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14、停滞

 冒険者チームが引き続き警戒をしながら先頭を歩いている。後方はランディが魔力を使って探知できる範囲で警戒をしてくれている。

 山岳地帯に入って峠に差し掛かるところまでようやく進んでこれたが、夜道で行動するのは危険と判断して、少し開けた広場のようなところで野営することになった。

 野営になれている冒険者チームは手早く、寝床をつくり焚き火の準備をしている。商会のメンバーは食事の準備と荷物の確認、馬への餌や水を飲ませたりそれぞれの役割を果たしていた。ランディと一緒に近くの小さな泉のところで水を汲んだり、水浴びをしたりして食事の準備ができるまで近くを見て回ることにした。

 平地では見たこと無い植物が生えていて見るたびに新しい発見があり刺激的だった。鉱石類もちらほら落ちているのもみたり、手にとってみたりして使えそうなものは、いくつかポーチに入れて持って帰ることにした。

 『アル、食事の用意ができたぞ』ジョンが、呼んでいる声が聞こえて、野営地へと戻った。旅での食事は貴重な栄養補給でもあるが、楽しみにしている人も少なくない。今回は野菜と肉のソテーとパンだ。濃厚なソースでしっかりと味付けされていて、スタミナがつきそうな味だ。

 食事を終え、各自寝袋など寝床について眠った。冒険者チームは交代で警戒をしてくれているので安心だ。ランディと一緒に寝ると、ランディの体温が温かくてすぐに寝てしまった。

 翌朝、日が昇る前に目が覚めた。みんな起きていて片付けを始めている。出発の用意が整うと再び、冒険者チームを先頭に進み始めた。峠に差し掛かり、道もかなり狭くなっていく。

 荷馬車の幅がギリギリで一歩でも踏み間違えると谷底へ落ちてしまう。速度を落としゆっくりと進む。ここで襲撃があったりしたら一巻の終わりなのは言うまでもない。

 峠を抜けた先は比較的に整備されている道になった。天気がだんだん怪しくなってくる。山の気候は変わりやすく、特にここの山岳地帯は大陸の中でも高い山岳地域であり気候変化が激しいとこでもある。嵐のような暴風雨になることもあるみたいで、そのときは近くで停滞っていうこともあるそうだ。

 雨が降り始め視界がだんだん悪くなっていく。足元もぬかるんできて歩きにくくなってくる。荷馬車が思うように進まなくなってきた。近くに退避できるようなところがないまま進行スピードを落としてゆっくり進む。冒険者チームに疲労のいろが見えてくるのがわかる。雨に打たれて体力が奪われて、息も荒くなっていく。

 雨宿りができるところで一旦休憩をするように指示がでる。人もそうだが馬も休まないと途中で、止まってしまうからだ。

 休憩していると、雨もさっきよりも激しくなった。懸念されるのが土砂災害。濁流となって襲われる危険がある。地盤が弱いところを避けて、水の流れが激しいところも避ける。こういった場合は冒険者の経験が頼りだ。ジョンの提案で激しい雨の中、災害へのリスクを避けるために移動を開始した。

 30分くらい移動して安全が確保できる洞窟を発見し中で雨が止むのを待った。雨宿りする間、火を熾して濡れた衣服や体を乾かした。ついでに食事もすることになり手分けして準備にあたる。

 雨は止む気配もなく、ここで停滞することになりそうだ。焚き火をみてぼーっとしていると、メルが話しかけてきた。

 『アルって、商人になりたいの?冒険者になりたいの?』唐突な質問だった。自分のなかでも考えが漠然としていて何を目指そうとは考えてはいなかった。

 『メルみたいに弓の才能も、剣術の才能もないから商人を目指そうって思っているよ』

 『そっか、がんばってね』

 少し残念そうな顔をしてメルはスープをもって仲間のところに戻っていった。何を答えたら正解だったのだろう。複雑な気持ちのままスープを飲み干し、本の続きを読むことにした。

 焚き火の温かさで、だんだんと眠気が襲ってくる。ウトウトしていると、ランディが側に寄ってきて丸くなって寝てしまった。周りを見ても商会メンバーはほとんど寝ている。冒険者メンバーも武器の手入れをしたり寝たりと、各々時間を潰している。

 何時間たったのかわからないがいつの間にか寝てしまっていた。魔獣も山賊も現れず、静かに時間だけが過ぎていく。

 翌朝、すっかり雨はあがり再び移動準備をした。服もすっかり乾き、荷物も無事だ。朝食を食べて再び目的地を目指して出発した。今日は山岳地帯を抜けて麓の町ゲナンという町に向かうそうだ。

 ゲナンは宿場町として栄えているところで冒険者や商人の行きかう賑やかなところ。ここで補給をかねて物資の調達をすることになる。食料を中心に日用品を補充する。

 ようやく旅も半分くらい過ぎたところだ。山岳地帯をだんだん降りてきて、緑が増えてくる。平原が見えてくると、町もうっすらと見えてきた。行きかう人も増えてきて宿場町に近づいてくるのが楽しみになって足取りが軽くなっていく。 

 夕方になるころ、ようやくゲナンに到着した。

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