謝罪は大事ですよ。
メルボンヌの街への道程も後わずかです
ゼットバ-グの街で公爵2人と色々な話をした翌日、次の街へ向かう。次に訪れる街はアリスト。ハ-モニック公爵派の中心人物であった、アリスト伯爵の治める街だ。
「アリストの街まで私達も同行しよう」
公爵2人もアリストまで一緒に移動するらしい。まだまだ俺達の話を聞きたいハ-モニック公爵に、サダラ-ク公爵も半分呆れていた。俺達にとっては護衛の人数が増えるのでありがたいが......。
◇◇◇
アリストの街までは一本道であった為、特にトラブルも無く到着した。先触れがあったのか、アリスト伯爵が街の入り口で出迎えてくれたよ。公爵も一緒だし街の人々も大盛り上がりだった。
「やはり公爵効果すごいな」
「ホンマやなぁ。お祭りと同じやんか」
俺と田村は改めて、公爵という立場の力を感じた。他のメンバ-もそれは同じで、驚き半分呆れ半分だ。
「貴族が動くことで、経済効果は凄い事になりそうだな」
「速水君もそう思う? 凄い人だもんね」
「本当よね。何かのパレ-ドみたいだわ」
「伯爵の立場もあるから、街の人総動員なんでしょうね」
「なるほどね。公爵様の心象も考えなきゃいけないもんね」
「こういう人間関係って疲れそうね」
そんな話をしながら、伯爵の屋敷に向かった。食事の際にアリスト伯爵と挨拶を交わした。
「よく来てくれた。私はこの街を治めるロンダ-ク・アリストだ」
「お初にお目に掛かります。信頼雑貨株式会社代表の沢田 智紀です」
専務と伯爵は名刺交換していた。専務は伯爵の立場を考えて、ワンランク下の名刺を渡していたよ。
「流石は専務だな。俺はそこまで考えてなかったよ」
「人生経験の違いやわな。速水も勉強せなあかんで」
「なんで他人事なんだよ? 田村もちゃんと見ておけよな」
「わかっとるがな。俺の目標は専務やしな」
挨拶が終わった後は、食事をしながらうちの事業の話をした。伯爵も公爵達と同じように、目を輝かせながら話を聞いていたよ。サダラ-ク公爵とアリスト伯爵の仲も良好みたいだ。今回の旅では、訪問する街ごとにお土産も持って来ていた。それらを受け取った伯爵は、とても喜んでいたな。穏やかな雰囲気のまま食事を終えたんだが、伯爵のお願いで少しの間会談をする事になった。公爵2人は席を外してもらった様だ。
「疲れているところすまないな。君達に会うのを楽しみにしていたんだ」
「いえ、お気になさらずに。何かお話でしょうか?」
「君達に謝罪をしたくてな。王都へ向かう際に襲われただろう?」
「ええ。私はその場に居ませんでしたが、報告は受けています」
「そうか。グランベルク卿はもう分っているだろうが、我々の派閥の関係者が起こしたことだ。公爵様達で話は付いている様だが、どうしても直接謝罪したくてな」
そう言った伯爵は深々と頭を下げた。俺達も命の危険があったので、わだかまりが無いと言えば嘘になる。ライアン男爵も伯爵に頭を下げられて困惑していた。
「アリスト卿、もう終わった事です。頭をお上げください」
ライアン男爵はそう声を掛け、俺達に目配せした。沢田専務が続いて声を掛ける。
「アリスト伯爵、我々も貴方のお気持ちはわかりました。どうぞ頭をお上げになって下さい」
暫しの沈黙の後、頭を上げた伯爵から事の経緯について聞いた。当時は派閥争いの真っ最中であった為、どうにかして取り込もうと考えた事。接触を図る目的のはずが、いつの間にか殺傷する流れになっていた事。既にこの件で、多数の貴族が罰せられている事を聞いた。何処までが真実かわからないが、納得できる部分もある。それ程貴族同士の争いが激しかったんだろう。俺達はそのとばっちりを受けた訳だ。この話の後は今後の事業展開の話になり、伯爵の協力も得られることになった。ライアン男爵もお互いの仲を深める様に、積極的に話しかけていたよ。そんな話をしていたらあっという間に時間は経ち、夜も更けた頃に解散した。
◇◇◇
翌朝、俺達は疲れた顔で朝食を取ったんだが、それを見た公爵達は何故か笑っていた。
「アリスト卿、随分遅くまで話していたんだな」
「ええまぁ。興味深い話があったもので」
「私達はもう1日滞在する予定だから頼んだよ」
公爵達はこの街に滞在するようだ。俺達は食事を済ませた後、皆に挨拶して出発した。明後日には目的のメルボンヌへ到達するので、疲れてはいたが足取りは軽かった。次の街はルコムンド。ルコムンド辺境伯が治める街だ。国境に面している街であり、物の流通も盛んだと聞いている。パルマさんの知り合いもルコムンドで会う事になっているんだよ。
「あら田村君は寝たの?」
「中村さん、こいつはすぐ寝るんですよ」
「この馬車は乗り心地良すぎて、眠たくなっちゃうわよね」
「そうですね。平坦な道だと揺れもほとんど感じないですし」
「専務と蓮見課長も寝ているわよ。私も眠い」
「千鶴もちょっと寝たらどう? 疲れてるんでしょ?」
「静香、そんな事言って速水君と喋りたいだけでしょ?」
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ! そんな訳ないじゃない?」
「はいはい。邪魔者は寝ますよ-だ」
真っ赤な顔した中村さんは、そのまま花崎さんと喋っていた。俺はそれを聞きながら、いつの間にか寝てしまっていた。次に目を覚ました頃には、ルコムンドの街が見えたんだ。中村さんはそんな俺を見て、ちょっと怒っている様だ。あれ? 何かやらかしたんだろうか(汗)
そんな事がありながらも、ルコムンドの街に到着した。果たして国境の街は、どんな物が流通しているのかな?
国境の街に着いた速水達。そこである物を見つける事になる。




