表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/37

13 正解は

 久々の職場は新鮮だった。最近は異世界ばかりだったから、サシャさん以外の大人とのちゃんとした会話がかなり新鮮だった。


 復帰初日という事もあり、手続きや配属先の説明を受けたりと仕事らしい仕事はしてないが、帰る頃には心地良い疲れを感じていた。


 これからボタンを押して戻ってくる事を考えると自炊は面倒だ。帰宅途中、コンビニでパンとおにぎり、あとはサラダと唐揚げをそれぞれ多めに買っていく。


 今後、仕事がある日でも昼休み中に異世界に行く事はできるが、ボタンを会社に持っていくのと、サシャさんがついてくるのを考えると、帰宅後にぽちっとするの一択だろう。


 さて、今日から隣の町って言ってたけど、この移動能力の行き先はサシャさんなのか、教会なのか。⋯このままスーツで行っても大丈夫だよな。何もされないよな?


 ぽちっとな。


 ピンポン。


 ん?教会っぽいけど、いつもと違うような?


「あ、ユウジさん?服装がいつもと違いますね」

「今日は仕事帰りだからね。ここは教会なの?」

「そうですよ。隣の町の、ですけどね」

「作りは一緒なのかな。いつもと同じ教会だと思ったよ」

「そうですね。規模にもよりますが、同じ作りをしてるんですよ」

「ふーん」


 まぁ、そこはいいんだけど。チェーン店みたいなもんだろう。


「となると、世界移動の行き先はサシャさんってのがほぼ確定かな」

「そうですね!わ・た・し!ですね!」

「⋯⋯⋯いやー、どうだろねー」

「なんでです?!共通してるのは私ですよ!?」

「うん、そーだねー」

「流されてる?!」

「⋯⋯さて、この町って、いつもの村と何か違うの?」

「むぅ。⋯そうですね。町だから人が多いとかお店が多いとかいろいろありますけど、一番は魔物の洞窟が近い事ですかね」

「魔物の洞窟?なにそれ」

「あれ?ニホンには魔物いないんです?」

「え、いないよ。そんなん」

「え、羨ましいですね。⋯えっと、まず魔物は獣が突進変異したり、どこか瘴気が濃いところから現れたりするんです」

「なにそれ、そんなの異世界だわ。⋯あ、ここ異世界だった」

「何言ってんですか?」

「あ、いや。何でもない⋯」


 おっと、少し恥ずかしいぞ。ふざけたつもりはないんだぞ。


「その魔物は人や獣を見つけると襲ってくるんです。姿形はバラバラなんですが、例外なく凶暴です。そして、魔物の洞窟には村や町の人と同じくらいの数がいるって言われてます」

「言われてる?おっと時間か」

「あ、私の時計だ。⋯⋯えと、誰も一番奥まで行った事がある人はいないんです」

「へぇ。それってもしかして他にもあるの?」

「そうですね。他にもありますよ。⋯でも、今はそんな事より、この私の!昨日持っていきそびれた私の時計を忘れないように持ってていいですか?」


 話してる最中に部屋に戻ってきていた。話を続けてくれてはいたものの、時計を見つけるとじっと見つめていた。もう少し詳しく話を聞いておきたいが仕方ない。


「ああ、どうぞ。⋯そうだ、今が七時過ぎ。短い針が七をさしてるでしょ?」

「そうですね。でも、こっちの長いのはなんです?」

「そっちは⋯こう、一周すると短い針が七から八をさして⋯、うーん、七時と八時の間の今の時間ががわかるっていうか、なんていうか⋯」

「ふーん??」

「まぁ、とりあえず今は七時二十分です⋯」

「ふーん???」

「そ、そういえば夜ご飯食べた?俺はまだなんだけどさ」


 もう説明しきれねぇ!これでも食ってくれ!


 コンビニで買ってきてた物を慌ててレジ袋から出した。


「これは⋯パンかな?こっちは何だろ?」

「こっちはおにぎりっていって、日本の主食である米っていうのでできてる。こっちは複数の野菜を切って盛り付けてあるサラダ。あとは鳥肉を油で揚げたものだよ」


 唐揚げに爪楊枝をさして食べて見せる。同じように爪楊枝をさして食べようとしたところで消えてしまった。唐揚げ一つも一緒に消えたから、ちゃんと持っていったんだろう。


 あれ?パンもないぞ?いつの間に持ってたのかな。あげるつもりだったからいいけども。⋯⋯それにしても、魔物の洞窟ねぇ。ダンジョンって事かな。



ーーーーー



「!!?ぅおーいしー!!ヒィーハァーッ!」


 教会に戻ってきていたとは気づかなかった。


「サ、サシャ?どうしたの?」

「モグモグ⋯⋯何でモグモグ⋯ないですよ?」

「そ、そう?あれ?何か食べてる?さっきの夕ご飯足りなかったの?」

「え?⋯えぇ、えぇそうなんです。今日は馬での移動で体力使いましたからね」

「そっか。じゃあ、しっかり食べて明日から数日間よろしくね?」

「えぇ、お任せください!」

「あれ、それはパン?さっきそんなのあったかな?」

「え?こ、これは村から持ってきたやつですよ!」

「そうなんだ。と、とらないよー。そんな顔しなくても大丈夫だよ」


 え、どんな表情してるんだろ?!私!


「わ、わかってますよー。あははは」


 むー、ユウジさんのせいだね!これは!⋯しかし、さっきのカラアゲ?だったかな。おいしかった!お酒飲みたくなってきたなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ