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終わったならまた始めればいいじゃないか-推敲Ver-  作者: 朝倉新五郎
第一章 騎士
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24話 世界の混乱と謎

 カオスキーパーと教えられた者やダークドラゴン、モンスター等はここ数ヶ月探したがどこにも居なかった。

 この世界には暗黒魔法や召喚魔法がないことは知っている。

 そのためオサムは魔法を覚えていっていた。高度な魔法以外は大体使えるまでになった。

 モンスターを召喚する呪文はやはり無いようだった。


 普通は魔法士のレベルを上げなければ使える魔法は限られるのだが、オサムの場合は何故か魔法士、その上級職である魔道士になる必要は無いらしい。

 あらゆる種類の全ての呪文を使うことが出来る。


 グランチューナーというのはそういうものなのだ、と”守護者”に教えられた。

 杖も要らず、剣から直接もしくは剣に魔法をまとわせることも可能だった。


 どの魔法士に聞いてもそれは不可能なことだと言葉をつまらせる。

 しかし実際に可能なのである。不思議なことにフルステータスもインペリアルセイヴァーのままだった。

 SPも剣技では消費するのだが、魔法を使ってもMPは消費されない。

 読めないステータスが追加されておりそれが無限大となっていた。



 オサムは魔法と剣技を磨くかのようにアレシャルの塔に時々通っては自分の強さを確認する。

 最初来だした時は数日掛かって最下層までたどり着いていたが、今では数時間も掛からずしかも簡単に攻略できる。


 同時にクイード達も通っていた。

 3人は既に40階層までの相手なら危な気無く倒せる様になっていた。

 しかしそれは魔法士も入れてのパーティでのことだ。ルークリエやマリエールは魔道士になり強力な魔法が扱えるようになっていた。

 クラウド達もかなりのレベルアップを果たしている。



 そして、その頃になると大陸中にエリトールの名が轟いていた。

 


 「まいった、ゆっくりできない」オサムはリムルにぼやいた。


 「でも、呼ばれることも少なくなってきたではありませんか」

 リムルはオサムの服をクローゼットに仕舞いながら慰めた。


 「それに、各国の姫君を紹介される、皇帝や王のな。貴族どころじゃ無い。断るのに苦労する」

 オサムはそう言うがリムルは

 「旦那様は正室が居りませんので、仕方が無いでしょう?どなたかにお決めになられては?」と言う。


 「俺はリムルだけでいいんだよ、不要な気は遣いたくない。俺はリムルだけが好きなんだ」

 「他の誰も要るもんか、断るのも面倒だ」

 オサムはリムル相手なので本音で話した。リムルがやきもちも妬かないので少し不貞腐れても居た。

 

 「まあ、私にはそういう風にいつもお気遣いくださっていますのに?」

 そうリムルが言うと

 「リムルは大切だからね、特別だし、俺は正室は要らない」

 オサムは言い切った。

 「大体さ、クラッセも伯爵だったのに、王が勝手に公爵にしちゃうし」


 リムルは

 「私にはわかりませんが、クリューズ様が言うには各国に対する扱いがどうとか」


 「うん、俺知らない間に色んな国に領地を持ってるみたいなんだよね。

  形だけらしいけど、グリーシアの皇帝からはものすごい公爵領をもらってるらしいし」

 オサムは他人事の様に言った。


 実際オサムはかなりの領地を大陸全体に持っていた。

 モンスターの群れを倒す度に礼として爵位と領地を与えられる。


 「クイードたちにも無理させてるよな、本人達は俺に遠慮しているのか何の文句も言わないけど」

 オサムはそう言って居間で紅茶を飲んでいた。


 「そう思われているなら直接ご本人達にお聞きになられては?すごく喜んでいましたよ?」

 リムルはオサムの知らない事も知っていた。

 「旦那様と居ると鍛えられるとか、装備もお古ですけど大事にしてますし」


 「そうなの?かなり無理させてると思ってたんだけど」

 オサムはリムルが自分の知らない家の事をきちんと把握してくれてるので安心した。



 「ご主人様、今度はルマリア王国から援助要請が来ています」

 クイードが完全装備でオサムの部屋に来た。


 「またか、もういい加減にしてくれよ」

 と、言いながら武装を準備していった。

 「後の二人は?」と訊くと


 「既に準備が終わって待機しています」クイードは答えた


 「わかった、じゃあ行こうか。リムル待っててね」

 と言ってオサムは出ていった。



 ルマリア王国上空に到着し

 「王都が襲われてるじゃねーかよ、数はそんなに多くないけど」

 オサムが言うと


 「城の騎士達が大分頑張っているようですね、けどボスクラスは倒せてません、どうにかしないと」

 ハンビィが答えた


 「分かった、いつものようにやるか」と4人は降下していった。


 地上に降りて4人はナイトメアに騎乗した。

 周囲のボスを斬って回り1時間程度で片付けた。

 いつものように城に通され王から礼を言われた。


 『どうでもいいのになぁ、早く帰りたい』オサムはそう思いながらも仕方がない。

 「立場が人を作るってあれ嘘だな、俺は全く変わらん」そうぼやいた。


 ただしクイード達3人は違っていた、ロードナイトやドラグーンを視野に入れて戦っている。

 このまま戦っているならあと数ヶ月も掛からないだろう。

 『従者がロードナイトって、もうなんだか意味がわかんねーな』

 オサムは自分のことを棚に上げて考えていた。


 いつものように城の庭に寝転んでいると、ルマリア国王がやって来た。

 「これはルマリア国王陛下、無礼をお許し下さい」とオサムは起き上がったが

 

 「いえ、助けていただき感謝しています、グランチューナー様」と言われた

 「噂通りの方のようですな」と王が言うと


 「ええ、失礼は承知していますがどうしても直りませぬゆえ」とオサムが答え

 「従者の方々を見る限り礼儀作法は出来ていますので、私はよく出来た方だと考えていますが」

 ルマリア王が言う。


 「そうですね、あの3人には助けられております」と答え

 「用の最中に来ましたのでこれにて失礼させていただいても?」グリフォンを呼び出した。


 「今回の件、感謝致します。いつでもお越しいただければ歓待致しますので」

 と言われて

 「お言葉、有り難くいただきます」と言い残してオサムは屋敷に帰っていった。


 

 「おかえりなさいませ、旦那様」とリムルに言われ

 「疲れた、手伝って?」と鎧を脱いだ。


 リムルは鎧を片付けようとしたが、流石に持ち上げられない。

 オサムが片付けて、ベッドに寝転んだ。

 3人はまだ返って来ない、恐らくアレシャルの塔にでも行っているのだろう。


 「頻度は減ってきてるけど規模は相変わらずだなぁ」と独り言でぼやいた。

 「根本を叩かないとなぁ、面倒が増える。今日はいいや」

 オサムはリムルと過ごすことにした。

 召喚者が居るはずだ。それも、誰も知らない召喚術を使える魔法使いか何者か。

 空間転移の魔法は無い。どうやって遠い国々を移動して回っているのだろうか?

 オサムには謎だらけだった。



 夜になり3人が帰ってきた。相当レベルを上げてきている。


 「そろそろ転職か?」食事中にオサムが3人に訊くと

 「あと一月で、そのつもりです」とクイードが答えた。

 「そうか、他の者達もそろそろ騎士だしな」


 「そう言えばファシリアはもう騎士だったな、何故皆99を目指すんだ?」

 オサムは不思議に思って尋ねたが

 「ご主人様がそうなさっているからです」と答えられた。

 「自分なりに考えてのことなら良いが」オサムはそう言って肉を口に放り込んだ。



 3ヶ月程経ったある日、グリーシア皇帝から使者が来た。

 オサムはまた何か起きたのか、と使者に訊いたがどうやらそうではないらしい。

 内容は使者にも知らされていない。


 早速グリーシア帝都に飛ぶと王位をくれるという。以前は公爵領を貰っていた。

 今回の領地はライツェン国に一番近い場所だが広大な国だ、領土はライツェン国の半分はある。

 「ありがたいことですが、領地経営はできないので」と断ると

 皇帝直轄領のため城代が居るという。

 オサムは反論できるだけの材料を持っていなかった、つまりは王位を断れなかった。


 

 屋敷に戻りリムルに

 「俺、王様になるらしい、グリーシアの領土だけどね。もうずっとこんな事が続くのかなぁ」

 そう言うと

 「よろしいではありませんか、旦那様はいつもの通り変わらずに居られるのでしょう?」

 と図星を突かれ

 「それはそうだけどさ、もうなんか嫌になってきた」

 戦うことにはほとんど抵抗はない。むしろ楽しい。


 既にクイード達はロードナイトになり、戦闘も十分に任せられる。

 自分たちでリジェネリターンのペンダントも作って装備している。

 心配はいらない、3人のパーティだがグレートドラゴンも倒せるようになっている。


 「伝説級の騎士が4人もこんな屋敷に住んでるんだよ?」

 「それに、3人も色々な国から爵位を与えられて領地も持っているのに相変わらず俺の従者だし」

 「もう何がなんだか」

 オサムはこのわけの分からない状態の中で日々を過ごしている。


 クイードやタキトス、ハンビィに自分の城か屋敷を持つように言っても言うことをきかない。

 「ご主人様のように自由で居たいのです」と3人が3人共そう言う。

 ロードナイトという立場を得ても傲慢にならず相変わらず従者のままで良いと言う。


 自分もやったことだし、とオサムは諦めていた。



 そしてまだ厄介事は続いていた。

 ご主人様の城が襲われているらしいです。

 その日はその言葉から始まった。


 どうやらグリーシアのオサムの王都からの知らせらしい。

 「他には?」オサムが訊くと

 「エスカニアの王都も同様に」と言われた。


 「お前達3人でエスカニアの方を片付けられるか?」と訊くと

 「おまかせ下さい」と3人は答えた。


 「では今回は別々の行動になるが、無理はするな?時間を掛けてもかまわん」

 と言ってオサムはグリフォンでグリーシアに飛んだ。


 オサムがグリーシアに着いた時、いつもと違う光景に出くわした。ボスクラスが多い。


 「あれは!?ダークドラゴンか?違うな、ドラゴンダークネスか」

 そう言っていつものように地上のモンスターを切り裂いていった。

 魔法を付加した剣の威力は凄まじく、一振りで大地を砕き割り炎で焦がす。


 ほぼ片付けた、と思った時に突然巨大な暗黒の穴が空に出来

 数十匹のドラゴンが現れた。


 「ダークドラゴン!?」

 オサムはドラゴンを召喚し、騎乗して向かった。

 「この数は捌ききれるか?」しかしやるしか無い。


 オサムは剣に様々な魔法を乗せて戦った。

 1匹また1匹と音を立てて地上に落ちていくが数が多すぎる。


 マジックシールドやアンチブレスで騎乗するドラゴンを守りながら戦った。


 最後の1匹になるまでに2時間を要したが空に開いた穴が閉じない。

 そしてまた出て来るダークドラゴンと戦い続けた。


 『流石に俺はともかくドラゴンが保たない』オサムは考え

 もう一度全滅させると、ドラゴンから飛び降り暗黒の穴に入った。


 「あの時と同じならこれで消えるだろう」

 しかし、その穴はオサムを飲み込んで閉じた。


 しばらく周囲が漆黒に包まれ、暗黒の穴はオサムを吐き出し消えた。

 オサムは地上に叩き付けられしばらく意識を失った。


 起き上がり「ここは?城がないな、異空間を通って何処かに飛ばされたか?」

 と辺りを見回した。


 「モンスターは居なくなってるな、一度帰るか」

 そう言ってグリフォンを召喚したが何も起きない。


 ドラゴンもペガサスもナイトメアも召喚できない。

 グランパープルか?と考えリーファを召喚すると、リーファは現れた。


 オサムはリーファに乗り「神殿へ行ってくれるか」と言うと

 リーファは一直線に飛んだ。

 わけがわからない時は守護者に聞くのが一番である。


 「景色は似ているけどどこかが違うな、ここは大陸か?」

 よくわからないがまずグランパープルへ行くことにした。

 途中アレシャルの塔が見えたのでライツェン国だとわかった。

 しかしどこか違う。どこを探しても城は無かった。

 砦のような簡素な物は見えたが、自分の知っている景色ではない。


 『何が起きたかわからないけど、まずはグランパープルだな』

 そう考え大陸は無視して飛んだ。


 神殿に到着し、リーファと別れた。


 「アキバ・オサムだが、守護者に会いたい」と言うと神殿内に連れて行かれた。


 「どなたかな?」と守護者は言った。


 「アキバ・オサムです、グランチューナーの」

 オサムは言ったが全く反応がない。


 「今、グランチューナーは居らぬはずだが?」

 守護者は言うが、はっきりと覚えている見た顔である。


 「こちらへ」と言われオサムは祭壇に上がった。

 「ふむ、グランチューナーであるな、しかし何故?」

 守護者が不思議がったがオサムにもわからない。


 「しばし待て」と守護者に言われた。


 守護者は瞑想し、何かと話しているようだ。


 「アキバ・オサムと言ったな?異世界の者か?」

 と訊かれたので

 「はい」と答えた。


 「700年の時を戻ってきたようだが・・・」

 「呼ばれたようだな、神々に」守護者は言った。


 「700年?」オサムはその言葉に心当たりがあった。

 以前、守護者と話した時に出てきた言葉だ。


 「カオスキーパーとダークドラゴンですが、この世界に居ますか?」

 オサムが尋ねると

 「カオスキーパー?ダークドラゴン?知らぬな」

 と言われたのでオサムは説明を始めた。


 自分が教えられた者に教えられたことを教える。

 奇妙な感覚だった。やはり異世界に来るのと時空を移動するのは違う。

 タイムパラドックスは起きないのか?と考えながら説明していった。



 「ふむ、ではそのカオスキーパーとやらが異世界との穴を作りダークドラゴンを召喚すると?」

 守護者は訊いてきたので

 「そのはずですが・・・召喚魔法はこの世界には無いのでそう考えるしか」

 『どうやら700年昔に飛ばされたらしいな、そしてまだあの穴のことは知らない。俺が教えたことを700年後聞かされる』

 オサムは瞬間に理解した。


 「そうとなると、この世界の均衡が崩れかけているのでしょうか?グランチューナーの役目は世界の均衡を保つのでしたね?」


 「確かに、今はかろうじて保たれているがいつ崩れるかわからぬ、いや一部ではもう崩れておるな」

 「帝国が滅びて数百年、争いが絶えぬ。しかし世界の均衡を保つ調律者が居らぬのでな。お主がそうなのかも知れぬ」


 「そういうことですか、では私が大陸を治めて来ましょう」

 オサムは戦乱に関わりたくは無かったが、今は別だ。ライツェン王国も他の国も無い。


 「では、行ってきます」とまずはアレシャルの塔を30回程攻略してペガサスを手に入れた。

 同じようにグリフォン、ナイトメア、ドラゴンも各ダンジョンで手に入れた。


 そして、ドラゴンに乗り各地の戦乱を治めていった。半年もすると大陸から戦はなくなった。

 オサムはドラゴンライダーと呼ばれ、畏怖された。しかしそれ以上のことは何もしなかった。

 皇帝になろうと考えれば大陸全土を支配下に置くことも可能だが、オサムはリムルのいる世界に帰りたかった。


 しかし、その時大陸の南、ジェイド王国が出来るはずの辺りで異変が生じた。

 カオスキーパーが現れたのである。それにより世界はまた混乱しはじめた。

 オサムはその混乱を押さえつけるとダークドラゴンが現れた。


 「俺の目の前に現れるとはな、片付けてやる!」

 ダークドラゴン数十匹を倒しきり、カオスキーパーも斬った。


 「ん?手応えがある」以前のような空を切る感覚ではなく実感があった。

 カオスキーパーは血を流しながら暗闇の穴へ入っていった。



 オサムはグランパープルへ行き、詳細を報告した。



 暫くの間平和が続き、世界に調和がもたらされた。

 オサムは元の時代に変えることが出来ないため各地にある都市の宿やグリーシア帝国、グランパープルで過ごしていた。

 帝国と呼ばれていた巨大な国家が作った都市は比較的過ごしやすい。

 暇つぶしと考えて各地のダンジョンも時々回っていた。神殿や換金所も粗末だが大きな都市には有る。

 まるでゲルマン人に征服された西ローマ帝国のようだった。

 グリーシア帝国は元は東グリーシア帝国と呼ばれていたらしいが、西グリーシア帝国が滅んで正統グリーシア帝国と名乗っている。


 しかし、半年するとまたカオスキーパーが現れた。

 オサムがモンスターやダークドラゴンを倒すと、もう一度”それ”と対峙した。

 「いい加減にやめろ!」と剣で刺し貫きそのまま一緒に穴に入ってしまった。



 気がつくとそこは700年前に飛ばされる前の場所だ。

 

 「何が起きたんだよ、一体・・・」オサムは呆然としながら立ち上がり歩いた。



 オサムは歩いて王都に入った。

 城代を呼びつけ、事のいきさつを聞くと

 

 どうやらダークドラゴンの穴に飛び込んだと同時に穴が消え、オサムは大地に叩き付けられたらしい。


 城の見張り兵がその様子を詳細に説明してくれた。


 「では、俺はずっとここに?」

 と訊くと城代は

 「大量のドラゴンと戦い、全てを斬ったあと陛下が暗闇に向かって飛び降りました」

 「黒い穴のようなものが消えて、陛下は地面に」と言われた。


 『つまり、こっちの世界から見る限り一瞬の出来事だったわけか』

 向こうで過ごした証拠は?とマジックバッグを開いてみると、大量のレアアイテムや晶石は入っている。

 屋敷を出る時に持ってきたバッグに入れていたのは食料と水、それに銀貨と少量のレアアイテムだけのはず。

 1年程の期間自分は700年前に行っていた、それは間違いないようだ。


 「少し混乱しているので今日のところはこれまで」とオサムが言うと

 「モンスター晶石です」と言って手渡された。

 どうやら城の者が集めてきていたらしい。

 

 オサムはそれをグランパープルのマジックバッグに移し替え、屋敷へと戻った。



 屋敷に付くと、クイード達3人は帰っていた。

 話を聞く限り”穴”は無かったらしい。

 『ということは、そっちは陽動か、本命は俺の城の方?』

 しかしわからないことだらけだったので考えることを途中でやめた。


 どうせまた起きる。

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