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魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

リュクレース王女編

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30/50

30・ギルドマスター

 早速その足でギルドへと戻り、入り口の扉を蹴って開ける。

 ピクッ!

 俺がギルドに来ただけなのに、受付の向こうにいる人達の肩が小さく震えた。
 おいおい、大袈裟だな。

「……どのようなご用でしょうか」

 受付のお姉さんが恐る恐るといった感じの口調で尋ねてくる。

「用もなにもない」
「……? どういうことでしょうか」
「今日から俺が——」

 バンッ!
 俺が受付のテーブルにそれを叩きつけた瞬間、お姉さんの顔が青ざめることになってしまった。


「俺が——ギルドマスターだ!」


 …………。
 いつもは騒々しいギルドなのに、俺がそう言った瞬間に水を打ったような静けさとなる。

「こ、これは……!」

 受付のお姉さんが目を見開いて、その叩きつけた一枚の紙を見る。

 ——それは領主のカルヴィンに一筆書いてもらったものである。
 そこには『マコトを正式にギルドマスターと認定する。後は任せたよ』というようなことが書かれているのだ。
 カルヴィンの署名付きで、だ。

「というわけで今日から俺ギルドマスター。今日から俺の命令に従ってね」

 受付のお姉さんがなんと答えていいか迷っているのか口をパクパクさせていると、


「なにごとだっ!」


 おお、やってきましたよ。
 奥から(元)ギルドマスターのフランがやって来る。

「おお、フランか。領主に俺がギルドマスターだと認めてもらったよ」
「……は?」
「っていうわけで今日から俺ギルドマスター。あなた、なんでもない人。お分かり?」
「…………」

 フランは表情を固まらせて沈黙。
 やがて、

「な、ななななんでそんなことになる! あの領主カルヴィンはお金に汚くお金に信頼を置いていて、ギルドの運営なんてどうでもいいはずだ! だから波風立てたくないと思って、ギルドマスターを変更するなんていうややこしい真似をしないはず……」
「まあ——そのお金でなんとかしたと言いますか」
「ま、まさか! 君は領主様に買収を仕掛けたっ?」

 ご名答。
 やっぱりお金の力ってのは偉大だ。
 フランの言った通り、お金がなければ後は暴力か快楽であいつの心を変えさせる必要があっただろう。
 でも俺は基本的に暴力は嫌いだし、あいつのアヘ顔なんてそもそも見たくなかった。

 ……見たくなかったんだけどなあ。
 あいつ、お金を見たら絶頂するなんて知らなかったし。

「むむむ……どうやらこの署名は本当のものみたいだね」

 穴が空くような勢いで紙を見入るフラン。
 だけど——吹っ切れたようにバッと顔を上げて、

「分かった! 色々と文句を言いたいけど、こういう指令が出てしまったら仕方ない!」
「フ、フラン様!」

 ギルドの職員がフランに寄ってくる。


「フラン様がどうしてギルドマスターを辞めなければ!」
「フラン様は私のようななんら取り柄もない人間でもギルドで雇ってくれた」
「フラン様は女神だ! どうして、こんな男がギルドマスターにならなければならないっ!」


 どうやら引き留められているらしい。

「人望のあるお方みたいですね」

 その光景を眺めながら、隣でエコーがそう言った。
 まあ基本的に有能なんだろうなフランってのは。

「大丈夫大丈夫……私がギルドマスターじゃなくなっても死ぬわけじゃないんだから」
「私達にとったらフラン様がギルドマスターじゃなくなったら、死んだも同然です」
「安心してくれ。それに彼はたった一日でAランク冒険者になった有能な人間だ。きっとギルドをさらに繁栄してくれるはずだよ」

 こうやって眺めてみると、フランが保育士でギルド職員という子どもをあやしているみたいに見える。

「ふむ……」

 それでも——フランはみんなに引き留められる中、俺のところまで寄ってきて、

「取りえずおめでとう。ギルドマスターになって色々と不安があると思う。
 でも心配しないで欲しい。私がしっかりと君の補佐を務め君をサポートしてみせよう——」
「ああ、そのことなんだが——」
「なんだね」

 フランが目をクリクリとさせて問いかけてくる。

「フラン。お前は——」

 頭をきながらこう答える。


「今日から俺の奴隷だ」


「そうかそうか奴隷……奴隷……奴隷っ?」

 フランがキスするような勢いで顔を接近させてくる。
 そんなに顔を近付けたら、思わずキスしてしまいそうになるじゃないか。

「奴隷ってどういうことっ?」
「ん? だってお前、俺がギルドマスターになったら失職しちゃうじゃん。女の子を世知辛い社会に出て行かすのは流石に俺としても罪悪感感じるというか……だから奴隷だ」
「それだから奴隷って! 私、元々冒険者だったんだよ? 鑑定スキルメッチャ高いよ? こんなハイスペックな女の子を捕まえて奴隷とは!」
「正しくは性奴隷だな」
「せい、ど、れい……」

 フラフラと後退する。
 フランはおでこに手を当てて、顔色を悪くしていて今にも倒れてしまいそうだ。

「ああ、ある意味補佐してもらうかもしれないな。性奴隷として俺の世話を頼むぜ」

 ニカッ、と笑みを作って手を差し出す。

 それなのにフランはその手を叩き落として、

「……! ボクにもプライドがある! いくらギルドマスターをクビになっても、君の奴隷にだけはならないっ!」
「ほお? 良いのかな、俺にそんな口を利いて」
「なにをっ? ボクは元Sランク冒険者。そこからギルドマスターに転身して現役じゃないけど、魔力ゼロの君くらいなら簡単にねじ伏せる——キャッ!」

 フランから短い悲鳴が上がる。


 ——触手の超能力。


 いやいや、毎度のことながらすいません。

「フ、フラン様っ!」

 ギルド職員が駆け寄ろうとするが、禍々しい触手に臆してしまう。

「ひゃっ、ダ、ダメ! こんなところで、そこを……ひゃっ! み、みんなに見られているっ!」

 触手にイジめられているフランの口がだらしなく開けられていく。


 ——十分後。


「はあはあ。ふえぇ、やっぱり触手には勝てなかったよぉ」

 甘えたような口調でフランが声を絞り出す。
 目の焦点は合っておらず、どこを向いているか分からない。

「よし、これで分かったか? 俺の奴隷になってくれることを承諾してくれるか?」
「な、なるよぉ。ならないと、ボクもう生きていけないぃ」

 これで一件落着だな!
 最初は反抗していた(多分ツンデレなんだろう)フランであるが、話し合いの結果、無事納得してもらえた。

「やっぱりマコトさん……とっても鬼畜です」

 後ろでエコーがジト目を向けてきたが、こんなのは無視だ。

「それにしても俺もギルドマスターか……」

《ネドトロス》のリーダーにもなり。
 ギルドのトップにもなる。
 しかも可愛い(触手用の)奴隷も出来ちゃったし。

 異世界生活も順風満帆すぎて怖いぜ!
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