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魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

騎士団長編

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18・《ネドトロス》の本拠地に侵入してみる

「ひゃっ! こ、怖いです!」

 エコーが怖がって逃げようとするが、現れた男に腕を掴まれてしまう。
 エコーが助けを求めるように、俺の方へ視線を向けるが……。

「我慢だ、我慢!」

 まだこの男が《ネドトロス》だと決まったわけではない!
 だから、この男が《ネドトロス》だと分かるまで我慢だ……。
 もしかしたら、ただの一般人でエコーがこのまま18禁ゾーンに突入してしまうかもしれない。
 しかしそうなってしまった場合は仕方ない……しっかりと目に焼き付けておくか。


「逃げても無駄だ! 俺様は《ネドトロス》の魔法使い! ククク……お前なんかどうとでも料理出来るんだぞ」


「ちっ! 《ネドトロス》だったか!」
「今、マコトさんから舌打ちが聞こえたような気がしましたけど!」

 そうと分かれば仕方ない。

「な、なんだお前は?」

 万を持して、俺は建物の影から姿を現す。

「俺は正義の味方だ! いちいち《ネドトロス》なんて名乗るんじゃない。折角のサービスシーンを見逃してしまったじゃないか!」
「マコトさん、怒るポイントおかしいですよ!」
「……なんだかよく分からんが」

 自称ネドトロスの一員。
 よくよく見ると、お腹のところがポッコリと膨らんでおり、とても魔法使いには見えなかった。

 いや、魔法使いだからなのか?
 指一本も動かさなくても、なんとかなるから?

 まあどっちでもいいが……デブ男が、

「ククク……よく俺様の前に姿を現したな。俺様は《ネドトロス》の魔法使いだぞ? そんな不用心に出てきて大丈夫なのか?」

 と余裕綽々な表情を浮かべている一方、俺はそれ以上に余裕すぎてどうでもいいことを考えていた。

「よし、俺の目的を言うぞ。俺は《ネドトロス》の基地だか本拠地だか、そこを知りたいんだ」
「ふん、教えるわけがないだろ! お前は面白いことを言うな。ハハハ!」
「もう一度言う。もしお前から自主的に言ってくれれば、エコーの胸を揉ませてやってもいい」
「私にメリットが一つもない……ううん!」

 訳の分からないことで騒いでいるエコーの口を押さえる。

「ハハハ! お前を殺してからだったら、胸を揉む以上のことが出来るだろう?」
「それはそうだな。俺もそれ以上のこと、っていうのを見たいところだが」
「ううん! んん! んん!」

 ああ、うるさい。

「だが——殺されるわけにもいかないしな」
「それはお前が決めることじゃない。俺様の決めることだ!」
「じゃあ交渉は決裂、ってことでいいか?」
「ああ? そもそもお前が……ひゃ、ひゃい! 《ネドトロス》の本拠地はグーベルグから西に行ったところにある森の中の……」

 今までの態度が嘘のように。
 デブ男がすらすらと勝手に本拠地の場所を喋り出した。

 いちいち説明しなくても分かると思うが、洗脳の超能力だ。
 超能力で痛めつけてから、吐かせてもよかったが男に時間を割いている暇はない。

「……ふむふむ。よし分かった。お前はとにかく、一晩中パンツ一丁でグーベルグの街中を走り回っておけ」
「承知しました!」

 デブ男は元気な返事をして、服を脱ぎそのまま夜の街へと消え去ってしまった。

「よし! 計算通り、《ネドトロス》の本拠地を突き止めたぞ」
「…………」
「ん? どうした、エコー」
「腑に落ちないのは私だけでしょうか!」

 ポコポコと頭を叩いてくるエコー。

 ふむ。エコーが無事でよかった。
 もう少しだけ、あの男にイタズラされてもよかったんだよ?

「じゃあこのまま《ネドトロス》の本拠地に向かうか」
「待ってください! まだ私は納得していない——って今日っ?」

 なに驚いているんだか。
 別に時間を空ける必要もないだろ。
 それに俺は金がない。さっさと《ネドトロス》を壊滅させて、お金をギルドからぶんどらなければならない。

「ちょ、ちょっと待ってくださーい! マコトさーん!」

 一人で歩き出すと、後ろからエコーの追いかけてくる音。


 ——ちなみに。
 この夜『バニーガールの美少女と、パンツ一丁で走り回っているデブがいた』という都市伝説が囁かれることになるが。
 それはまた別の話だ。

  ■

「ふう! やっと着いたな」
「…………」

 ん?
 エコーがジト目を向けてきた。

「……いい加減、教えてくれませんか」
「なにがだ?」
「マコトさん、やっぱり魔法使いですよね。ここまで来るのに使ったのはどう考えても身体強化の魔法……」

《ネドトロス》のパンツ一丁男に教えてもらった場所。
 そこまで来るのに、身体強化の超能力を使わせてもらった。
 もちろん、エコーは着いて来られないのでわざわざ担いでだ。

「だから魔法じゃないって」

 適当にはぐらかして、改めて前へ視線を向ける。


 ——そこは一見、古びた塔のように見えた。


 真っ暗闇の中にそびえ立つ塔。

「ってかこんなに大きいのに、今まで誰も見つけられなかったのか?」
「そりゃそうでしょ。だってここの森には強力なモンスターや毒沼もありますから、普通の人は入ってこれませんよ」

 そうなのだ。
《ネドトロス》の本拠地——塔は森の中に建っている。

「そうなのか?」
「そうですよ。木をなぎ倒しながら、ここまで一直線に来れる人はマコトさんしかいませんよ」

 うーん、基準がよく分からん。
 俺にしては、ただただ普通にサイコキネシスで木を持ち上げて、ここまで走ってきただけなんだがな。

「……元の世界の方が大変だった」
「ん? なんか言いましたか?」

 あれは某大国、総理大臣の家に潜り込んだ時だろうか。
 あらゆる罠が張り巡らせており、さすがの俺でも骨が折れた。

 それを思えば、そこにあると分かっている毒沼。さらには走って通り過ぎれば追いかけてこない獣達。
 そんなものは俺にとっては、ないにも同然であった。
 ってか元の世界でも電柱をなぎ倒しながら、元気に登校してた時もあったしな。

 いやー、元の世界が懐かしい!

「じゃあ、とにかく——さっさと《ネドトロス》を壊滅させるか」

 一歩、踏み出す。

「ちょ、ちょっと待ってください! 真っ正面から入るのは危険すぎますよ」
「ん? なにがだ」

 エコーがなにやら叫んでいたが、扉をサイコキネシスでねじ曲げていたのでもう遅い。

「…………」
「だからエコー。そんな目を向けてくれるな」

 さあ、行儀よく玄関から入らせてもらうぞ。

「な、なんだ! 警報音が鳴っているぞ」
「お前は誰だ! どうやってここまで……」
「ククク……迷子であろうと、ここまで来たからには始末するしかないな」

「あー、うるさい」

 中からわんさか湧いてきたゴキブリみたいな連中を、サイコキネシスで持ち上げる。

「うおっ!」
「な、なんだ! なにが起こっている!」

「やっぱりうるさい」

 持ち上げたモノを、壁や地面にぶつけながら塔の中へ侵入していく。
 塔の中は阿鼻叫喚あびきょうかん
 それは、突然現れた『俺』というウィルスを排除するために、群がってくる白血球を思わせた。

「おとなしく道を空けてくれるつもりはないのかよ?」

 まあ元の世界でも同じようなことがあったから、今更それが不可能なことくらい分かっているけどよ。

 欠伸を噛み殺しながら、塔の奥へと進んでいく。
 次から次へと魔法らしきものを浴びせられるが、アンチ・サイで無効化したり、同じような超能力をぶつけて相殺させた。

 ——ああ、退屈だな。

 とうとう我慢しきれなくなった欠伸。
 そういえば、もう夜だもんな。寝ずにここまで来たし。
 眠たさのため、瞼が落ちていくのを我慢しながら、俺はノンストップで最上階を目指していった。
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