表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無自覚破壊神と恋の物語  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/23

第2話scene4

水無月実花は、玄関を抜け、そのまま自室へと駆け込んだ。

制服のまま、扉を閉める。

鍵をかける余裕すらなかった。

「……はぁ……」

背中を扉に預け、そのまま床にずるりと座り込む。

その瞬間――

棚の上に鎮座していた、どう見ても可愛くない牛のぬいぐるみが、ドスンと床に飛び降りた。

「へい!どうした?こんな時間に帰ってきやがって!

 学校はどうしたんだよ!」

いつもの軽口。

いつもの憎たらしい声。

水無月は顔を上げず、力なく答えた。

「……それどころじゃないわよ」

牛が首を傾げる。

「お?」

「破壊神と……告白で……死にそうよ……」

「……」

一瞬の沈黙。

「告白で死にそうってのはよく分かんねぇけどよ」

牛は腕――のような縫い目を組む。

「破壊神の方はどうなんだ?

 始末したのか?」

水無月は、かぶりを振った。

「無理よ……」

声に、悔しさが滲む。

「もう……目覚めちゃってるから。

 私ひとりじゃ、どうにもならないわよ」

牛が鼻を鳴らす。

「なんだよ。十傑だよりか?」

「そうなんだけど……」

水無月は立ち上がり、ベッドに腰を下ろす。

「それまで……持ちそうにないのよ」

目を伏せる。

「もう、あちこち壊れ始めてる。

 学校も……私も」

空気が、少しだけ重くなる。

牛は、しばらく黙っていたが――

やがて、ぽん、と手を叩いた。

「だったらよ」

水無月が顔を上げる。

「知恵の勇者を探すしかねぇんじゃねぇか?」

「……知恵の勇者?」

「そうだ。あいつならよ」

牛はニヤリと笑う。

「破壊神を倒せなくても、

 破壊活動を止める方法くらい、何か知ってるかもしれねぇぜ!」

水無月の脳裏に、即座に一人の顔が浮かんだ。

(……やっぱり)

学年トップの成績。

教師たちからの信頼。

目立たないが、常に中心にいる存在。

「……高永」

ぽつりと、名前を口にする。

「やっぱり……あいつしかいないか」

勇者十傑。

破壊神。

告白。

混線した状況の中で、ようやく一本の糸が見えた気がした。

(水無月実花は、もう逃げない)

次は、知恵で立ち向かう。

彼女の瞳に、再び覚悟の光が宿った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ