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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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28 稼いだ金が消えていく

 放っておけば何をしでかすかわからないサシャさんを落ち着かせる為にも、準備をしてからとは言ったものの、あれから数日間は仕事があり、特に何かできる状況ではなかった。あっちの人には悪いが、こっちで生活していく為に仕事をしないといけない。サシャさんじゃないけど、お金は大事。仕事に復帰したから貯金の減るペースはゆっくりになったけど、まだまだ安心できない。突然どうなるかわからないなんてのは嫌というほど身にしみている。


 そもそも、こっちで何をどう準備していいのかわからないんだよな。こないだヘルメットは買ったし。ライトはいらんかったけど。⋯あ、鉄パイプでも探しに行こうか。武器にならんかな。⋯⋯昔の不良っぽいかしら。


 サシャさんは単独で、もしくはミラさんと一緒にこっちに来ているようだ。職場を覗いていく事はなくなったようだけど、他の社員から発見の報告をされたり、昼休憩で外にでたタイミングで会ったりした。その時は昼を一緒になんて一瞬思ったけど、十分では時間が足りないし、休憩なのに気が休まらない。


 夜に行った時に聞いた話だと、こっちに来る以外の時間は割と真面目に過ごしてるようだ。ダヌさんを含めた数名と魔物退治に行ったり、教会で治療したりしてるらしい。普通の事なんだろうけど、どうしても奇声聖女のイメージが拭えず、あのサシャさんが真面目に?!なんて思ってしまう。夜、一緒にこっちに来た時はお菓子食べてダラダラしてる姿しか見てないから余計にそう思う。


「あ、これ飲んでみない?」

「なんです?」

「こっちで、エナドリって言われてるやつ」

「ニホンのエナドリ?!」

「うん。違うものかもしれないけど、効果があるなら持っていってもいいかなって」


 飲んでもらってみた結果、あっちのより爽快感もあって美味しいけど、よくわからないそうだ。もっと欲しそうな顔をしてたから、単に飲み物として持っていくぐらいは考えておこう。


「洞窟、次の休みに行ってもいいんだけど」

「けど??」

「その前に買い物行こうかなと思っているんだ。一緒に行ってみる?」

「いいんですか?!」

「まぁ、いいんじゃない。何度かこっちに来てるみたいだし、そろそろ行ってみてもいいかなって」

「よし!いきま⋯」

「あ⋯」


 話の途中で居なくなる事に慣れてしまった。


 ⋯あ、そうだ。サシャさんの服を頼んでなかった。ゴスロリとかじゃない、普通の服をポチッておかないと。あ、ついでに持っていける食料とかもポチッとこう。


 洞窟に行く当日の予定はこうだ。


 午後一時頃、店に行く。

 サシャさんがぽちっとな。

 店内で会えれば一緒に見て回る。もし会えなくても、サシャさんなら勝手に楽しむはず。

 戻る時は一緒には行かず、買い物を済ませる。


 午後三時頃、サシャさん洞窟付近に行く。

 こっちがぽちっとな。

 皆と会えれば洞窟に突入。もし会えなければ戻ってくる。一人ではいかない。


 突入後は、危なくない範囲でやれるところまでやる。サシャさんは洞窟をつぶすとか言ってたけど、そこまでやれるかわからない。


 買い物はホームセンターにした。ヘルメットとライトを買ったのもここだ。建築とか工具のコーナーあたりを見ておきたい。


「あ、ユウジさん!こんな広いとこ、本当にお店なんですか?!」

「うわ、教会より広いね!こんな大きな店、王都にも多分ないよ!」

「お店だよ。日用品がいろいろ売っているんだよ」


 店の中で会えないかもなんて思っていたけど、あっけなく会えた。騒がしいからすぐわかる。二人ともいつもの聖女服だ。


「いろいろ見て回っても大丈夫だよ?」

「いいんですか!?止められても見ますけど!」

「サシャ!あっち!あれ!」


 とはいえ、見るものほとんどがなんなのかわからなかったのだろう。とりあえず見て騒いで消えていった。広い店内のおかげか、他の人が近くにいないタイミングだったのはありがたい。⋯監視カメラには映っているかもしれないが、リアルタイムで見られていないと思いたい。


 その後は、いい感じの鉄パイプをDIYコーナーで見つけた。武器がわりになればと買ってみた。キャンプコーナーで軽くて持ち運びしやすい椅子を見つけた。休憩する時にいいかもと買ってみた。防犯コーナーで防護盾を見つけた。身を守れるかもと買ってみた。⋯帰る頃には財布の中身がほとんどなくなってた。


「⋯さて、そろそろ時間かな」


 動きやすい服装に着替えて、荷物片手にボタンを押す。


 ぽちっとな。


 ピンポン。


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