挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

騎士団長編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

14/50

14・初クエスト

「早速、マコトさんの初クエストですね! 気合い入れて行きましょう!

 エコーが拳を高く突き上げる。
 ってかどうして、こいつが張り切っているんだ。
 それに……たかが迷子の子猫探しでここまで張り切れるとは。

「グーベルグは広いですからね。今日中に見つけることは出来ないと思いますが——」
「ん? どうして?」

 イラストが書かれた紙に手を当てる。
 精神を集中させると、ぼやーっと頭の中に猫の姿が現れてきた。

 千里眼——。

 イラストや写真さえ見れば、それがどんなに遠くにあってもどこにあるか分かる超能力。
 これさえあれば、迷子の子猫探しなんて一瞬で終わる。

「おい、武器屋と防具屋に挟まれている路地裏ってどこにあるんだ」
「武器屋と防具屋ですか? それが並んでいる場所なら、グーベルグには二カ所ほど考えられますが……」
「案内してくれ。そこに子猫はいる」
「は、はい! 任せてください!」

 仕事を言われて嬉しいのか、エコーの声が弾む。

 ——その後。
 一発目の路地裏で子猫を見つけることに成功した。

「マコトさん、凄いです! まさかこんなに勘が鋭い方とは!」
「勘じゃない。確信だ」
「も、もしかして……クレアボイアンスの魔法を? え、でもマコトさんって魔力ゼロって言われてたんじゃ……」

 エコーが混乱している。
 子猫はエコーの腕の中で幸せそうに顔を洗っていた。
 エコーの豊かな胸の感触が心地良いのだろうか。

「やっぱりギルドでもう一回、測定し直しましょうよ。だってマコトさんが魔力ゼロなわけないですもん」
「いや、面倒臭いし間違ってないよ。そういや、エコーの魔力はどれくらいなんだ?」
「ふふん、聞いて驚かないでくださいよ? なんと90です!」

 ……微妙〜。

 確かお姉さんは魔力の平均値が100くらいって言ってたよな?
 だったら、エコーの90はちょっと少ないくらいだけど、バカにするほど少ないわけじゃない。

「お前……やっぱ残念な女だな」
「な、なんで!」

 ニャー。
 子猫が一鳴きした。

 こうして俺は初クエストを成功させたのであった。

  ■

「はい! クエスト達成ですね。これが報酬金の1000Gです!」
「どうも」

 早速、ギルドに行ってクエスト達成を報告した。
 お姉さんは満面の笑みで銀貨一枚を手渡してくれた。
 ……いや、異世界の貨幣価値がよく分からないので、喜んでいいのか悪いのかがよく分からない。

「おい、エコー。1000Gってのは高いのか?」
「え? 変なこと言いますね。そりゃあ……高いですよ! 1000Gもあったら、お外でご飯が十回も食べられますよ!」

 いまいちな例えではあったが、あまり高くないことだけは分かった。

「この調子でバンバン依頼をこなしましょうね! 今はHランクですが、頑張ったらGランクになれるかもしれません!」
「どうも」
「でも一日で迷子の子猫ちゃんを見つけるとは……マコトさん! 才能ありますよ」
「あんま嬉しくないな。そういや、ドラゴンはどれくらいのお金になったんだ?」
「500万Gくらいですね」

 高っ!

「きっと、私がギルドで頑張って働いたおかげですよ!」

 でもお姉さんの満面の笑みを見ていたら、それ以上言葉を紡ぐことが出来ない。

 いいんだ。
 どうせドラゴンなんて何体でも倒せるし……。
 次、いつ遭遇するんだろうな。

「また明日も来るよ」
「はい! 明日も頑張りましょうね!」

 お姉さんが手を振ってくれる。

 ……さて。
 地道にランクを上げていくのもいいだろう。
 しかしドラゴンと一緒で、次いつランクが上がるのかも分からない。

「マコトさん? 悪い顔してますよ」
「気のせいだよ」

 だったら俺にも考えがある……。
 ただ今日は疲れたので、さっさと家に帰らせてもらおう。


「……ってそういや、俺。帰る家もなんにもなかったんだよな」

 建物の外に出て、立ち止まった。
 空を見ると、橙色になっている。
 もしかして、今日野宿? 1000Gで宿屋に泊まれるんだろうか。

「おい、エコー。宿屋ってのはどれくらいあったら泊まれるんだ?」
「ピンキリですね。まあ1000Gもあれば、二泊は出来ると思いますよ!」
「うわぁ……微妙」

 異世界に来て、これからなにが起こるのかも分からない。
 出来れば、宿屋に泊まらず貯金しておきたいところだが……。

「あっ、よかったら私の家に来ますかっ?」
「エコーの家に?」
「はい! マコトさん、グーベルグの人じゃないんですよね? じゃあきっと寝るところにも困っているでしょうから!」

 役立た……ゲフンゲフン……エコーが女神のように見えた。
 ありがたい。
 それに女の子から「家に来る?」なんて言われるとは思っていなかった。

「本当にいいのか?」
「はい!」

 もしかして、今日童貞を捨てることになるかもしれないな。
 やれやれ、まさかネコミミの女の子が初めての相手だなんて。
 心臓の鼓動が早くなっていくのを感じた。

「お母さんにも紹介したいですし!」

 ……ですよねー。

 エコーが一人暮らしとは限らない。
 ってかエコーがテキパキと家事をしているところを想像出来ない。
 お母さんと一緒に暮らしていることは予想出来た。

「俺としたことが……」
「どうしたんですか、マコトさん? なんかガッカリしているように見えますが」
「気のせいだ」

 顔を上げて、エコーの後を追いかける。
 俯いていたら涙が零れてしまいそうだからね。

  ■

 エコーの家はごくごく普通の民家であった。

「この子ったら、いきなり冒険者になりたいって言って〜」
「もうお母さんったら〜」

 食卓に並べられた料理を食べながら、俺はエコーとそのお母さんの話に耳を傾けていた。
 エコーのお母さんも銀髪で、ネコミミが頭から生えている獣人族だった(当たり前かもしれないけど)。
 おっとりした雰囲気で、何歳か分からないけど凄くキレイな方だ。

「どうして、エコーは突然冒険者になろうと?」
「旦那が冒険者なんですよ。それに憧れちゃったみたいで」
「お父さんはどこにいらっしゃるんですか?」
「……実は……もうここにはいなくて……」
「あっ、すみません。変なこと聞いちゃいましたね」
「遠征に出かけているんですよ。一週間もすれば戻ってくるんじゃないかしら?」
「生きてるのかよっ!」

 この母親あって娘あり、って感じだな。
 王都にいる頃から思っていたけど、異世界の料理はとても美味しい。
 もしかして転移する時に、舌の好みも変えられているのだろうか?

「ふう、もうお腹一杯です!」

 エコーが背もたれに体を預けて、お腹に両手を置いた。

「ごちそうさまでした。美味しかったです」
「いえいえ〜。あっ、そういえばマコトちゃん」

 いきなりエコーのお母さんが親戚のおばちゃんに見えてきた。

「寝るところなんだけど、旦那がいつも一人で寝ている部屋でいい?」
「はい……もちろんです。っていつもエコーのお父さんは一人で?」
「イビキがうるさいから、一人で寝てもらっているのよ〜」

 なんとなく、この家庭での関係が分かってきた。
 その後、俺はエコーのお母さんに案内される形で部屋に入った。
 部屋は簡素的なベッド、ちっちゃめのテーブル、本棚……と決して広くはないが、城にいる頃を思えば極楽のような空間であった。

「ふう……今日は疲れたし、さっさと寝るか」
「はい! おやすみなさい!」
「おやすみー……って」

 ベッドに潜り込んだエコーの布団を取り上げる。

「……お前、なに勝手に寝ようとしてるんだ? お前には自分の部屋があるだろ?」
「むー、折角だからマコトさんとお喋りしたいんですよ!」
「却下だ」
「な、何故!」

 さっさと寝たいんだよ。
 一緒に寝ることは嫌ではないが、そんなことをすればあのお母さんが飛んできそうだしな。

「マコトさんは……どうしてグーベルグにやって来たんですか?」

 顔を合わせまいとしているのに、エコーが勝手に話しかけてきた。

 ……まあちょっとくらい話に付き合ってやるのもいいだろう。
 俺はベッドに腰掛け、

「今まで王都にいたんだ。でも王都にちょっといられない事情が出来てね」
「ふうん、そうなんですか。マコトさんって今からどうするつもりなんですか?」

 どうするつもり?
 その質問を投げかけられて、頭と体が固まる。

「マコトさん?」

 エコーが不思議そうな顔をして覗き込んでくる。

 ——どうするつもり?
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ