第93話 トラウマになっていた
「ああ、その辺のザコっぽいのは、どうでもよかろう。城に送っておいてやる」
アシュタルテ公爵のことばとともに、いくつかのスノードームが消えた。
消えたのは、あの豪華客船乗っ取りを企ていた連中 ―― もともと、アシュタルテ公爵に押し付けるつもりではあったんだが…… なんとも強引だな。
残ったのは、奴隷狩2人組のギルとジャン、死霊術士、死霊術士と一緒にいた血祭り野郎の計4人だ。
―― こうしてみると、ジャンがいちばん細いんだな。次に小柄なのは死霊術士。ギルと血祭り野郎は、ほぼ同じ体格か…… 2人ともでかい。
アシュタルテ公爵は、この4人を、拷問する気なのか……?
「ふむ……」
アシュタルテ公爵の宝石のような瞳が、ざっと4人に注がれる。
と同時に空気が、異質なものに変わる感覚。
ジャンたち4人と、それ以外 ―― つまりは俺、イリス、ミア、美肉スライムじいちゃんの4人 ―― との間に、結界が張られたようだ。
「アシュタルテ公爵? いったいなにを……」
俺が問いかけたとき。
ジャンたち4人をそれぞれに覆っていたスノードームが、砕けて消えた。
「4人全員から同じような事情を聞くのも、ダルい…… したがって」
アシュタルテ公爵は長い黒髪をかきあげながら、のたまった。
「そなたら、これから殺しあうが良かろう…… 生き残ったひとりを、死なぬ程度に拷問してやるのでな」
「いや、そんなデスゲームに乗るやつ、いるか?」
俺のツッコミは、アシュタルテ公爵に華麗に黙殺される。
かわりに、イリスがぷにっとうなずいてくれた。
{協力しあったほうが、いいのです!}
{そうじゃな! さすがワシの孫じゃ!} と、バ美肉スライムじいちゃんも、ぷるぷる揺れる。
「そのとおりですが、彼らは、そうでもないみたいですよ?」
ミアの言うとおりだった ――
「ぃよっしゃっ!」
真っ先に動いたのは、血祭り野郎だった。
やつは、いつのまにか舶刀を手にしている。アシュタルテ公爵が持たせたみたいだな。
次の瞬間 ―― 血祭り野郎のふるう刃が白くきらめいた……
鮮血が、ほとばしる。
「……ッ な……ッ」
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