二つの部屋、二人と二人
マイペースで行くことにしました。
アビアとリーシュの部屋はすっきりしていた。
既に太陽は傾き始め、朱色の光が包み込む。
「物があまり必要ないので・・・・・・・」
少し恥ずかしそうにアビアが言う。
「それは光合成ができるからか?」
「そうですね。お水なら町や村には必ずありますから。
ちょっと多めに買って、曇りが長く続いた時の為の食料などを少しだけで」
「なかなか便利な体だな」
「ええ。生き物にとって食欲は強い欲の一つですから、
それによって信仰を乱される事はありません。」
結局宗教に繋がるのか、とリーシュは思った。
「さて。実は女性2人で分けたのは過ごしやすさだけが理由ではありません。」
「?」
「直球で行きます。あなた、呪われていますね? それも強力な」
「・・・・・・何のことだ?」
リーシュを中心として、部屋の中をうろつくアビア
「私は体に霊樹の一柱、呪喰様の苗が宿られています」
「そんな物があるなど信じられないな」
「私の徳が足りないせいで強過ぎると影響を抑える事しかできませんが、
やはり呪いを食べてくださるのですからその在処を教えてくださるのです」
「・・・・・・」
リーシュは扉を見る。
既にアビアが立ち塞がっており、勢いよく駆けだしても横から腰へタックルを仕掛けられるだろう。
「内容によっては私たちだけの秘密にさせていただきます」
「・・・・・・本当だな?・・・・・・『不滅』、不老不死の呪いだ。
おそらく不十分で魔力か何かが漏れ出しているんだ。
それが不快感の原因なんだろう」
リーシュの心当たりはそれしかなかった。しかし・・・・・・
「いえ、それは関係ないかと。
その程度であれば、今の私でも受け止められます」
「どういうことだ?呪われていると言ったのは君じゃないか」
「気づいていないのですか?」
「?」
「あなたにはもう一つ呪いがかけられています」
ケレスとメナルーはベッドの上に荷物を置き、小さなテーブルを囲んでいた。
水筒を置き、突然メナルーが話しかける。
「あのリーシュって人の事、何か話してよ」
「なんで?」
「嫌われる雰囲気って彼女自身が言っていただろ?
直せるならヒントがあるかなって思ってね。」
「確かに直す方法があるなら、協力してあげたいと思う」
「それにさ、あの門番さんはあんなことを言う人じゃないんだよ。
いつ来ても公正でさ、今日のあれは信じられないんだ」
「解った。勝手だけど話しても良いだろうと思うことだけ」
ケレスはワファタートのことを話し、メナルーはそれを聞き少し考えてから歯切れ悪く言った。
「うん、彼女は悪人では無いとしても、やはり彼女に原因があるかもね、うん」
「・・・・・・やはりそう思うのか?」
「そりゃそうだよ。
まぁ、彼女の仕草が、あー、普通であっても起こりうる、呪いの類いだろうね」
「呪いって本当にあるのか?
名前は聞けど、実際にかけられたと言う話は聞かないんだが」
「あるよ。せいぜい70年程度のヒューマンでは伝承が消えやすいみたいだけどね。
何度も呪われた人や物、土地を見てきたし」
「どういうもの何だ?」
「簡単に言うなら呪いは発動したらずっと効果が続くものさ。
魔法は発動したらすぐ効果がなくなる。過剰魔力汚染も一種の呪いだね」
今では少なくなったそうだが、高濃度の魔力に土が汚染された土地であればケレスも見てきた。
あまりにも急激に物質と霊質を入れ替えると魂が崩壊してしまう故に誰も近づかない。
「呪いには他者に影響を与える物もある。
コンフィって人やそれに賛同した人達はやられちゃったんだよ。
おそらく君にとっても彼女にとっても気分は良くないだろうけど、
旅を続けるなら聞く方が良いよ」
そう言って水を飲み、話を終えた。
リーシュに違和感が出たので一度削除しました。