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魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

騎士団長編

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15/50

15・これからのこと

 そう、俺は一方的に異世界に転移されてしまった。
 元の世界にいる頃から『強いヤツ』ってのを求めていたが、それは退屈だったからに過ぎない。

「俺は……」

 俺がこの世界でやること。
 具体的な方向性はないが、やりたいことは決まっている。

「とにかくやりたいことが二つある。
 一つ目は好き放題に生きることだ。人の顔色をうかがったり、空気を読んだり……そんな面倒臭いことはやりたくない」

 幸運にも異世界でも超能力が使えることが判明している。
 異世界を好き放題に生きる。
 一見、そんな難しいことを達成出来る力が俺にはあった。

「もう一つは復讐することだ」
「復讐? 誰にですか?」
「それはまだ言えない。ただ王都で酷い目に遭わせてきた連中に復讐をする」

 その中でも主たる三人。
 王様、リュクレース王女、そしてフーゴ騎士団長だ。
 俺が我慢強かったらよかったものの、あいつ等が俺にやったことは二度と忘れない。

「マコトさん、強いんですから今すぐ王都に戻って復讐をすればいいじゃないですか」
「ダメだ」

 ——確かに復讐することだけなら簡単だ。

 城から脱出する前に、超能力で暴れ回れば復讐を達成出来るだろう。

「俺の考えている復讐……ってのはもっと相手にダメージを与えられる方法なんだ。
 相手が『ふえぇ、これじゃあ死んだ方がマシだよ……』と泣き面になるような。そんな復讐」
「マコトさん! 顔が怖くなってますよ。具体的にはどうするつもりですか?」
「……それは今から考えるんだ!」

 よし。
 今までふわっとしていた目標をここで明らかにすることが出来た。

「ふわあ……」

 欠伸をする。
 急に眠気が襲ってきた。
 そういや、昨日からあんま落ち着いて寝れてないしな。
 ちなみに、エコーとそのお母さんにはマインド・リーディングを使ったが、

『お腹が空きましたー』
『今日の晩ご飯なににしようかしら?』

 といった具合に飯のことしか考えていなかったので、王都の宿屋みたいな事態にはならないだろう。

「じゃあエコー。俺は寝る。おやすみー」
「はい! おやすみなさい!」

 執拗に俺のベッドに潜り込んできようとするエコーの尻を蹴って、部屋の外に追い出してから眠りについた。

  ■

 朝起きて。

「マコトさん、今日もギルドに行くんですか?」
「ああ」
「私も手伝いますよ!」
「いらん」

 というお決まり(?)のやり取りをしてから。
 俺達は冒険者ギルドへと向かった。

「ギルドマスターはいるか?」

 受付のお姉さんに問いかけると、昨日と変わらない笑顔で、

「うちのギルドマスターは滅多に冒険者の前に姿を現しません。あなたがAランクにでもなれば会ってくれると思いますので、頑張りましょう」

 その単調な台詞はRPGのNPCキャラを思わせた。

 HランクがAランクになる?
 ランク相応のクエストしか受注出来ないのに?

 そんなことしていたら、いつギルドマスターに会えるかも分からない。
 迷子の子猫探しをちんたらやっていても、ろくに生活も出来ないだろう。

「ギルドマスターに会わせろ。二度は言わんぞ」
「しつこいですね。だから——」

 グルン。
 お姉さんの眼球が上を向いた。
 その瞬間、お姉さんは右手を差し出して、

「はい——どうぞ。ギルドマスター室まで案内しますね」

 ——洗脳の超能力。

 うーん、とはいっても洗脳はあまり使いたくない。
 ただでさえチートなのに、これを使ってしまえば余計に退屈になりそうだからだ。
 それにさすがの俺とはいえ、半永久的に相手を洗脳することも出来ない。
 長くて一日中。
 これが洗脳のタイムリミットであった。

「最初からそうしていればいいんだ」

 お姉さんに導かれるまま付いていく。

「え? え? どういうことですか。グーベルグのギルドマスターに会うことは冒険者の憧れで……」

 勝手に付いてきたエコーが頭に『?』マークを跳ねさせた。

 ——ちんたらランクなんて上げてられない。
 ここはギルドマスターに会って、ランクを上げてもらう。

 俺はそう考えたのだ。
 そのためにもまずはギルドマスターに会わなければならない。

「ここです」

 お姉さんに付いていくと、扉の前に辿り着いた。


「よし、邪魔するぞ」

 到着するなり、扉を蹴り上げて中へと入った。

「なんだなんだい? なにが起こったんだい? そして君は誰だい?」

 いきなり俺のようなものが侵入してきたというのに、部屋の住人は椅子に座って落ち着き払った態度を取っていた。

「ギルドマスターはどこにいる?」
「ボクがギルドマスターだよ」

 は? こいつがギルドマスター?
 俺が驚いたのは他でもない。
 ギルドマスターだと自称するヤツが可愛い女の子だからだ。

「ふふふ、ボクを女の子だと思って侮っているね? これでも若い頃はAランク冒険者にもなったんだからね」
「若い頃ね……」

 そのギルドマスターはとても若く見えた。
 下手すればエコーと一緒くらい……いや、それよりも幼く見える。
 マインド・リーディングを使った結果、どうやらギルドマスターだということは嘘ではないらしい。
 俺はギルドマスターの対面のソファーに深々と腰をかけた。

「……なかなか不躾な男だね。で、君は誰だい?」
「人に名前を尋ねる時はまず自分から、って名乗らなかったか?」
「侵入者にそんなことを言われるとは思わなかったよ。まあ——いっか。ボクはフラン。グーベルグの冒険者ギルドのちょうをやっているよ」

 そう言って、ギルドマスター——フランは握手を求めてきたが、無視する。

「俺はマコト。マコト・ハスウラだ」
「わ、私はエコーです!」
「マコト君とエコーちゃんか。それで——君達はボクになんの用だい?」

 フランはニヤニヤとした表情を顔に貼り付けながら質問してきた。
 余裕な態度。しかし同時に警戒心も解いていない。

「単刀直入に言う。俺は昨日、Hランク冒険者になった」
「おお、おめでとう。君の冒険者人生に幸があることを祈っているよ」
「そんなのはどうでもいい。どういうことだ? 俺がHランク冒険者なんておかしいだろう?」
「そういえば——昨日、魔力ゼロの男が冒険者になりたかがっている、って報告を受けたね。聞いたことのある名前だと思ったら君のことかい」
「ああ、そうだ。いきなりSSランクとは言わない。せめて俺をAランクにしろ。そうでもしないと、ろくにクエストも受けられない」
「ふむ——」

 そう言って、フランは立ち上がり俺に背を向けた。
 窓の外の光を浴びながら、

「そういう新人が一年に何人か現れるんだ。自分に実力がないのに、ランクに不満を言う人」
「なにが言いたい?」
「マコト君に実力があったら、自ずとAランクにでもなれるよ。だから今は地道にクエストをこなして、ランクを上げていくことだ」

 曖昧にぼかしているが、つまりこいつの言いたいことはこうだ。

 一昨日来やがれ。お前だけ特別に扱うわけにはいかん。

 そりゃ、俺だってそんな簡単に交渉が進むとは思えない。

 ——こいつの首を縦に動かす方法。
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