第2話scene2
休み時間。
教室は、いつもより明らかにざわついていた。
理由は単純だ。
教室のあちこちが壊れている。
壁に走る細かなヒビ。
欠けた床。
なぜか歪んでいる窓枠。
「……なにこれ」
「昨日より増えてない?」
そんな囁きが、教室を満たしている。
――そのとき。
「失礼しますわ」
凛とした声とともに、
教室の扉が開いた。
入ってきたのは、生徒会長――青峰咲良。
一瞬で、視線が集中する。
青峰は、ゆっくりと教室を見回した。
壊れた机。
ひび割れた壁。
そして、満足げに微笑む。
「……やはり」
小さく頷く。
「破壊神の力は、順調に成長しているようですわね」
「……?」
省吾は、ぴくりと反応した。
そして、ずかずかと青峰に近づく。
「青峰先輩!」
怒りが、そのまま声に乗る。
「俺の告白の邪魔をしないでください!!」
――ズンッ。
低い振動が、教室を揺らした。
壁に、新たなヒビが走る。
天井の照明が、ぎしりと音を立てる。
「……っ」
青峰は、思わず息を呑み――
次の瞬間、
うっとりとした表情を浮かべた。
「……素敵」
手を胸に当てる。
「さすが、破壊神ですわ」
「だから!」
省吾は声を荒げる。
「昨日から言ってることが意味わかりません!!
とにかく邪魔しないでください!!!」
言い放ち、青峰を振り切る。
そして――
一直線に、水無月の元へ向かう。
「水無月さん!!」
――ドンッ。
床が、また一段階沈んだ。
机が、きしみ、倒れる。
教室内が、
彼の歩みに合わせて壊れていく。
水無月は、冷や汗を流していた。
(……危険)
物理的にも。
(……いろんな意味で、危険……)
破壊神。
執着。
生徒会長の狂気。
(……今の私にできることは……)
結論は、一つ。
(逃げるだけ)
水無月は、鞄を掴み、
迷いなく教室を飛び出した。
「……あ」
省吾は、その背中を見送ることしかできなかった。
「……え?」
立ち尽くす、省吾。
壊れかけの教室。
去っていく水無月。
そして――
「ふふ……」
背後から、熱を帯びた視線。
振り返ると、
青峰咲良が、
うっとりとした目で彼を見つめていた。
「やはり……」
小さく、確信するように呟く。
「あなたは、世界を壊すにふさわしい」
省吾は、言葉を失った。
事態は確実に告白どころではない方向へ、
着実に転がり落ちていく。




