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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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16/37

16 変化球

 昨日は存分に引きこもった。でも、そのせいなのか体がすごくだるい。適度に動いた方が良さそうだ。⋯うん、今日はボタンを押そう。


 ぽちっとな。


 今日も教会だけど、まだ隣の町かな?


「ユウジさん!今日は来てくれたんですね!来るのを今か今かと待ってましたよ!」

「え?あ、そうなんだ?」

「来てくれないとニホンに行けないし、美味しいのが食べれないですからね!」

「⋯⋯うん、そうだね。ごめんね」


 いつも通りな普通の会話をしているものの、周りのコチラを見る目がいろいろだ。興味、恐怖、困惑といった所だろうか。まぁ、突然現れるんだから、仕方ない。そんな人の中から、サシャさんが一人連れてきた。


「早速ですが、こちらの方を治して下さい。症状としては怪我、そして毒です」


 連れてこられた人は困惑気味だ。近くにいたミラさんも困惑気味に見える。


「せ、聖女様。こちらの方は⋯」

「大丈夫。聖魔法が使える人ですから、安心して下さいね。さ、ユウジさん!先に解毒、次に回復をぱぱっとやって下さい」

「そんな言い方していいのかよ⋯」


『解毒』


『回復』


 サシャさんの指示通りに魔法をかけていく。


 連れてこられた人はびくびくしていたが、治っていく様を見ていて落ち着いたようだ。


「あ、ありがとうございます!」


 すっかり元気になったようで、軽い足取りで教会から出ていった。そのお陰か、こっちを見る目から恐怖や、困惑といったものがなくなったように思う。でも、ミラさんだけは困惑したままのように見える。


「ほ、本当に聖魔法使ってる⋯」

「さ、次の人ですよー」


『回復』


『回復』


『解毒』


『回復』


 サシャさんが連れてくる患者さんを指示通りに治し続ける。こんなに連続で魔法を使ったのは初めてだ。魔力が持つのかと心配だったが、時間の方が先に限界がきそうだ。


「サシャさん、そろそろ⋯」

「じゃあ、一旦休憩をさせていただきます!ちょっとしたら、再開するから待ってて下さいね!」


 サシャさんが宣言すると同時に、がしっと掴まれ、奥に連れられていく。ミラさんもついてきた。


「昨日行けなかった分、今日は絶対行きますから!」

「わかってるよー。⋯あれ?もう時間のはずなんだけど⋯」

「っ!?⋯ユウジさん、状態を!」

「え?あー、はいはい」


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  五

体力  満

魔力  小

能力  世界移動 十分間+五分間

    学習

     学習による効果 回復

             解毒

             突進

             炎

             水

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何か変わってますか?!」

「⋯えーと、位階が五になったね。あと、時間が十分間になってる」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯キタキタキタキタキターッッー!!!ヒャアッッホォー!!!」

「サ、サシャ?どうしたの?!」

「初めて見ると、困るよねー⋯」


 サシャさんから離れたい気持ちでいっぱいだけど、とりあえず連れてかないと、後が面倒になる。


「⋯一定の位階になると時間が増えるのは、これで確定!となると、次の時間が増えるのは⋯」


 部屋に戻ってきたけど、ずっとブツブツ喋ってる。いいのかな?⋯でも、この状態の時は下手に話しかけない方がいいような⋯。


「ユウジさんは回復だけではなく、解毒も使えるんですね」

「そうだね。サシャさんのおかげというか、サシャさんのせいというか⋯」

「サシャの?」

「そう。魔法とか、体験すると使えるようになるみたいなんだよね」

「え、どういう事ですか?」

「最初は、俺の病気を治す為に回復をかけてもらったんだ。そしたら、回復が使えるようになったんだよ」

「⋯⋯え?」

「んで、最近、スイセンを食べさせられたんだよね。あれってさ、毒があるでしょ?すぐに解毒をかけてもらったんだ」

「⋯え?⋯え?」

「で、使えるようになったと。すぐ治すにしてもさー、毒を食べさせるなんて、普通やんないよねぇ?」

「⋯⋯は⋯⋯⋯⋯なんじゃぁ!そりゃあーー?!!」

「あ⋯⋯あー⋯⋯」


 聖女が二人ともおかしくなってしまい、結局何もしないまま消えてしまった。


 ⋯来た意味なかったじゃん。聖女って、みんなあんな風になんのかな。⋯⋯こわ。



ーーーーー



「あ、あれ?ユウジさんが居ない?一人で戻っちゃったのかな?」

「サシャもニホンに行ったよ。でも、ずっとブツブツ喋ってたんだよ?」

「え?!なんてもったいない事をしたの?!」

「さ、休憩はもう終わりにしないと!」

「え!もう!?」

「サシャが悪いんでしょ」


 普通に話しているが、何か顔が赤く見える。


「ミラ、ニホンで何かありました?汗かいてません?」

「な、何もないよ。ユウジさんと話してただけだよ」

「そうですか?⋯⋯⋯んん?あれ?なんか叫んでなかった?」

「え?!さ、叫ばないよ!サシャじゃないんだから!」

「ミラだって叫ぶって事、知ってますからね?」

「ほ、ほらほら!待たせちゃってるんだから!」


 ⋯あやしいなぁ。何話してたんだろ。 


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