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終わったならまた始めればいいじゃないか-推敲Ver-  作者: 朝倉新五郎
第一章 騎士
13/43

13話 エリトールの屋敷と黒騎士への道

 二人が城に帰ったのは4時前だった。


 オサムは

 「今日のリムルちょっとおかしかったね、何かあったの?」

 大体は分かっていたが、あまりにもリムルが反応するので少しからかってみた。


 「エリトール様は意地悪です」リムルはぷいっと横を向いた

 しかし、すぐにはっとなって

 「申し訳ありません、エリトール様はいつもお優しいのに・・・」

 オサムはそれがとても愛おしく思えた。そしてからかったことを反省した。


 だが、オサムは城に入ろうとした時に気がついて

 「あ、忘れてた!マンセル子爵様のところに行かないと!」

 「従者や執事、召使いを選んでくれたらしいんだ、会ってくるよ」


 オサムがそう言うと

 「わかりました、荷物が届けば私が受け取っておきます」

 とリムルが返事したので任せることにした。



 「っと、初めて入るなぁ、緊張する・・・」

 そう言いながらマンセル子爵の屋敷のドアをノックした。


 『しかし、この屋敷もでかいなぁ、エリトール家の3倍はあるぞ。馬車が直接ドアの前まで来れるのかな?』と考えていると


 「はい」と執事らしき男が出てきた。

 「これは、エリトール様、どうぞお入り下さい」

 オサムは

 「うむ」と一言言い「マンセル子爵様にご挨拶したいのだが?」

 緊張しながらオサムが言うと

 「子爵様は執務室にいらっしゃいます。ご案内しますのでこちらへ」と促された。


 『かなり凝った作りの屋敷だな、迷いそうだ。それにしても何部屋あるんだ?』と考えてるうちに

 執事が子爵の部屋をノックし

 「マンセル子爵様、エリトール様がお越しです」そう言うとすぐに

 「エリトールか、入ってもらえ」と返って来た


 執事がドアを開けて

 「どうぞ」というので「失礼いたします」と入った。


 目の前の大きな机の向こうのマンセル子爵は城で見かける時よりも風格がある。

 「従者や召使の件であろう?」と子爵はいきなり訊いてきた。


 オサムは

 「左様です。ロレーヌ様から子爵様のお屋敷で預かって頂いているとお聞きしました」

 マンセル子爵と話すのは初めてだ。

 「ん?レベル85剣士?HP2320?」

 この人完スト系の人か?騎士になれるレベルなのに剣士のままか?とオサムは考えた。


 「そうだな、今は我が家で働いてもらっておる。執事は良いが、召使いは素人で教えることが多いのでな、ちょうど今何もしておらぬ時間だろう、呼び集めるので顔と名を覚えておけば良い」

 そして、執事に

 「10人をこの部屋に連れてまいれ」と指示した。


 しばらくするとぞろぞろと子爵の広い執務室へ人が集まってきた。

 子爵は揃ったのを確認したのだろう

 「知る者も居るとは思うが、こちらがエリトール卿だ、我が本家フルグリフ家に連なる名門騎士の家柄ゆえ我が家で教えたことを忘れず十分に仕えよ。

  エリトール家の屋敷が出来上がればそちらに移ってもらう。今のうちに仕事を覚えよ」と言い


 「まずは紹介しよう。

  右より

  従者のクイード・ローレンダーク、タキトス・シュルツ、ハンビィ・ストワード。

  これらは伯爵様領内の下級騎士家の次男や三男で既に修練を積んだ剣士である。

  侍女のエリス・トムルスは12名の中から選んだ優秀な者だ。

  そして召使いだが

  執事のトーマス・ハロルドは伯爵家遠縁の男爵家の執事補佐をしていた。

  カッシュ・デルムアは腕の良い料理人だ。

  他にユゼム・ロウルツ、ケンテル・フィルダール、アリエル・ポワン、ミランダ・フォール

  教えるべきことは全て教えてある、好きに使うが良いぞ」


 オサムが

 「私は、アキバ・オサム・エリトールだ。屋敷が出来れば移って仕えてもらうことになる、よろしく頼むぞ。

  クイード・ローレンダーク、タキトス・シュルツ、ハンビィ・ストワード一歩前へ出よ」と言うと


 3名が前へ出た

 クイード・ローレンダーク、剣士レベル25

 タキトス・シュルツ、剣士レベル27

 ハンビィ・ストワード、剣士レベル23

 クイードはかなりの巨体だ、タキトスは威圧感があるが温和そうに見える。

 ハンビィも体は大きいが内向的なのか繊細なのか、そういう印象だった。

 しかも全員が自分より剣士レベルが上である。


 オサムは

 「皆鍛えているようだな、このまま鍛錬を怠るな。私はもっと強くなるのでな」

 皆自分よりレベルが上だとしても問題はない、すぐ追い抜けるはずだ。

 「他の者も今教わるべきことに集中しておけ。以上だ」


 そして

 「マンセル子爵様、あと暫くの間よろしくお願いします」と一礼した。


 子爵はそれを見て

 「うむ、屋敷が建つ前までには鍛えておこう、エリトール卿」


 オサムは

 「では、城にて要件がありますので、本日はこれにて失礼いたします」

 とオサムは言い、子爵の屋敷から出た。

 現実は残酷だ。従者である者が自分より高レベルである。

 それに自分ではあれだけの人間を使うことなど不可能だ。

 元々オサムは面倒な人間関係を嫌い、将来も管理職になどなりたくなかったので旅に出たのだ。

 だが、仕方がない。これは最悪伯爵に丸投げしてしまおう。とオサムは脳天気に考え直した。


 そして隣の自分の屋敷の出来具合を確認するため

 「棟梁は居るか?」と呼んだ。

 「へい、エリトール様何の用でございますか」と棟梁が屋敷から出てきた。


 「中を見てもよいか?だいぶ出来上がっているな?」

 オサムの言葉に

 「どうぞどうぞ、内装はあと1週間程度かかりますがね、外装はほぼ終わりですな。

  そうだ、例のフロバとか言うのもほぼ出来上がってますが見てもらえますか?」


 「もう出来たのか?見たいな、案内してもらおうか」

 オサムはワクワクしながら屋敷に入った。

 「図面どおり作りましたが、あとスイセントイレとか言うものですか?あれには苦労しました。しかしエリトール様は色んなことを知ってらっしゃいますなぁ」

 棟梁は楽しそうない話を続けていた。


 オサムは屋敷の1階に作った風呂場を見たが

 「うん、十分な広さだ、湯船も5人はゆったり入れるな?それで、湯を沸かす装置だが、何処にある?」とオサムが訊くと


 棟梁は

 「こっちでさぁ、風呂場を出て脱衣場から回り込んで、これです。

  普通の樽いっぱいの水を10分とかからず沸かせるだけの代物です。

  不思議な造りで一度試しましたがね、あのフロオケ?ですか?それに一杯に水を入れて良い温度になるまでに30分ってところですな」

 どうやらビーツに頼んでおいた湯沸かし装置も組み付けられているようだった。ビーツの作品だと言うが、さすがに思っていた以上の出来であった。


 オサムは納得して

 「頑張ってくれたな棟梁。伯爵閣下から賃金は出ていると思うが、私からも褒美を出そう。皆でわけてくれ、冒険で手に入れた銀貨だ」

 そう言って革袋ごとモンスター晶石を換金した銀貨121枚を渡した。


 棟梁は目を白黒させて

 「こんなにですか?全員の一月の賃金を軽く超えますぜ?良いんですかぃ?」と言ったが


 「かまわぬよ、仕上げに一層力を入れてくれ、頼んだぞ?棟梁」とオサムは頼んだ


 「へ、へい!励みになりますんで、ちょっと外までいいですかい?」

 棟梁はオサムを屋敷の外に連れ出した。


 「おい、集まってこい!」と棟梁が言うとぞろぞろと職人達が集まってきた。

 「エリトール様から銀貨をたっぷり頂いた。褒美だそうだ。てめぇら気合い入れて仕事に掛かりやがれよ!」と号令すると、全員が

 「はい!」と答えて喜んでいるようだった。


 「では、これで失礼する。完成は1週間後だな?頼むぞ」

 オサムはそう言い、城に帰っていった。


 城の自分の部屋に戻りると、リムルは侍女服に着替えていた。

 「何か届いたか?」とリムルに訊くと

 「まだです。5時を過ぎれば届くと思います」とリムルは答えた。


 オサムは

 「じゃあさ、クローゼットは屋敷の方に運んでもらうって言うの頼める?リムル」

 そう言うと、リムルは頷いた。

 「私が指示してもよろしいのでしたら、おまかせ下さい」

 と言い

 「お屋敷はもう出来上がったのですか?」と訊ねられた。


 オサムは内外装を思い出しながら

 「そうだねぇ、あと1週間らしいよ、ほとんど完成しててあとは内装とか建具だけらしい。

  リムルの部屋と俺の部屋はもう全部済ませてもらっているから問題ないよ。階段を上がって左側の部屋ね」

 とオサムが言うと

 「では、私はお城の入り口で待つようにしておきます」

 リムルはそう言って部屋を出ていった。


 オサムは

 『従者よりレベルが低いのは困るな、示しがつかん。今日から本格的に鍛えよう』

 と決心した。

 武器と防具が届くまで待ち、夜に狩りに出かけることにした。


 5時を回り、しばらくすると武器と鎧が届いた。

 早速新しい鎧を装備し、腰に”夜叉の刀”を、背中にバスタードソードとフランベルジュを2本差した。

 かなりの重量なので動きは遅くなるだろうが、必要な装備なので仕方がない。


 そして伯爵から貰った地図を見て、行くべきところをノートに書き写し、ちぎって腰のポーチに入れた。

 狩りの用意はできた。

 あとはリムルに言って、モンスターを狩りに行くだけだ。

 

 今回の武器は全て両手用の武器のため、楯は持たずに出た。

 リムルを探して城を歩いていると、城の入口に立っていた。


 完全装備で歩いてきたオサムの姿を見て

 「またこんな時間から城外に出られるのですか?エリトール様」

 と言われて


 「うん、早く本物の騎士になりたくてね。心配は要らないよ?伯爵閣下から地図を頂いて、行ってはいけない場所は確認したからね」

 そう言ってリムルの心配を収めようとしたが、心配はするだろう。


 「今日は帰ってこないかもしれないけど、でも心配しないでね?晩飯は要らないから」

 と言うとリムルはやはり

 「必ず返ってくると約束して下さい。私はエリトール様が帰ってくるまで眠りません」

 

 オサムは

 「そこまでしなくても・・・でも分かった、必ず帰ってくるから待ってて?」

 抱きついてくるリムルの頭を撫でながらオサムはより強固に意志を新たにした。

 これは自分が弱いがために心配を掛けるのだ。

 強くならなければならない、それも早く。リムルが安心できるほどに。

 簡単に考えていたが、そういうものではない。自分のためだけに強くなるというものではありえない。

 オサムはもはや自分一人のものではなく、11人の生活を支える主でもあるのだ。


 しかしオサムはそれを胸にしまって

 「じゃ、行ってくるね」と軽く手を上げながら城門へと向かった。



 まずはじめにオサムはバスタードソードでゴブリンを薙ぎ払い続けた。

 街道から少し草原や森に入ると、この時間からはモンスターが多く出てくるようになる。

 しばらくはゴブリンのドロップする回復薬を集めることにした。


 回復薬が十分集まったところで、フラッシュライトとメモを取り出し、幽閉の森という場所に行くことにした。

 

 初めて来る場所なので用心していたが、現れたのはゴブリンやホブゴブリンだった。

 さすがにサーベルやブロードソードより強力な両手剣である、

 既に一撃二撃で倒せるようになっていたので、より強いモンスターを探した。

 ただし、今回はプレートアーマーで防御力が上がっているとは言え楯がない。

 それに応じた戦いが必要となる。


 まだ自分の実力がはっきりとわからないオサムは無理はしないと決めていた。

 危険な場所は避けて実力に応じた場所を探し、そこを拠点に戦うことで安全を確保した。

 今回は大きめのバッグに食料と飲水も持ってきている。


 このマップではダイアウルフを始めグレートベアやアークコーン等の獣

 ゴブリン、コボルド、トロルやオーク、オーガ、メレジャイアントやその亜種

 カオスビースト、スケルム、ドーンサバイア等の今のオサムには手強い相手が出る。


 オサムはこれはゲームじゃないんだ。とリムルの顔を思い浮かべて、傷だらけになりながら戦った

 深夜になっても一息付ける場所でパンを水で流し込み戦い続けた。


 流石にレベルが上がりにくいが、今夜は戦い慣れすることに意味がある。

 この先ダンジョンに入ることもあるだろう、とにかくクリューズを目標に

 高みへ高みへとレベルを上げながらモンスターをなぎ倒していった。


 息が上がることはあっても疲れは感じない、いや感じにくくなっている。

 ポーションやハイポーションを幾ら飲んだのだろうか、もうわからなくなっていた。

 それに応じてレベルも上がってゆき、バスタードソードを収めフランベルジュを扱っていた。


 深夜を回りオサムのレベルは30に達しようとしていた。

 「もう少しか?」左腰に差した”夜叉の刀”をちらりと見て「コイツが使えるまでは」

 そう言って鬼神の如く戦った。


 夜が明ける前にはオサムの手には”夜叉の刀”が握られていた。

 付加スキルである”闇の剣撃”や職業スキルであるウィンドソードを使いこなし

 フィールドを変え、より強いモンスターと対峙し、そして夜が明けはじめた。


 オサムはゆっくりと歩きながら城へと戻っていき、途中に現れるモンスターもほぼ一撃で倒した。


 朝になり、オサムが城へ戻り自分の部屋へ帰ると、リムルは起きていた。


 「エリトール様!」と立ち上がり抱きついてきた。

 オサムはリムルの頭を撫でて「流石に疲れたよ・・・」と言うと背中の武器を投げ出し椅子にもたれて座った。


 リムルはオサムの鎧を脱がせ、体の汚れを拭き取ってくれた。

 自由になれた気分になってゆったりと出来た。

 オサムは

 「そうだ、リムルの部屋気に入ってくれたかな?俺の隣にしたんだけど」


 リムルは頷き、そして話しだした

 「エリトール様、私のような者にあのような立派な部屋よろしいのでしょうか?それに私の部屋だけが2階のエリトール様の隣でした。嬉しいのですが・・・」


 「リムルが嬉しいのならそれでいいよ、俺はリムルが好きなんだ、近くに居て欲しい」

 疲れのためかそっけない言い方だったが、オサムは本心から言った。

 「あと、朝食を食べたら俺少し眠るから、また添い寝してくれるかな?リムルが居ると安心して眠れるんだ、俺。リムルも寝てないよね、一緒に寝よう」


 リムルはオサムの言葉で押さえていた感情が溢れ泣きそうになった。

 「エリトール様の横で眠れるなら、私も眠ります」


 少し深呼吸して

 「やっぱり夜通し戦うと疲れるね、えーとレベルは・・・」とステータスを見ると

 レベル38剣士、HPは793となっていた。

 やはり弱いとは言え魔剣の切れ味は鋭い。一晩でここまで上がるとはオサムも考えていなかった。

 とは言えやはり戦い慣れしなければならない。剣も甲冑もビーツの物が出来れば話は変わってくるだろう。


 『これで従者にも主人顔が出来るな、けどもう少し突き放しておこう』

 とオサムは考えた。


 それからのオサムはただ強くなることを目指した。

 もっと強く、もっと強く、頂点まで。この国に名前が轟くまでやる。

 オサムは強くなることで伯爵の恩に応えられると信じていた。

 クリューズも超えてやる。


 その日からオサムの激しい戦いの日々が始まった。


 オサムは昼過ぎに起きると、まだ眠っているリムルを起こして

 「少し買い物に行ってくる。リムルはまだ寝てていいからね?俺が戻るまで待ってて」

 そう言い

 「はい・・・」と眠そうに答えるリムルを寝かしつけ、着替えて外に出た。

 背中のリュックと腰のバッグ一杯に銀貨を入れて。

 

 腰には”夜叉の刀”を佩いていた。


 まず、換金所に行き、今回の晶石の換金を行った。銀貨864枚だった。

 持ってきた銀貨と合わせると3000枚に近くなる。


 オサムは鍛冶屋に顔を出し

 「ビーツは居るか?」と言うと

 「はい、お待ちを!」としばらくして出てきた


 「これはエリトール様、何か御用でしょうか?」

 ビーツは右手にハンマーを持ちながら言い


 「今のところで出来ているものはあるか?」

 オサムが尋ねると

 「発注頂いたのは剣7本と短剣3本、それに甲冑を2つ、楯2つと楯の要らない装備でしたね。

  軽装とは言えませんが言われました通りの軽装甲冑は出来ています。

  カイトシールドと特殊なガントレット?でしたか?他には、短剣1本、剣が4本出来ております」


 オサムは「ちょっと見せてくれるか?」と全てに目を通した

 黒い軽装鎧は良く出来ている、これならフルプレートと同等以上の防御力があるだろう

  カイトシールドも黒染めが素晴らしい。

  ファレルシャドウ  Lv55 アタック 285剣士 騎士

   付加スキル シャドウグローブ、鬼神乱舞

  レイブン      Lv60 アタック 300剣士 騎士

   付加スキル レイブンアクス、鬼神乱舞、

  グランドソード   Lv70 アタック 330剣士 Lv40騎士

   付加スキル レンジクラッシュ、ガードショック

  黒竜の刀      Lv80 アタック 350剣士 Lv45騎士

   付加スキル 黒竜炎舞、黒竜乱撃

  スタンナイフ    Lv40 アタック 100剣士

   付加スキル グランドスタン

  

 「流石だな、ビーツ。全て一級品の魔剣ばかりだ、付加スキルもついている」

 オサムにそういわれてビーツは照れながら

 「私の腕だけでは無理だったでしょう。エリトール様の指示通りに作ると全て魔剣になってしまいます。正直言ってエリトール様の才能が恐ろしいです」

 そう言ってノートをパラパラとめくってみせた。


 オサムはそれを見ながら

 「この程度しか能が無いのでな。すまぬが仕上がった物全て城へ届けてくれぬか?あと、用を済ませたらまた来る」

 と言うとビーツは

 「もちろんです、今日手が空いた者に届けさせます」と夕方に届ける約束をした。


 しかし、自分がデザインすると全て魔剣になってしまうのか?

 ビーツの腕もあるのだろうが、この世界には無い剣ばかりを発注している。そのためだろうか。

 それとも自分のデザインには何らかの魔力が込められているのだろうか?

 特別な材料は使っていないはずなのだが、何故全て魔剣になってしまうのか、その謎も解く必要がある。

 オサムは遠からずその謎に向き合うことに決めた。


 だが、今のところビーツの剣を装備することは出来ない。もう少し強い剣士用の剣が必要だ。


 オサムはそのまま隣の武器屋に行き店主を呼び出し

 「剣士用のレベル50の武器が欲しい、あるか?」

 と訊くと、武器屋の店主は

 「エリトール様、普通のものですか?それとも魔剣の類で?」

 と返されたので

 「後者だ、出来れは付加スキルの付いたものを」

 オサムはもはや普通の剣では満足できなくなっていた。


 店主は

 「それでしたら、少々お待ち下さい・・・これなどはいかがですか?両手用なのでかなり強力です」

 と言って一振りをカウンターに置いた。

 『ホーリーブレイドLv50アタック150剣士付加スキル、エリアヒール』 

 オサムはそれを手にしてステータスを確認した。


 「ほう、ヒールが付加されているのか、アタックもそこそこ高い。貰おう」

 剣士用のレベル50の剣ならば当分の間は使えるだろう。


 店主は

 「銀貨350枚になりますがよろしいですか?」と言ったが

 オサムは

 「わかった、数えてくれ」とじゃらりと銀貨をカウンターに広げた。


 店主はまたジャラリと銀貨の山を取り、指で弾き

 「では350枚頂きます。装備しておきますか?背中に下げてないと荷物になりますし」

 さすがにクレイモアと同等の大きさの剣は背中に装備するしか無い。

 背の高いオサムでも長さは地面に届くだろう。

 「そうだな、装備しておこう」背中にホーリーブレイドを装備してオサムは店を出た。


 次に向かおうと考えていたのは防具屋であったが、ビーツの軽装鎧があるためやめた。

 剣には装備レベルがあるのだが、甲冑にはそれがない。

 どんな重装であろうと着て動ける力があれば問題はない。筋力もしくはストレングスだけの話になる。


 再びビーツの鍛冶屋に戻り。

 「ビーツ、戻ってきた。居るか?」と聞こえるように言うと

 「エリトール様、御用でしょうか?」とビーツが現れた。


 「用と言うほどのことではないが」とリュックから金貨の革袋を出し、金貨50枚だ。ビーツの目の前に出した。


 「銀貨2500枚分だ。受け取れ」

 と、言われビーツは

 「そ、そんな大金受け取れません。一体何があったのですか?」と訊いてきた。

 オサムは少し考え


 「あれだけの装備を作って貰えばこの程度は当たり前だ。契約料も含めてこれで頼む」

 と言い切った。


 ビーツは銀貨の詰まった袋をじっと見ながら

 「で、では、頂きますが・・・もうこれ以上は頂けませんので、ご勘弁を」

 と金をもらいながら謝りだした。


 「うむ、では残りの装備もよろしく頼む。あと、例のマジックバッグも入手出来次第届けてくれ。また銀貨を持ってくる」

 とオサムは城へ帰っていった。

 これからの戦いにはマジックバッグは必須の装備になるだろう。

 他にはグランパープルの袋も大きな物が要る。それもマジックバッグで作れるのであれば入手したい。

 オサムはクライアンの店に行くことにした。


 「すまぬが店主は居るか?」店にオサムが入ると、しばらくしてクライアンが出てきた。

 「エリトール様ですね?本日もポーション類ですか?」と訊かれたが

 「いや、小さなものでも構わないのだが、グランパープルの革袋でマジックバッグは無いだろうか?」

 欲しいと思うとすぐに行動する、オサムは確認しに来た。


 「しばらくお待ち下さい」とクライアンは奥に入り

 「この大きさで良ければ、神殿で加護をもらいグランパープルのマジックバッグに出来ますが、今は在庫がほとんど無いもので」

 と言って小型のポーチを持ってきた。

 見るとそんなに大きくはないが、オサムが今までに手に入れた最大のモンスター晶石でも簡単に入る多きさだった。

 「どのくらい入る?1000個程度は入る物がほしいのだが」

 オサムがそう言うと

 「1000個どころか数万個は入ります、かなり出来の良いマジックバッグですので」

 クライアンがそう言うのでオサムは買うことにした。

 「ビーツから聞いているかも知れないが、普通のマジックバッグが1500枚だったか?それと合わせていくらになる?」

 まだまだ伯爵から貰った金貨や銀貨は有る。かなり上等な物でも平気だろう。


 「そうですね、晶石用が2000枚として、ではバッグ2つ分5000枚でいかがでしょうか?ウチで最上等のマジックバッグですので。勿論神殿での加護は私がもらって来ます」

 クライアンの言葉でそのポーチやバッグがビーツのバッグよりも品質の良いものだと分かった。

 「出来が良ければ入る量が増えるのか?具体的には?」

 オサムは興味が出て尋ねた。


 「マジックバッグは見た目の大きさの数十倍から数万倍の量が入ります。アイテム師の腕次第ですが、私は一級品を作っている自信があります」

 クライアンは自慢しているようではなく誇りを持っているようだった。

 「ではそのバッグも容量は数万倍ということか?やはり欲しいな」

 オサムは気に入った。いくら金を積んでも冒険には欠かせないものだ。すぐにでも欲しい。

 「ビーツから話は聞いてると思うが、そのマジックバッグが銀貨3000枚でグランパープルの加護のバッグが2000枚だな?」

 この二つが揃えば、晶石もポーションも銀貨もドロップアイテムも全て持って帰ることが出来る。


 今から始める冒険に必須のアイテムだった。

 かなり大きめのマジックバッグが一つと伯爵に貰った銀貨用のマジックポーチ、それに中型のグランパープルのマジックバッグ。

 冒険者の初期装備としてはかなり贅沢なものだろう。甲冑や剣もまた高価なものである。

 冒険初期に1万枚以上の装備を使える者など上流貴族か王族位だろう。


 「分かりました、晶石用のマジックバッグは私が加護を貰っておきます。大きい方のマジックバッグは今腰に付けておきますね」

 クライアンはそう言って「では銀貨5000枚、それとも金貨100枚の方が良いですか?どのようにしましょうか?」と尋ねてきたため

 「金貨の方が数えやすいな、金貨100枚支払う」とオサムは答えた。


 金貨と銀貨、青銅貨の3種類持っていれば支払い方法はどうにでもなる事が分かった。

 「では頼む」と言ってクライアンの店を出た。


 

 城の自室に戻ると、リムルが待っていた。

 「すみません、寝てしまっていました。どちらに行って・・・」

 と言おうとした時にオサムの背中に見慣れない剣があるのを知った。


 「武器屋に行ってらしたのですか?今夜も戦いに?」

 心配そうにリムルが尋ねると

 「うん、そのつもりだよ、屋敷が出来るまではずっとね」

 と返した。


 背中の剣、腰の剣とバッグ類を外しながら

 「今夜は起きて待たずに寝るんだよ?リムル」

 オサムには珍しく有無を言わせない言い方だった。


 しかし

 「リムルが倒れると俺、心配するからね?わかった?」

 とすぐに元のオサムに戻った。


 「わかりました、でもご無理だけはなさらないで下さい」

 リムルは懇願した。

 もうわかっている、自分の冒険がどれだけリムルの心配になっているかということを。

 オサムはニコリを笑い

 「わかってるよ、リムルが悲しむようなことはしないから。朝になれば絶対に俺は戻ってくるから安心してね?」

 と言った。


 夕方になり、ビーツが弟子とともに城へやって来て甲冑と剣、それにクライアンから預かったと言うグランパープルのバッグを持ってきた。

 オサムはそれを受け取り早速甲冑を装備した。


 そしてオサムの安らかな日々が終わり、修羅への道が始まった。

 


 連日連夜オサムは戦い続けた。レベルが上がればビーツの漆黒の甲冑と剣、楯を持ち。

 戦いの中で戦いを知り、オサムは着実にその強さを増していくことになった。


 しばらくすると街の中に噂が流れていた。


 「闇夜の黒騎士」しかし正体を知る者は少なかった。

 兜で隠された顔は誰にも見えない、誰とも話さない。

 ただその一振り一振りが見た者を魅了し、一人で強大な敵を倒す姿は恐れられた。

 ダンジョンの中でボスと戦い、パーティーで来た者の目を疑わせるような強さを見せていた。

 明らかにビーツの剣は装備レベルを超える性能を発揮していた。


 オサムは狩りで手に入れたレアアイテムを惜しみなくビーツやクライアンに渡し、装備やマジックアイテムを作らせた。

 その装備が出来上がるたびに強くなり、剣士では到底倒せない敵にもたった一人で立ち向かい、倒した。


 しばらくすると極めるべき剣士のレベルを99まで上げ、既に騎士になっていた。

 だがそれでも戦いをやめようとしない。

 強敵を倒し、レアアイテムを入手しては装備を作り直し、更に強くなり、また強敵を倒す。

 取り憑かれたかのように夜、剣を振るう。時に鋭く、時に豪快に。

 通常はパーティーで行くようなダンジョンへも一人で赴いた。

 最初に見たピラミッドダンジョンへも幾つかのダンジョンをクリアしながら入った。


 そこのボスはやはりスケルトンドラゴンだったが、あの時とは違い叩き切って終わらせた。

 行けるだけの場所へ、時には往復1週間以上を掛けて遠征へ出かけた。

 

 そして、屋敷が出来上がってはや一月以上が経っていた。


 昼間はだらしなく過ごすオサムは世界が闇に包まれると戦士へ変わる。

 はじめはクリューズも知らなかった。

 しかし、ある夜エリトールの屋敷から漆黒の騎士が出てくるのを見て気がついたが、オサムのやるに任せて何も言わなかった。


 世の冒険者達の間で、いつしか黒騎士の名が轟いた時には伯爵領内、歩いていける場所の殆どのダンジョンを一人でクリア出来る様になっていた。

 しかしそろそろ何もない日々へと移る時期であった。

 毎日心配しながらオサムを見送るリムルの瞳に耐えられなくなっていたからだ。

 1週間程帰らない時も有った。

 それに騎士レベルも目的の50を軽く超えて80に近づいていた。



 「リムル?今日から俺、夜は出かけないからね。そろそろ落ち着くことにする」

 ある日、オサムがそう言うと


 「本当ですか!」と言ってリムルは喜んだ。


 「本当だよ、もうリムルに心配は掛けない」

 安穏とした日々を過ごすことにした。元々オサムは外に出かけるタイプではない。

 ただ、こちらの世界にはWEBやゲームが無いため、リアルなRPGとして楽しんでいただけだ。


 『既に噂が広がりすぎてやりにくいし』とオサムは考えていた。

 「じゃ一緒に風呂に入るか?リムル?」夜には居なくなるオサムはリムルとの時間をあまり持っていなかった。


 「え、あ、はい、ご主人様。では・・・わかりました」

 相変わらずリムルはこういうことを恥ずかしがる。オサムも慣れてはいないがリムルと風呂に入るときはエターナルライトにシェイドを被せて暗くする。

 「うん、そうだよ、ずっと戦ってたからね、リムルが恋しかった」

 とオサムが微笑んだ



 オサムは執事のハロルドに早めの風呂を用意させた。

 「お館様、もうすぐ風呂の準備が出来ます」

 ハロルドに言われ

 「じゃあ入る、俺はリムルと一緒に入るから、その後皆に伝えて?」

 と返した。


 風呂から上がりガウンに着替えて自分の部屋のソファーに腰掛けながら食事をしていると

 「エリトール卿、今晩は」とクリューズがやって来た、続いてロレーヌも部屋に来た。


 「二人共どうしたんですか?」とオサムが尋ねると

 「風呂を使わせて貰おうと思って来た。いつも留守だから知らなかったかもしれんが」とクリューズが答え

 それに同意するかのようにロレーヌが頷いた。


 「構わないけど、よく来てるみたいだね、好きなのか?風呂が?」


 その言葉に

 「自分だけあんな気持ちの良いものを造りおって、当然だろう」クリューズは答えた。

 「今、閣下と私の屋敷にも風呂を作っているが、それまでは使わせてもらうぞ、オサム」

 ロレーヌもそう言った


 「え?もしかしてクリューズとロレーヌ様一緒に入るのか?」とオサムが慌てて訊くと

 「そうだが?あと侍女二人もな。背中を流してもらう。オサムも侍女に背中を流させているんだろう?」

 クリューズはあっけらかんと答えた。


 「まぁ、かまわないよ、食事もしていくか?」とオサムが言うと

 「もちろん!」と二人が声を揃えて答えた


 「エリトール家の味は格別だからな、毎日でも来たいくらいだ」

 と料理を褒めてもらったが、実はオサムの持ってきた料理本を翻訳して料理長のカッシュにレシピを渡しただけだ。


 「じゃあちょっと待っていてくれ」と書斎に向かい、その奥の扉を開けてリムルの部屋に入っていった。

 「リムル?あれ?居ない?」と戻ろうとした時にリムルが書斎に入ってきた。


 オサムは

 「なんだ、こっちに来てたのか、リムル」と言って

 「カッシュにクリューズとロレーヌ様の食事の用意をするように伝えてくれ。俺の部屋で食べると」

 何かの用で来たんだろうし、その方が良いな。とオサムは考えた。



 二人が風呂から上がり、揃ってガウンを着たままオサムの部屋へやってくると

 既に食事の用意は出来ていた。

 「いいねぇ」とクリューズが言い「うむ」とロレーヌが頷いた。


 食事をしながら

 「話があって来たんだろう?二人共」とオサムが言うと

 「それもある。しかし、風呂と食事にも用があった」クリューズが答え


 「くつろいでるところを見ると、今夜は出ないのか?オサム」

 ロレーヌが訊いてきた

 「そうですね、そろそろ落ち着こうかと考えてます。」

 オサムが答えた。


 「それはそうだな、もう十分だろう、たった2、3ヶ月で抜かれるとは思って無かったぞ」

 クリューズは続けて

 「剣士レベルを99まで上げてのレベル78の騎士なんて閣下の領内には居ないぞ?それにあの甲冑と剣だがかなりの魔力が込められているな?」

 クリューズ程になればオサムの甲冑や剣は見ただけでわかるのだろう。恐らく世界でも最強クラスの武器と防具ばかりだ。


 「鍛冶屋の腕が良くてね、専属で契約を結んでいる」オサムが答えると

 「それだ、我々二人の甲冑と剣も打って貰いたい」

 クリューズが言い、ロレーヌが頷いた。


 「あの鍛冶屋に訊いたが、オサムのデザインが必要らしいな?」

 ビーツに聞いたのか、クリューズは知っているようだった。


 「理由はわからんが恐らく。で、どんなものが良いんだ?クリューズ」

 「ロレーヌ様も遠慮なく言って下さい」

 オサムはもう頭の中でどんなデザインなら良いのかを考え始めていた。


 「オサムのような黒騎士か?あんな装備ではなく今我々が使っているようなものが良いな。私は閣下の守護騎士なので見栄えのするものを」

 クリューズが言うとロレーヌが

 「私は防御力を落とさず細身で動きやすいものが良い」と言った。


 「うんうん、デザインしておきましょう。あと、剣は?」

 オサムが尋ねると

 「剣はもう持っている。使い慣れているので必要ない」クリューズが言い

 

 「私はもう少し軽く振れる剣が欲しいのだが、できそうか?」

 ロレーヌが訊いてきた。

 ロレーヌはパラディンではなく騎士のレベル47だった。そのレベルなら剣もレアアイテムを使えば良いものが出来るだろう。


 オサムはじっと目を瞑り、2人が着ている甲冑とロレーヌの持っている剣を思い出した。

 その形を基本としてアレンジを行い、レアアイテムをつぎ込めばかなり強力な武装が出来上がる。

 「出来ます、もうイメージは完成しました」

 オサムが言うと


 「なんと、早いな。オサムの才能には驚かされる」

 ロレーヌは本当に驚いたようだった。


 「私ももう一振り騎士レベル70程度のレイピアを発注しようと思っていたところなので、二人のものも含めて発注しましょう」

 オサムは簡単に答えた。

 本来そんな強力な武装を持つ騎士は冒険者を含めてもほぼ居ない。

 だが、2人にはとことんアイテムをつぎ込んだ最強の装備を渡したいと考えていた。

 「クリューズ、本当に剣は要らないのか?魔剣の方が良いぞ?」

 オサムは言ったがクリューズは必要が無いと断ってきた。

 今の剣は軍功によって伯爵から賜った剣だからということらしい。


 食事が終わり、談笑しつつオサムの取ってきたレアアイテムの一部を二人に見せた。

 既にヴァレスというドラゴンに似たモンスターを複数回倒し、マジックバッグをかなりの数作っていた。

 オサムのクセだが、バッグが一杯になるまで整理はしない。

 そして、一杯になったとしてもまた違うマジックバッグを持って出かけていたため、かなりの量のレアアイテムが揃っていた。

 モンスター晶石を換金した銀貨も200万枚を越えて、もはや買うべきものもなく貯まる一方だったのでオサムも何枚有るのか知らない。

 必要な時に数千枚から数万枚引き出すだけだった。


 一つのマジックバッグを開けて中身をガラガラと広いテーブルに出していくと

 「これは、ドラゴンの角に牙、ヒュージワイバーンの革かあとは、オーガナイトの腕輪、ケンタウロスの弓弦、シールドガーディアンの肩鎧と鎧の魔法石、デモンの指輪

  タートルドラゴンの甲羅にナイトウォーカーの目、ナーガの革、ハーピーの爪、ヒドラの尾・・・まだまだ出てくる、見たこともないアイテムばかりだぞ?

  一体どこまで行ってたんだ?お前は?」

 と二人に驚かれた。


 「この国では3本の指に入る騎士だな、いや、装備を含めるとこのライツェン国でも最強かも知れん」

 そう言われてもオサムにはピンと来なかった。


 「名実ともにエリトールの名を継ぐに相応しい筆頭騎士だ」クリューズが感心していると

 ロレーヌが突然

 「オサムの妻になっても良いぞ?」

 と言った。その時に紅茶を飲んでいたのでオサムはゴホゴホと咽た。

 

 「俺にはリムルが居るので、それはまたの機会に話しましょう。ロレーヌ様」

 止まらない咳を堪えながらオサムは答えた。


 ロレーヌは扉の前に立つリムルに目をやり

 「あの侍女か?町娘だが側室にでも娶る気か?オサム。閣下の筆頭騎士ではそれなりの妻を持たねばならんぞ」

 その言葉に、やはりか、と思いつつそれでもオサムはリムル以外には要らなかった。

 それに何回も言われているのでオサムはからかわれてるのだと考えていた。

 

 「今はそのつもりです、正室が先になるかはわかりませんが、リムルは必ず娶ります」

 おそらく正妻を持つことは無いだろう、と考えつつオサムは答えた。

 オサムのはっきりとした意志の言葉にロレーヌは

 「そうか、側室が先でもかまわぬがな」と答えた。


 「では、邪魔をした、また邪魔をしにくるのでよろしくな、オサム」

 と二人が帰っていった。

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