16・触手
少し投稿遅れました。すいません!
洗脳はダメだ。
一日しか持たないので、今日だけAランク冒険者になったとしても明日には訂正されてしまうだろう。
それを毎日続ける? そんな面倒臭いことはしたくない。
ならば俺の実力をフランに見せつければいいだろう。
「まあ——普通、ボクになんて簡単に会えないはずなんだけど。どんな手品を使ったか分からないけど、君達はボクの前にいる。
だからそれに免じてGランクに昇格させてあげ——」
「俺はAランクがいいんだ」
サイコキネシスの超能力を発動。
「ひやっ!」
フランの体がゆっくりと持ち上がっていく。
「な、なにをするつもりだ! こんなことをすれば、ボクだって本気を出さざる——」
「もう一度言うぞ? 俺をAランク冒険者にしろ。そうしないと、今からお前は死ぬよりも辛い目に遭うかもしれない」
「ふ、ふん! 魔力ゼロの無能になにが出来るっていうんだ。良いだろう。ボクの本気を見せて——ひやあっ!」
無能って言いやがったな、こいつ。
我慢強い俺でも、さすがに堪忍袋の緒が切れるぞ。
——フランの周囲に触手が現れた。
触手は一人でに動き、フランの体を拘束した。
「女ってことがお前の最大の弱点だ」
——触手の超能力。
いや、なんでもありかよ!
最早超能力でもなんでもないじゃん!
そんなツッコミがどっかから入りそうな気がするが、そうなのだ。
俺の超能力はなんでもありなのだ。
超能力によって触手を作り出し、フランの体を弄くってみる。
「あっ! そ、そこはダ、ダメっ! まさか……そんなところまで入り込んでくるとはっ!」
触手はフランの服の中まで入り込む。
「きゃっ! あっ……」
触手が動くたびに、フランの口から官能的な声が漏れた。
白い肌に小粒の汗が浮かび上がり、徐々にフランの顎が上がっていく。
「さあ、どうする? Aランク冒険者にしてくれるか?」
「ボ、ボクは触手なんかには負けない! 規則は規則だ!」
「そうだ、じゃあ続けるのみだな」
「な、なにを——きゃっ!」
フランが逃れようと体をくねらせる。
徐々にフランの顔が赤くなっていった。
——五分後。
「はあっ、はあっ……ふえぇ、触手には勝てなかったよ……」
触手の体液にべちょべちょになったフランが、脱力して床に寝転がっている。
「……マコトさん。私、マコトさんがこんなに変態だと思っていませんでした」
一部始終を見ていたエコーがジト目を向ける。
弱り切っているフランに近付いて、
「さあどうする? もう一度、触手を味わいたいか?」
「ひゃっ! そ、それは勘弁してくれ! これ以上、触手を味わったら……自分がおかしくなってしまいそうで」
俺がフランに手を触れると、びくんと体が痙攣した。
「分かったよ——今日付で君をAランクにする」
「やった!」
「しかし条件がある! まずお試しで今日一日だけ! 今日一日でAランクに相当する、っていう実力と結果を見せられなければ明日からHランクに後戻り!」
「ああ、それで十分だ」
ちょっと予想していた結果とは違うが、適当に高ランクのクエストをこなせば、すぐにこいつ等は手の平を返すだろう。
「それともう一つ! 死んでもギルドに文句を言わない」
「はあ? 俺が死ぬ?」
鼻で息をする。
こいつはバカなことを言うな、と。
「じゃあもう用は済んだ。早速、受付に行ってクエストを受けてみるよ」
もちろん、Aランク相当のな。
手を振って、部屋から出て行こうとするとズボンの裾を引っ張られ、
「ちょっと待ってくれ……」
「どうした? まだ文句があるのか?」
「そうじゃない! ……その、なんだ。また……その触手を出してくれるかね?」
「ああ、別にいいぜ」
メスの顔になっているフランを放って、部屋を後にした。
■
・魔法結社の調査
クエストランク A
報酬金(達成) 100万G
ってな感じで。
早速、Aランク用のクエストを受注し現在に至る。
「おい……この魔法結社ってのはなんだ?」
「最近、この辺り一帯で悪さをしている人達です!」
なんだ、そりゃ。
魔法結社、っていう割りには盗賊団みたいなことをしているんだな。
「私も街の外で襲われてしまいました」
「ん? もしかして……お前、襲われていたのって、その、魔法結社のヤツ等にだったのか?」
あの時のことを思い出す。
——グーベルグに行く途中で良い拾い物をしたぜ。
もしかしてあいつ等、ここに来て悪さをするつもりだったのか?
それがエコー(見た目は間違いなく美少女)を見つけた、と。
「その魔法結社は《ネドトロス》とも呼ばれています」
「中二病みたいな名前が付いているんだな」
「チューニビョー?」
「気にするな、こっちの話だ。でそいつ等はどういう悪さをするんだ?」
「悪さと言ったら悪さなんです!」
「そいつ等の目的は?」
「悪さです!」
「ごめんな」
こいつに聞いた俺が悪かった。
まあ《ネドトロス》とかいう連中が悪さをしているから、引っ捕らえてくれということか。
チンピラ集団を捕まえるのにAランクも必要か?
「うーん、もしかしたら危険かもしれないしな」
いきなり探しに行くのは短絡的だろう。
本当は透視の超能力を使えば、すぐに見つかることも可能だった。
しかし——透視は探したい相手の姿を思い浮かべ泣けば発動しない。
当然、あんないきなり遭遇したモブキャラの顔なんて覚えていない。
「聞き込みでもするか……」
「良いですね! 冒険者みたいになってきましたね!」
エコーが腕まくりをする。
「行きましょう!」
「…………」
「どうしました?」
エコーをジーッと見ていると、首を傾げられた。
やっぱこいつ付いてくるんだよな。
「……一つ思ったんだが、お前ってなんで俺の仲間みたいになってるんだ?」
「えーっ! 仲間みたいじゃなくて、仲間そのものじゃないですか」
「そんなのなった記憶ないんだが? 俺は『殺されてもいいと思える他人が友達』と思っているんだが」
「重すぎますよ! それに冒険者同士でパーティーを組んだ方が効率的にクエストをクリア出来る、って言いますからね」
俺の場合、単独で行動した方が早いんだが?
うーん、超能力で好き放題するという目的を達成するためには、あまり仲間を作りたくない。
でもエコーは間違いなく美少女だ。
「……まあいらなくなったら、捨てればいっか」
「なんか今、酷いことを言いましたよね!」
「気にするな」
ぎゃーぎゃー騒いでいるエコーの頭を押さえつける。
まあネコミミ美少女と行動するのも良いだろう。
それも飽きてくるまでだがな。
こう言うと、女を次から次へと捨てる最低男みたいだな、俺。
童貞ですよ、俺っ?
「そうだ、異世界で目的がもう一個出来た」
「なんですか?」
エコーの問いかけに答えない。
もちろん、童貞を卒業することだ!
エコーが相手とは限らないけどな!
まあこれはクリア後のやりこみ要素だと思っていていいか。
「そう思ったら、やる気が出てきた! よし、クエスト頑張るぞ!」
「は、はい!」
こうして俺達は地道に聞き込みを開始した。