2つの呪い、解呪の手がかり
「お話があります。中に入ってもよろしいでしょうか?」
ドア越しにアビアが話しかけてくる。
すぐさまテーブルの上の水筒を荷物に入れて、話し合う準備をする。
「どうぞー」
「失礼します」
ケレスがそう言った後、アビアがリーシュを連れて入ってくる。
アビアに合わせた目線を上へと向ける。
するとリーシュの顔が少し青い気がしたのでケレスは声をかけた。
「どうしたんだ?少し具合が悪そうだけど」
「・・・・・・これから話す」
「彼女と一緒に旅を続けるのであれば、共有すべきだと思いまして。
彼女の呪いのことです」
「・・・・・・やっぱり呪いだったか」
「ええ。まず、なぜ解ったのかについて」
アビアはリーシュに伝えた自身の体のことを男二人にも伝えた。
「そうなんだ。その力でどんなことが解ったんだ?」
リーシュの具合は悪そうなのだが聞いておくべきと思った。
故にケレスがアビアに聞く。
「彼女は2つの呪いにかけられています。
一つは不滅。肉体も魂も死ぬことはなくなる呪いです。
彼女の不遇とは関係ありませんが一応」
ガクッと転げかけるケレス
「関係ある物だけで良いから」
「今後不都合が出るかも知れませんでしたので。
もう一つの呪いは仮に名付けるなら『理不尽嫌悪』。
かけられた人に対する理由のない不快感を引き起こす呪いです」
「・・・・・・影響を受けた人は不快感に理屈づけをするそうだ」
初めてリーシュが口を開いた。
「誰かが最初にその理屈を口に出せば、納得を求めるから賛同する。
・・・・・・ケレスを見る限り影響に個人差はあるみたいだが、
村や町というコミュニティでは迎合することが求められる。
それに知ろうとしなければ、その理屈が本当かも知れないと思うのも確か。
だからかけられた者はコミュニティを相手にしなければならない」
ワファタートでも本気で憎んでいた人は少数だった。
仲間はずれは嫌だから、コンフィが怖かったから・・・・・・
社会的要因による恐怖から、言うことを聞くしかなかった人達の方が多かった。
「・・・・・・ずっと不完全な不滅が原因だと思っていた。
完全な不滅をかけて貰う事でなんとかなると思っていたんだ」
「・・・・・・理不尽憎悪はかなり強力です。
地に根を張った呪喰様、それも大樹へと至ったお方でなければ不可能です。
今どれだけおられるかは解りません。
それを調べることが私の使命でしたので」
「・・・・・・呪われているのは私だが、アビアは付いてきてくれるそうだ。
苗の力で当たりをつけられるらしい」
「本当であれば書物が残っていれば各地の教会を通じ、
より正確な情報を得られるのですが・・・・・・
霊樹のおられる場所を記した物は全て失われています。
おそらくは最終戦争の際に焼かれたか、
火事場泥棒に持って行かれたのかと」
その発言を聞き、ケレスは故郷の図書室を思い出した。
貴族制の復活の際に数少ない書物をかき集めた故、
大量の書物があるのだ。
その際、何かに役立つだろうと関係ない物も所蔵している。
「古い本なら故郷に沢山有るんだけどな」
ポロリと出た言葉に、アビアは強く反応した。




