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王国の状況と二人の秘密

さて王国内の工事状況はどうなってますかね?

 宣言の翌日、昨日報告できなかった会社への報告をした。一応、広報部の部門長だしね。


「それで昨日の話は分かった。是非、ファリスと言う女神に期待したいな」


「専務、しかし眉唾な話かもしれませんよ?」


「それでもだ。今の現状を考えると、藁にもすがりたい」


「まぁそうですね。生存の可能性のあるハ-メリック帝国からも連絡ありませんしね」


「とにかくアナマリア殿との関係は、良いものにして行こう。今日もお会いするんだろう?」


「ええ。約束してしまいましたから」


 専務に報告を終えた俺は朝食を食べた後、一度流通管理組合に顔を出した。



◇◇◇



 流通管理組合本部~


「ジュ-ンさん、おはようございます!」


「あら? これはこれは『神の御使い』殿ではありませんか!」


「ちょっと! 辞めて下さいよ! 結構恥ずかしいんですから」


「あはは。でも昨日の宣言凄かったですよ。聖女様素敵だった」


「ちょっと聞きたかったんだけど、サヨコさんの時はどうだったの?」


「曾祖母は、この国ではありませんし田舎ですからね。迫害などは無かったですが、戦争もあってそれ程注目は浴びなかったみたいです」


「そうか。国が違えば宗教も変わるから、期待したんだけど」


「お力に成れずすみません。それで今日はここに来て大丈夫なんですか?」


「ああ。午後からアナマリア様とお会いするんだけど、その前に今の状況を確認したくてね」


「そうですねぇ。情報ではもう私の住んでいる街にも、レ-ルは繋がりました。それに下水道工事の方も、3つの街が同時に工事に入ってますね」


「へぇ、同時に工事が出来る程かぁ。きっと職人さんたちの腕も上がってるんだろうね」


「凄いですよね。どんどん国が変わっていきますよ。それと同時に学校も」


「だねぇ。工事が続く事で安定した雇用が生まれているし、それにより経済も動き出している」


「これが速水さんの仰っていた経済の活性化? ですよね」


「まだまだもっと変わって行くよ。年数は掛っても新たな人材は育つから。その頃に俺達はどうなっているのか分からないけどね」


「やっぱり帰りたいですか? ここも住みやすくなってますけど」


「そうだねぇ。確かに慣れて来たけど、正直、ここで骨を埋める気持ちにはなってないよ」


 昨日、アナマリア様に同じことを聞かれたが、やっぱり帰りたい。今やっている事も帰る手段になれば良いと思っているからな。仲良くなって寂しい気持ちもあるけどさ。


 この後、信頼雑貨の商品の流通具合も確認したが、売れ筋は生活用品と女性用の物が多い。『J-Style』には、隣町に出店計画も進んでるんだって。倉木さんも侮れないな。




◇◇◇



 午後になり男爵邸に向かうと、そこにはクリスタさんが居た。どうしたんだろう?


「クリスタさん! お久しぶりです!」


「あら、速水さん。昨日、お見かけしたんですのよ」


「あはは。クリスタさんも見に来られてたんですね」


「それは勿論。子供達もアナマリア様と速水さんを見て喜んでました」


「今日は男爵様にご用事ですか?」


「いえ、アナマリア様に呼ばれまして。なんでも教会の件らしいのですが」


「そうなんですか。私も呼ばれてますので、ご一緒に参りましょうか」


 そう声を掛け、男爵の屋敷に入って行った。中ではせわしなく動き回る使用人の姿があった。


「はぁ。忙しいわ。でもアナマリア様のお世話が出来るなんて幸せ」


「そうね。こんな経験もうできないものね」


「お忙しいところすみません。アナマリア様に会いに来たのですが」


「きゃあ! 速水様! す、直ぐに案内いたしますので!」


 何だろう、昨日の事で皆の対応が変わってるよね。きゃあなんて言われた事無いよ?



◇◇◇



 案内されたアナマリア様がいる部屋は、人払いがされたようで誰も居なかった。


「失礼します! 信頼雑貨の速水です!」


「どうぞお入りくださいませ。お待ちしていました」


 クリスタさんを伴って部屋に入ったんだが、クリスタさんを見たアナマリア様が走って来る。そしてなんと! クリスタさんに抱き着いたのだ!


「ちょっとア-シェ! どうしたの?」


「クリスタが会いに来てくれないんだもん! 呼んでも来ないし」


「それは何度も説明したでしょ。子供達がいるもの」


 え? 知り合いなの? それにアナマリ様の変わりようが......。


「う、うほん。あの~、お二人はお知り合いなのですか?」


「は⁈ いけない、私ったら」


「そうねぇ。もうバレちゃったし、私から説明致しますわ」


 クリスタさんは、ため息をつきながら説明してくれた。アーシェと言うのは、アルジェンテ・アナマリア様の愛称で、この二人は同じ孤児院育ちだったそうだ。アナマリア様はクリスタさんを姉の様に慕い、何度も王都へ誘っていたんだが、頑なに拒まれていたらしい。


「クリスタ姉は、何度さそっても王都へきてくれないし」


「だから言ってるじゃない。ここの子供達を置いて行けないって」


「そんなの皆で来たらいいじゃない! 別にこの街じゃなくても」


「簡単に言わないの。貴女には聖女と言う役割があるのよ? 邪魔になりたくないの」


「邪魔になんかならないわよ! 私だって寂しいのに!」


「ちょっと落ち着きましょうか。座って話をしましょうよ」


「そ、そうですわよね。申し訳ありません」


 姉妹喧嘩みたいで見ていて面白かったんだけど、声が大きいから落ち着いてもらおう。


「アーシェはこう言ってくれるんですけどね、私もこの街が好きなんですよ」


「マリアさんやトミ-神父も楽しそうですしね」


「ふぅ。もうわかったわ。でもここの教会建て替えるからね!」


「え? 建て替えるんですか? 孤児院もあるでしょう?」


「そうよ。建て替えるって言ったって、土地も必要よ?」


「もう手配終わってるよ? 今の場所の周りもファリス教が買い取ったわ」


「はぁ? なんでそう言う事私に言わないのよ! 勝手に」


「だって言ったって言う事聞いてくれないよね? だから勝手にやたんですぅ-」


 いやいや子供じゃ無いんだから。だってとかイメ-ジ崩れまくってますよ?


「うーん。クリスタさん、ここはそれで良いんじゃないですか? 新しく生まれ変わるという事で」


「え、は、はい。確かに建物も老朽化してましたし、子供の安全もありますからねぇ」


「えへへ。じゃあ、決まりね! 新しく司祭も派遣するからね」


「そうね。司祭もトミ-だけじゃ頼りないか。これでトミ-もしっかりしてくれれば良いけど」


 教会を大きくすることで、人手も補充されるなら良い事だ。今日呼ばれたのは、クリスタさん対策だったようだ。アナマリア様の事は、3人の秘密になった。まぁ普段見れない姿も見れたし良かった? という事にしておこう。この後、色々とお喋りして楽しい時間を過ごした。アナマリア様もクリスタさんも終始笑顔で、あっという間に時間は過ぎていった。こう言う時間も必要だよね。



まさかクリスタさんの知り合いだったとはね。知らない秘密を共有する事でアナマリアさんとの関係も強化? されたようだ。


次話からは新章が始まります。発展を続けるアルメリア王国に関心を寄せる国? 転移の謎? 是非、新展開をお楽しみください!

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