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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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12/76

12 えぐ味きいてる


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  三

体力  満

魔力  満

能力  世界移動 五分間+五分間

    学習

     学習による効果 回復

             突進

             炎

             水

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 炎を使えるようになった後、水も使えるようになった。炎と違って水なら普段の生活でも使いやすい。水道代の節約にも繋がる。助かる。


 水が使えるようになったのはお察しの通り、水をぶつけられた。痛くなる事はなく、ちょっと濡れた程度で済んだ。


 炎も水も、使えるようにさえなれば自分のイメージ次第で何とでもなる。強めを意識すれば、強くなって魔力消費も激しくなり、逆もまた然り。自分の状態次第でもある。


 日常の生活で水を使うようにしたからか、割と早くに位階が三になった。時間は変わらないままだ。


 ぽちっとな。


 いつもの教会だ。


「ユウジさん、こんにちは」

「こんにちは」

「いつも教会にきてますけど、他のところに行った事はありますか?」

「ないね。ここから外に出ていくのは出来るけど時間が短いし」


 時間が延びたけど、十分間では村の中を探索するのも不十分だ。


「私、明日から数日の間、隣の町に行くんですよ」

「隣の町?仕事で?」

「なんか病気や怪我の人が多いらしくって、その手伝いです」

「へぇー。そんな事もするんだね」

「それにユウジさんも来れないものかと」

「え、俺も?」

「人手不足なら、人が多い方がいいですし、位階上げにも丁度いいですし」

「まぁ、そうだね」


 確かにこの村ではそこまで回復を使う機会はない。


「私がこの村に居ない時はどうなるのか。教会に来ちゃうのか、それとも私の近くなのか」

「そういえばそうだね。どっちかな」

「私ならいいですね!」


 にこやかな笑顔でそう言われると勘違いしそうになる。でも、この人はそんなんじゃないってのは分かってる。


「⋯人手不足なんだもんね?」

「そうです。それに位階上げも大事です。それよりなにより!どれくらいかかるかわからないのに、その間ニホンに行けなくなるのは困ります!」


 うん、わかってたー。


「⋯⋯そうだね。お互いに知らない事がまだまだあるし」

「そうです!だから、お互いに行き来をしないと!⋯⋯あと、もっとニホンの食べ物を食べたいですね!」

「⋯⋯そうだね。たくさん食べようね」

「あ、食べるので思い出しました。ユウジさんこれを食べてもらえますか?」


 ごそごそとポケットから草みたいなのを取り出して差し出してきた。


「⋯草?野菜かな?」

「まぁ、そんなとこです」


 スーパーで見かけた事があるような⋯⋯あ、ニラじゃない。


「これって生で食べても大丈夫なの?」

「大丈夫です!」

「⋯じゃあ、とりあえず食べるけど」


 ⋯見た目からの想像通りの味だ。ただの草だ。苦いといっていいのかもわからない。とりあえず不味い。えぐ味がひどい。


「⋯うぇっ。⋯すっげぇ不味いんだけど何なのこれ」

「ええと、スイセンです」

「スイセン?⋯⋯それって花の?」

「お、知ってましたか!正解です!」

「⋯⋯⋯って馬鹿なの?!毒じゃなかった?!スイセンってさ!こっちでは違うの?!」

「ニホンにもありましたか。こっちでも毒ですよ?」

「はぁ?!ですよ?じゃないよ?!何してくれてんの?!」

「大丈夫ですよー。あ、そろそろ時間ですね。一緒に居ないと危ないですねー。治さないとー」


 笑顔で棒読みしながら、ガシッと両手を肩に乗っけてきた。笑顔が胡散臭く感じる。払いのけてしまいたいが本当に毒ならマズイ。治してもらう必要がある。


「あ」


 ちょうどよく部屋に戻ってきた。


「ちょっと早く治して!早く!早く!」

「まぁまぁまぁ。安心して下さい。治しますから」


『解毒』


 回復とは違って何も感じない。特に症状としてまだ何も出てなかったからだろうか。


「よし!」

「よし!じゃないよ!?いきなり何してんのさ?!」

「いえね、手伝ってもらうなら解毒は使える方が助かりますし、今後何があるか分かんないじゃないですか?」

「⋯⋯まぁ、使えないよりは使える方がいいけど」

「でしょう?」


 ぐぬぬ。そうだけどさ。


「⋯今後もサシャさんに、何かしらくらわされそうだよね」

「あら?そんなことありませんよー」

「⋯その棒読みをやめなさい。お菓子あげないぞ」

「?!それは困ります!?ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!二度としません!!⋯⋯多分?」

「ちょっと!?」

「まぁまぁまぁ、私がユウジさんを殺すような事なんてしませんよ?そんな事したら、こっちに来れませんからね」

「⋯⋯まぁ、もういいや。なんかやる時はちゃんと言ってくれ」

「善処します。それで今日は何を?!」


 三個パックになった少し安めのプリンを一つ差し出す。


「これを食べる前に、先に話があるんだ」

「な、なんですかっ?」

「明日から仕事に復帰するから、いつもより遅い時間になると思う」

「遅い時間?」

「夜の七時くらいなんだけど、っていっても時計ないんだよね?」

「ないですね。村だと、鐘でだいたいの時間はわかるんですけど」


 会話をしてはいるが、ずっとプリンを見ている。


「だから、これを渡しておこうかと」

「ん?追加の食べ物ですか?!」

「違うよ。時計だよ。腕時計」

「⋯⋯⋯え、もらっていいんですか?」

「⋯⋯⋯え?あぁ、もう使ってないからあげるよ」


 ⋯あ、いかん。ぷるぷるし始めたぞ。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!」

「⋯⋯⋯あ、きたね、やっぱ」

「こんなに時計が小さいの!?うすーい!っっハァ!!」

「あ、うん。それでいくのは、短い針が七のあたりになるかなと」

「⋯⋯なんかカチカチいってる⋯。何でこれ動いてるんだろ⋯⋯。ってこれ高いんじゃ?!」

「大丈夫、安物だよ。壊れても気にしないから」

「!!?この国どうなってんの?!」

「まぁまぁまぁ。ほら、時間もないし、プリンを食べなよ」

「はっ!?これの事ですね?!プリンとは!!」


 一口食べてみると表情が変わった。物理的に噛む物はないだろうが、噛み締めているような表情をしたまま、プリンを片手に持ったまま消えていった。


 ⋯明日から夜に食べれる物でも持っていくか。あ、時計忘れてんじゃん。もう。


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