この調子で頼むよ」
アラキネもアルベルトの強さを見ては頼もしさを覚え、蜘蛛の巣を張るのに勤しむ。
そんなウィルやアラキネを見てアルベルトは一言。
「オラ、絶対失敗すると思うだ・・・」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
数日後、そこには蜘蛛の巣をずたずたにされてハングドマン断裂の底に落とされたウィル達の姿があった。
「ほら言った通りだべ! 端から無茶だったんだ! こんな広い渓谷を蜘蛛の巣で埋めようだなんて!
死ぬかと思っただ! 死ぬかと思っただ! 死ぬかと思っただ!」
「いや~まさか、あそこで風竜と火竜の群れの他に、熾天竜が居るとはなぁ。
流石にあれは俺達だけじゃ無理だわな」
渓谷を半ばまで蜘蛛の巣を張り終えたあたりで、ウィル達は風竜と火竜の群れに見つかり蜘蛛の巣を風属性魔法で斬られ、火竜のドラゴンブレスで焼かれずたずたにされてしまった。
その上で、6枚翼を持つ純白の竜・熾天竜に襲われては流石に一溜まりもない。
ウィル達はあっけなく底へ落されて、咄嗟にショックを吸収する蜘蛛の糸の網を張ったアラキネによって地面に叩きつけられることなく助かったのだ。
蜘蛛の巣作戦が失敗したことにより、アルベルトはここぞとばかりに騒ぎ立てるが、結局は問題は何も解決していないことになる。
「さて、このまま上に出る作戦は失敗に終わった訳だが・・・だからと言ってこのままここで燻っているわけにもいかない。
と言う訳で次善策だが、この渓谷に沿って北か南に向かって歩いて行くしかないな」
「そっちの方がまだいくらか安全だべ」
「魔物の群れを突っ切るのが安全と言い難いような気もするが・・・まぁ、確かに上の連中に比べたらまだマシか?」
足場の悪い場所でのドラゴンの群れと戦うか、渓谷の底を蠢く魔物と戦うかとどちらを比べれば安全かと言えば微妙なところだ。
「この渓谷は果てが無いと言う事はありませんか?」
「少なくとも行き着く先はホイルフォー山の麓かエンパレス山の麓だからずっと底に居ると言うことは無いと思うよ」
ルーナが心配していたのはこの断裂が大陸を横断するほどの世界規模ではないかと言うものだった。
流石にそこまでの物となると幾ら底を歩いたところで地上に出るのは厳しいと言えたからだ。
「よし、じゃあエンパレス山の方へ向かおう」
ウィルが向かう先を決めたのは南東の方角だった。
少なくともその先には協力を取り付けているエレナーデが住まう地でもあるからだ。
こうしてウィル達はハングドマン断裂の底を蠢く魔物を狩りながらエンパレス山を目指す。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
木曜都市ローズブロッサム、その中心にある時枝城。そこにクラン『AliveOut』のクランマスターを始め、主だったメンバーが集結していた。
時枝城の主、木曜創造神であり『AliveOut』の裏の協力者、木原時枝。
神秘界の唯一のクラン『AliveOut』のクランマスターであり、幼女の姿をしている中身が老女のルーベット。
『AliveOut』の秘書的な立場で黒目黒髪の美女、狼御前。
謎のジジイに連れられ天と地を支える世界の住人を救う為神秘界に可能性を求めて来たデュオ。
『AliveOut』のクランメンバーで神秘界の騎士を討伐を主とする精鋭部隊のアイリスとリュナウディアとミュリアリア。
幼馴染を助ける為異世界から全てを顧みず神秘界に飛び込んだ鈴鹿。
その鈴鹿の幼馴染で神秘界で凄惨な目に遭いながらも鈴鹿と共に異世界に戻ろうと戦うディープブルーこと唯姫。
これまで鈴鹿と行動を共にし、陰から支えてきた盗賊のトリニティ。
最強の七王神と呼ばれているが、その正体は異世界人であり鈴鹿の父親だと言うミニスカ巫女のフェンリル。
同じく七王神の1人で鈴鹿の母親の大賢神ベルザ。
何もわからないまま神秘界に強制召喚された七王神の1人、戦女神ローズマリー。
そして場違い感が少々強いが、恋バナ物語をこよなく愛しその為の協力を惜しまない神秘界の騎士・The Loversのラヴィ。唯姫のメンタルケアの為に鈴鹿達と行動を共にしていた。
計14人がこの場に集い今後の作戦を検討していた。
まずは互いの持っている情報を提供し、共通化を図る。
とは言っても大体がデュオと鈴鹿の2パーティーによる行動の共通化だ。
デュオはこれまで述べたとおり、天と地を支える世界でのルーナを狙ったThe Worldの襲撃に始まり、神秘界でのThe Empressとの戦闘、そしてThe Towerによる監禁、The Towerの崩壊により強制転移で再び捕まった金曜都市でJusticeとの解放戦を語る。
一方、鈴鹿の方も万丈に満ちた旅で、王都でデュオ達と別れた後、Tの使徒の証の習得にドワーフの隠れ里の訪問。『警告の使徒・Warning』のアーシェを伴って聖Alice神殿での『天界の使徒・Heaven』ことアーシェの母のアーシャとの対面。そしてそのまま『「生きる」使徒・Alive』との戦闘。
神秘界に来てからは、更なる過酷な旅が待っていた。
鈴鹿、トリニティ、アイと3人で神秘界に転移したものの、何故か都市部ではなく郊外に1人だけ転移してしまったと言う。
運よくトリニティと再会はしたものの、直後に崖から転落し川に落ちて水曜都市に流されてしまう。
幸いにも八天創造神に見つかることなく『AliveOut」のメンバーに助けられたが、その時に得られた情報で唯姫や『AliveOut」のメンバーが金曜創造神に捕まっている事を知り助けてくれたクランメンバーと共に救出に向かう事になったのだが、そこで待っていたのは鈴鹿にとっても唯姫にとっても残酷なものだった。
鈴鹿は人ならざる力を発揮し、唯姫を救出したものの心は壊れる寸前だった。
それを救ったのがラヴィだ。持ち前の能力を使い、少々心的外傷を残しつつも唯姫の心を癒した功績をもって行動を共にしていた。
その後は『AliveOut』に協力し、The Towerはぐれていたリュナウディアとローズマリーを加えた対神部隊として火曜創造神とThe Magicianの討伐に向かい、途中でフェンリルの加勢を経て見事成果を上げてきていた。
「こうして聞くと、やっぱりと言うかなんというか、鈴鹿も波乱の旅を続けて来たわね・・・」
「こっちとしてはそんなつもりはないんだがな。とっとと唯姫を助けて異世界へ戻りたいんだが、どうも一筋縄じゃ行かないんだよ。はぁ・・・」
こうして改めて己の取ってきた行動を省みた鈴鹿は自分でもどうしてこうなったと思いつつも一刻も早く異世界に戻りたく溜め息をつく。
「さて、お互いの情報も共有したところで、それぞれの目的の為に動きましょう」
フェンリルがこの場を仕切り、今後の『AliveOut』の行動を方針を決める会議を始める。
この会議で上げられた要点は3つ。
1つ目は神秘界からの脱出するゲートの確保。
2つ目は八天創造神の攻略。
3つ目は謎のジジイの確保。
1つ目のゲートの確保については現在判明しているのは3つ存在した。
神秘界の騎士を倒し手に入れるカードキーで開く緊急脱出口。八天創造神の専用としている専用転送陣。そして八天創造神すら知らない本当の裏口魔法陣。
裏口魔法陣に関してはこの場ではデュオしか知りえない事だったが、デュオは敢えてその存在をこの場に居る皆に明かした。
当初はこの裏口魔法陣の存在を無闇に明かし混乱を避ける為であったが、この場に於いてはフェンリルなら有用に活用できると信じ明かしたのだ。
尤も裏口魔法陣の存在を知った鈴鹿と異世界人であるアイリスは隠している理由に納得はしつつも憤慨していた。
特に鈴鹿はこの裏口魔法陣があれば唯姫があんな目に遭わずに済んだのかと思うと八つ当たりとは思いつつもついデュオにあたってしまう。
「ふざけんな。俺達が四苦八苦しているところを横で笑って見てたのかよ」
「別に笑って見てた訳じゃ・・・」
「ああ、ああ分かっているさ。デュオが、その謎のジジイが悪いって訳じゃないのは。だけどこんなところに別の手段があったってのに気が付かなかった自分に無性に腹が立って・・・!」
「鈴鹿、ハウス! やるせない気持ちは分かるけど、あたし達は最善の手を尽くして旅をしてきたのよ。自分でそれを否定してどうするのよ」
「そうよ。鈴くんはこうしてあたしを助けに来てくれたじゃない。鈴くんのその気持ちがあたしにとっては一番の薬なのよ」
今にも暴れそうになる鈴鹿をトリニティが抑え、唯姫が鈴鹿の荒ぶる気持ちを寄り添って宥める。
まぁ傍から見れば鈴鹿はトリニティの飼い犬のような扱いを受け、唯姫とはイチャラブしているようにしか見えないが。
「裏口の存在は確かに有難いけど、謎のジジイしか使用できないのよね?」
「そうね。ざっと調べたけど、簡単に行き来できない様に安全装置が掛かっているみたい」
「それと、その天と地を支える世界にある裏口は赤い空のセントラル遺跡のから光の階段を登った部屋にあるって話しだったけど・・・間違いない?」
「ええ、セントラル遺跡にあんな空間があったなんてビックリしたわ。
裏切りの神が使っていたと言う部屋も見たことも無くて。お爺ちゃんの話だとその部屋は異世界を模しているって言ってたけど」
フェンリルの質問にデュオは謎のジジイに案内された時の事を思い出していた。
その答えにフェンリルの他、ベルザとローズマリーの2人の七王神も神妙な顔をしていた。
「裏王都・・・」
「あの空間を知る者は限られているはずですわ」
「まさか・・・でも、あり得ない・・・」
その中でフェンリルは何かを思い立ったようだが、確証は得られなかったのでこの場ではこれ以上の事は言わずに取り敢えずは会議を先に進めることにした。
「緊急脱出口はこのまま精鋭部隊に神秘界の騎士を攻略してカードキーを集めてもらうわ。
勿論、八天創造神の傍にいる神秘界の騎士も居るからわたし達も積極的に攻略していくから問題は無いわ。
問題は、専用転送陣と裏口ね」
専用転送陣はアイの持つ特殊能力ならば解析できるのではと言う話が出たが、専用転送陣は八天創造神の魂を鍵としているために完全に他の者が使用することは不可能だと判明した。
尤も今はそのアイが行方不明の為、本当に不可能かどうか実際に試してみることも出来ない。
そしてそのアイの話が出ると、鈴鹿とトリニティに少しばかり影が差す。
これまで鈴鹿とトリニティの旅を陰から支えて来ただけに、アイが居ないと言うだけで2人に精神的支えが無くなっていたのだ。
そんな不安を見抜いていたのか、フェンリルはルーベットに『AliveOut』にアイの行方を捜索するように指示する。
裏口は謎のジジイが居ないと話にならないので、3つ目の目的として謎のジジイの捜索に重点を置くことになる。
特にフェンリルは謎のジジイに重点を置いた。
先の裏口は勿論の事、デュオから聞いたこれまでの謎のジジイの行いはあまりにも天地人らしくないと判断したからだ。
どちらかと言うと異世界人に近い印象を感じる。
だが異世界との交流はほんの3年前であり、謎のジジイは天と地を支える世界では100年もの年月を生きている。
明らかに接点が無いにも拘らず、謎のジジイは異世界について知り過ぎているのだ。仮に裏切りの神と通じていたとしても。
それ故フェンリルは謎のジジイがこの八天創造神が画策する陰謀の鍵を握っているのではと睨んでいた。
「2つ目の八天創造神の攻略と3つ目の謎のジジイの捜索は2手に分れましょう。
八天創造神の次の攻略は水曜創造神になるわね。そっちは鈴鹿達に頼むわ。
わたしは謎のジジイの捜索を担当するわ」
「するとメンバーは俺、唯姫、トリニティ、ベルザ、ローズマリー、デュオ、アイリス、リュナウディアの8人か」
戦力的には申し分ない、寧ろ過剰戦力と言ってもいいだろう。
ただでさえ鈴鹿達とデュオ達に加え、七王神が2人も入っているのだ。
幾ら水曜創造神や護衛の神秘界の騎士もこの戦力に勝つのは容易ではないだろう。
だがその配置に待ったをかける人物がいた。
「あの・・・フェルさん。お爺ちゃんの捜索にはあたしが行きたいんだけどダメかな?」
デュオだ。
どうやらデュオも謎のジジイを気にしているようだ。
「フェルさんは鈴鹿達と一緒に水曜創造神に向かった方がいいと思うの。
確かに戦力的には過剰かもしれないけど、相手はこの世界を創造した『神』なんでしょ? 何をしてくるか分からないなら最高の戦力をぶつけないと」
「うーん、デュオの言いたいことは分かるけど、ここは異世界の事情に詳しいわたしが言った方がいいと思うんだけど。
それともデュオには何か自分でなければいけない別の理由があるのかしら?」
「ううん、特には無いけど・・・
なんて言うのかな? お爺ちゃんを見つけるのはあたしの役目のような気がして。
それにお爺ちゃんから色々この世界やあたし達の世界の事の秘密を教えてもらったんだけど、まだ秘密にしていたことがあるのはちょっと面白くないかなって思って。
お爺ちゃんとは長い付き合いなのに、お爺ちゃんにとってはあたしはその程度の付き合いだったのかなぁって悔しくなって文句を言いたいの」
「ふふふ、文句、ね。デュオは謎のジジイが大好きなのね。
いいわ、謎のジジイの確保をデュオに任せるわ。ただ流石に1人ではいかせられないわね」
幼い時に助けてもらった謎のジジイ。
時折預けられた孤児院に様子を見に来てくれていたり、デュオにとっては優しいお爺ちゃんだった。
冒険者になってからは会う事も少なくなったが、謎のジジイはもう1人の親であり尊敬する先輩冒険者でもあった。
全てを知ることは出来ないが、それでもデュオは謎のジジイに迫りたく真実を求めた。
それは冒険者としての意地なのか、愛情を求めてなのか今のデュオにははっきりした自覚が無かったが、それでもデュオは今は謎のジジイを負うべきだと判断した。
フェンリルはデュオの気持ちを汲んで謎のジジイの捜索を任せることにした。
ルーベットもそれに頷いてデュオに同行するパーティメンバーを『AliveOut』の中から選出する。
「アイリスとリュナウディアはデュオに同行するのじゃ。他にもう2人メンバーを加える。デュオはこの4人で謎のジジイを確保してくるのじゃ」
「フェルさん、ルーベットさん、ありがとう!」
因みにミュリアリアは情報収集の為、鈴鹿達とは別行動をするようにルーベットに指示された。
ミュリアリアには猫人同士での精神感応が可能な祝福があるため、情報収集要員として残されたのだ。
尤も、その祝福も使い勝手がいいとは言えず、猫人らしく、使用制限が気まぐれだったりする。
だが今は猫の手も借りたいくらいと言う事でミュリアリアは戦闘要員ではなく、情報収集要員として貰う事にしたのだ。
「先ほど『AliveOut』の情報網に厳つい老人が北東で見かけたと言う情報がありました。
おそらく謎のジジイと思われるでしょう。デュオはまずは北東に向かうのがよろしいかと」
そうして今後の予定を組んでいると、狼御前が謎のジジイの行方を示す情報を公開する。先程のアイの捜索の指示をしている時に入った情報だろう。
鈴鹿達は水曜創造神へ、トリニティは謎のジジイ捜索へとそれぞれ動き出す。
次回更新は12/26になります。




