11 やっちゃった?
「やっちゃったかなー⋯」
私が管理している世界は二つある。
一つは、世界の住人全てが何かしらの能力を持ち、魔法も存在している世界。
一つは、魔法などの能力は空想の中にしか存在せず、科学が発展している世界。
⋯両極端な世界とはこういう事なのか。
本来の予定では、どちらも同じような文明レベルになったら、簡単に世界の移動が出来るようにし、交流させるつもりだった。
それをもっと早い段階でやっておけば良かった。今、世界規模で実施した場合、混乱を生むだろう。どうなるかわからない。
でも、かなり小規模な範囲での交流ならどうだろうか。いろんな能力が空想の中に存在している世界の人なら、受け入れてもらえるのではないか。
その世界の技術では治す事が出来ず、もう死んでしまいそうな人を見つけた。死を覆すような事が起これば、不思議な事が起きても信じてもらえる下地を作れるんじゃないか。
『聖女よ、目の前に現れる人を癒やしなさい』
その世界の情勢に影響が出なさそうな地域の聖女に神託を下した。狭い範囲でも、お互いの世界の知識、能力で刺激し合えば、補い合えば出来ない事が出来るようになるだろう。その結果を見て、今後どうするか考えてみようじゃないか。
⋯よし!せっかくだから、移動してもらう人には他の人には存在しない能力を与えよう。
やばい⋯⋯失敗したかなー。
他の人にはない能力を盛り込んだせいで、肝心の世界移動の能力の初期値が五分になってしまった。しかも、ボタンという装置に頼る必要がある。レベルが上がれば時間が延びるようにする事だけで精一杯だった。
『⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!』
え、彼女、聖女だよね?あんな子、初めて見るんだけど!?やばい⋯⋯失敗したかな?不思議な事が起きても、神が絡めば納得してくれると思って選んだんだけど、大丈夫かな?!
『⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!』
そして、冒頭に戻る。
「やっちゃったかなー⋯」
『⋯⋯⋯⋯⋯ヒャッッハァァー!!』
「ユウジ君。なんとか頑張って⋯」




