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終わったならまた始めればいいじゃないか-推敲Ver-  作者: 朝倉新五郎
第一章 騎士
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11話 強き騎士となるために

 オサムは周囲を警戒しながらほんの少し歩いていると、突然目の前にステータスが表示された。

 驚いたがよく見てみると数字が出ている。

 「なんだこれ?俺のステータスか、HP25、MP0、剣士レベル1?」

 『ガチゲームだな、あの門をくぐるか城外に出ると冒険者として登録されるのかな?フラグがわからん』


 木にもたれかかり、そのステータスの操作を試してみることにした。

 「これで動いて、これで消える。もう一度出すには?これか、よしわかった」

 HP以外のステータスを閉じて、道からそれて草原に出た。

 『ゲームみたいにマップポータルは無いだろうな、普通に歩くか』と考えて、しばらく街道を歩いていると


 街道から草原に入った遠くに赤い目をした小さな人型の生き物が見えた。

 「ゴブリン・・・かな?最弱のモンスターって何だったっけ?」と近づいていくと、その生き物の上にステータスが浮かんだ。モンスタータイプとHPゲージだ。


 「やっぱゴブリンか。HP15ね、さて、やりますか」とサーベルを振り上げ向かっていった


 サーベルで一閃「ザク」っという肉を切る感触が手に伝わり

 「リアルだな、やっぱ」とオサムは戦闘態勢を取り続けた。

 1対1なら勝てそうな敵だった。


 今の攻撃で7ポイントのダメージか。敵のステータスを見てわかった。

 オサムは腰からラウンドシールドを取り、左腕に装備した。

 「おらぁ!」と再度斬りつけるとゴブリンは光り出しその光が散った。

 その光の跡に例の光る石と回復薬が落ちていたので拾ってクリューズに貰った腰のポーチに入れた。

 「ドロップアイテムね、銀貨や金貨は落ちない。と、当たり前っちゃあ当たり前だな」

 しかしレベル1でダメージ無しで倒せるのか、と余裕を持てた。


 次は2匹現れた。

 ダメージも確認しとくか。と1匹のゴブリンを素早く倒し、もう1匹のゴブリンの攻撃を楯で受けた。

 するとHPが1減った。


 「そういうことね」と、次は直接革鎧で攻撃を受けてみた。するとHPが4減った


 「大体わかってきたぞ」とそのゴブリンを倒し、ステータスを閉じた


 数十匹のゴブリンを倒し、ステータスを見ると、剣士レベル5、HPは最大値が90になっていたが現在HPは20のままだった。

 「レベルアップで全回復はしない、と」と、回復薬を飲んだ。

 体に力が溢れ、ステータスはHP90の満タンになっていた。

 ゴブリンがドロップするアイテムにしては回復量が多いな、とも思ったが、レベル5で90ならばそのくらいが適当かとも考えた。


 ステータスウィンドウも開いて確認したが

 「ステータスボーナスは職業で自動割振りみたいだな」

 その頃になると、ゴブリンを最初に倒した時のようではなく、一閃で倒せるようになっていた。

 「ストレングスが上がってるんだな?」実際に力が上がっていることに気がついた、装備が軽く感じる。


 「じゃ、まだまだ行きますか!」とゴブリンを倒しまくった。途中頑丈なゴブリンが居たがステータスを見忘れた

 「おもしれぇ!おもしれぇよこれ!」

 オサムのゲーム脳が危険を忘れてフル回転していた。


 「ん?あれは」と見たら先程の頑丈なゴブリンのようだった。周りに10匹程の色違いのゴブリンを従えている。

 「フィールドボスってやつか、面白い、面白すぎるぜぇ!」と叫びながらオサムは向かっていった。

 自分のHPステータスを見ながら周りのモブゴブリンを叩き切っていった。

 「あとはボスだけだぜ!」と切りつけたがかなり固い。何度か切りつけたが敵のHPはあまり減らなかった。

 「クソ、サーベルじゃ無理かよ」サーベルを収め、背中のブロードソードを抜いた。


 一閃、二閃と切りつけるとサーベルでの攻撃よりダメージが増えた。

 「そういうことかよ・・・」オサムは回復薬を2本飲んだ。HPが全回復し235となっていた。

 更に切りつけ、5分以上の戦闘でボスを倒した。回復薬も残り少ないし時間もかなり経っていた。


 「よし、今日はここまでだな、帰り道で敵を倒しつつ戻るか」と城塞への道すがら更に50匹程を倒して門にたどり着いた。


 「はぁ、体は全然疲れてないのに精神的に疲れているようだな。この状態もそのうち分かるだろう」と門を通り城へと帰っていった。


 途中で自分のフルステータスを見ると「剣士レベル21、最大HP524、最大MP40、特技ウィンドソードLv2」となっていた。

 「なんだよ、伯爵のアレってこのウィンドソードじゃねーの?剣技って言ってたしな」と謎が解けた。



 オサムは重い足取りで城へと続く坂を登り、城内へ帰った。

 「ただいまー、まぁ誰も居ねーだろうけど」と自分の部屋へ戻った。

 「疲れたぁー!」と言うと

 「ご無事でしたか!エリトール様!」とリムルが駆け寄って来た。

 「あ、リムル、部屋に帰ってなかったの、待っててくれた?」オサムが言うと


 「当たり前です!心配で・・・心配で心配で・・・ずっとお待ちしてました、こんなにボロボロになって・・・」

 『あ、泣きそうになってる、かなり心配掛けたな』

 オサムは狩りに夢中でそんなことは考えていなかったのだが、すぐに思い出した。


 「ごめんね、リムル、心配させて」オサムがリムルの頭を撫でながら言うと


 「無事なら良いんです、無事なら」とリムルはスカートを握りしめていた。


 「えっと、こんなんでごめん。でもかなり強くなったよ俺」と同時に腹がぐぅ~っと鳴った

 「なんか食べ物とかあるかな?」

 

 「あります、あります、お戻りになられた時のために料理長に頼んであります、すぐお持ちします」

 リムルは走っていった


 『いつもは走ることなんて無いのに、よっぽどだったんだ、悪いことしたなぁ』

 オサムは武器を起き、鎧を脱いで装備をすべて外してその辺に転がして、椅子に深くもたれかかった。


 「とは言え、1日で21レベルか、ボスを倒した事が大きいんだろうな」

 オサムは今日の狩りに満足していた。


 「お持ちしました、召し上がって下さい」

 リムルが戻ってきた。

 「エリトール様、こんなに散らかして、お疲れになられたんですね。」


 「うんうん、体はピンピンしてるのに、精神的にかな?疲れたんだろうなぁ」

 オサムは持ってこられた食事を急いで平らげようとしていた。


 「あの、エリトール様、もう少しゆっくりと召し上がられては?」

 リムルに言われたが

 「えっと」と時計を見て「もう夜の10時だろ?リムルの寝る時間削っちゃったしさぁ」

 オサムはそう言ったが、食事の手を止めて

 

 「そうだ、リムルは伯爵閣下から聞いてる?今城付きの侍女じゃなくって、俺専属になってるって?」

 前の食事の時に伯爵と話した件だった。

 「はい、私はエリトール様の専属侍女ですが?」

 どうやらリムルは知らないようだった。


 「あのね、今のリムルは、伯爵閣下が雇っているんじゃなくて、俺が雇っている事になってるんだよ。

  だから、侍女部屋?だっけ、あそこに戻る必要はなくて、この部屋に居て良いんだ。わかった?」


 オサムの言葉にリムルは

 「えっと、伯爵様からお給金を頂いているのではなく、エリトール様からということですか?」首を傾げた


 「うん、そういうこと、だから、明日閣下に言ってリムルの部屋をここに作るよ」

 オサムが言うと


 「え!?寝起きはエリトール様のお部屋でということですか?」

 とリムルに訊かれたので


 「そうそう、俺が雇ってる俺専属の侍女だからね。リムルが俺とずっと居るのが嫌なら考えるけどさ」

 オサムはまた食事をしながら話しだした。

 「そんなことありません。でも・・・部屋を一ついただくというのは・・・」

 リムルが言ったが

 「奥のベッドルームが空いてるでしょ?そこに必要なものを運べばいいよ、狭いかもしれないけど」

 オサムは指差して言った


 「よろしいのですか?侍女の私などにエリトール様のお部屋をお貸しいただくなどと」

 「侍女や召使は相部屋なので、こちらのお部屋の方がずっと広いですが」

 リムルにそう言われたので

 「いいよいいよ、使ってない部屋だし、近くにリムルが居たほうが俺も助かるし」

 「夜もね?」と意地の悪い返事をしてリムルの様子を見ようとした。


 やはりリムルは真っ赤になり

 「は、はい、わかりました」とうつむいてしまった。

 オサムはその様子を見て楽しんでいた。

 

 「はぁ、食ったー!回復薬じゃ腹が膨れないんだもんなぁ、HPは回復するのに。今度はパンも持っていこう」

 ビーツに頼んだマジックバッグとかいうバッグなら食料もいくらでも入るだろう。


 「じゃ、悪いんだけどこれ片付けたら、この部屋に戻ってきてね?侍女部屋から荷物を運ぶなら手伝うよ」

 オサムが言うと

 「いえ、荷物はほとんどありませんので、部屋に寄ってからこちらへ戻って参ります。」

 リムルは何故か楽しそうにワゴンを運んでいった



 次の朝、9時にリムルに起こされた。

 「伯爵様がお呼びです。クリューズ様もいらっしゃるそうです。10時にと言われてました」


 オサムは目をこすりながら

 「んー・・・全回復だぁ~。リムルは早起きだね」と伸びをしながらベッドから起きて服を着替えた。

 リビングに行くと

 「あれ?ここに放り出してあった鎧とかどこにやったっけ?」リムルに尋ねると

 「エリトール様がお眠りになられた後片付けさせていただきました」とリムルは答えた


 「そうなの?リムルはゆっくり眠れた?働きすぎなくていいよ?」

 オサムが言うと

 「侍女の仕事ですので、それに、あの・・・エリトール様のお部屋のベッドは寝心地が良かったですからきちんと眠れました」と答えた


 「そっか、なら良いんだけどさ、えーと剣と鎧はどこ?」とリビングを見渡した。


 「あちらの窓の横に掛けてあります」と言われたので見るといつもの状態で飾られていた。


 「ちょっと待っててね」とオサムが言い、サーベルを手にとって見てみた。

 『刃こぼれは無いな、ブロードソードは見る必要はないか』と考えていると


 目の前にボワッと何かが浮かんで見えた。

 「ん?Lv1?アタック10?何だこのステータス」次にブロードソードを見ると

 「Lv1アタック20?武器ランクか!?」と驚いた。

 レイピアを見ると

 「Lv1アタック5となっていた。」

 

 「あ、リムル、伯爵閣下の部屋って知ってる?」と尋ねると


 「ご案内します」と言われた。


 オサムは時計を見て「まだ時間があるな」と呟き

 「リムル、今日も街に出るよ?侍女服じゃなく前に買った服の中から選んで着替えてね」

 と言うと書斎の方に入った

 

 ノートを開き、昨日のことを思い出せる限り書いた。

 武器のことも書いて置くことにした。 

 このことはクリューズに聞けばいい。


 『そう言えば剣を買う時にクリューズはじっと見ていたな、さっきみたいに見えてたのか、Lv1の武器なら俺でも装備できる。というより使いこなせるとわかってたんだな?』


 一通り書き留めて、書斎からリビングに戻った。


 リムルが

 「もうすぐお時間です、伯爵様の部屋へご案内いたします」と言われ、部屋を出て伯爵の部屋へと向かった。


 リムルがノックし

 「伯爵様、エリトール様をお連れしました」と言うと


 「オサムか、入れ」と部屋の中から伯爵が答えたのでオサムは重厚な扉を開けて入った。


 そこにはクリューズが居り、伯爵の机の前に座っていた。

 「オサムも座るがよい」伯爵に言われ

 「失礼します」とクリューズの隣の椅子に座った。


 伯爵とクリューズはオサムをジロジロと眺め

 「昨夜、城外へ出たそうだな」伯爵に言われた。


 「はい、剣の腕を鍛えようとモンスターを相手にしていました」

 オサムは答え


 「そうか、まだオサムには早いと思っておったが、レベル21の剣士になっておるな?成長が早すぎるが一体何をした?」

 その言葉にクリューズも頷きオサムをじっと見た。


 「ゴブリンを相手に戦って居ました。ボスらしきゴブリンが現れたのでそれも倒しました」

 と言うと

 「簡単に言いおって、オサムよ、無茶はいかんぞ?ただ、今のお前のレベルならば城から少し離れても問題は無いが、間違ってもダンジョンには入るな、時期は私とクリューズが決める」と言われた


 「お主ならもう私とクリューズのレベルも見えるだろう?」と言われ、まず伯爵を見た

 「レベル36剣士 HP798ですか。クリューズは、えーとレベル52、パラディン!?HP2874?」

 オサムは自分とクリューズのレベルの違いを自覚した。


 「見えるか、ならば良い。クリューズは剣士レベルを50まで上げて守護騎士となった。私はこういう立場ゆえモンスターとはほとんど戦わずに来たのだがな。この調子でどんどん強くなれ、オサムよ」

 と言われ

 「はい」とだけ返事をした


 「一つ言っておく、もう知っているかもしれんが武器にも装備レベルがある。

  そのレベルに無いものが持つことは可能だが使いこなすことは難しい、本来の威力を出し切ることは出来ん。

  これを忘れるな。そしてこの地図を渡す。我が領地の大体のレベルが書かれておる」

 と地図を渡された。


 「ありがとうございます、無理をせず腕を磨きます」オサムはこの世界の事を知った


 「もう手持ちの武器ではオサムのレベルには合わぬだろう。もう一度武器屋に行き自分の目で見て買ってまいれ。

  銀貨20万枚分は渡してあったな。相当な物も買えるであろうが残りの10万枚分も今渡す」

 伯爵は大きな革袋と小ぶりなポーチを机に置いた。

 「革袋には金貨1000枚。このマジックポーチには銀貨5万枚。これで約束の30万枚だな。あと、モンスターが落とした石が有ったと思うが、この城の真下にある換金所にて換金してこい。この世界をもっと知れる」

 そう伯爵が言った後

 「そうそう、オサムの屋敷に水を引きたいと棟梁が言っていたが、フロ?とか言うものを作るらしいのぅ、出来上がれば私にも見せよ」

 と言われてオサムは嬉しくなり


 「閣下を最初にお招きします。恐らくお気に召すと思います」

 にこりと笑って

 「では早速、換金と武器屋に行きたいのですがよろしいでしょうか?」

 と言ったが


 「大事なことを忘れておりました、侍女のリムル・シャッセの件ですが、私の部屋の一室を彼女の部屋にしようと考えて居ります。必要な家具などを運び入れて問題無いでしょうか?」

 と伯爵に訊ねた

 

 「それは問題無い。あの侍女は既にオサムが雇うオサムの侍女じゃし、近くに侍らせるのが良かろう」

 そう言われてオサムは安心した。


 「それでは閣下、失礼いたします」と言って席を立った。


 部屋を出た時にリムルが立って待っており、心配そうに

 「昨晩のことで伯爵様がお怒りになられたのですか?」と聞いてきた。


 「いや、逆に褒められたよ、リムルは心配はいらないからね?あと、正式にリムルの部屋に家具を入れる許可を頂いたし、街に出かけて武器を買い直すように言われたので今日の昼から買いに行こうか」

 ポンポンとリムルの頭を軽く叩き、伯爵から渡された銀貨の袋を見せた。

 ボストンバッグに3つ分程度でかなりの量だが、不思議とあまり重さは感じなかった。マジックバッグの様に重量が緩和されているのだろうか?


 それを見たリムルは

 「エリトール様、もう無駄遣いはなさらないでくださいね」と言ったが


 「そうだね、でもリムルの物も買うよ」とオサムは笑った。


 「朝飯がまだだったね、部屋で一緒に食べよう。リムルの分も一緒に持ってきてね」

 とオサムは冒険がまだ続いていることを知り、ワクワクしていた。

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